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■「中央調査報(No.553)」より自殺のGDP損失は1兆円=国立人口問題研が推計
◇自殺減少による失業者増も考慮
研究グループはさらに、防止対策が効果を上げて自殺者が減った場合、その人数分の労働力供給が増加して失業率が高くなることを考慮。より正確なGDP損失額を推計するには、自殺者数の減少が失業率に与える影響や、その結果が民間消費支出に及ぼす影響まで含めて推計する必要があると判断。これらの点も計数に含めた独自のマクロ計量経済モデルを使って計算した。
計算には、同研究所が2000年に開発した「プロトタイプ・マクロ・モデル」を活用。同モデルを基に、中高年の自殺者がほかの年代に比べて高いことを反映させるため、年齢階級別の労働力を生産要素とする生産関数を加えた新たな計量モデルを作成。これにより、年代別の労働力人口の変化が失業率へ及ぼす影響を、推計結果に含むことができるようになった。
この新たなモデルを用いた計算では、自殺者が急増した98年から2025年までを中長期的に推計。計算に当たって将来の自殺者数が、現在の3万人レベルのまま横ばいで推移すると仮定した。
以上の条件で実質GDPの推移を計算したところ、図1の●で結ばれた線(GDPR1)の結果が出た。これは、自殺者が現状のように中高年に高い割合で続いた結果を反映した労働力人口が、そのまま推移した場合の実質GDPを示している。■で結ばれた線(GDPN1)は、この場合に対応した名目GDPの推移を示している。
これに対して、98年以後、自殺防止対策が功を奏して、仮に自殺者数がゼロで就業者として働き続けた場合の実質GDPの推移を示したものが、△で結ばれた線(GDPR2)。また、この場合の名目GDPの推移を示したものが、×で結ばれた線(GDPN2)となる。これらは、約3万人の人が労働力人口に加わり、さらに失業率が増加することも考慮に入れた数値となっている。
この図1に示された、現状の自殺死亡者数を反映した労働力人口の推移に基づくGDPと、自殺者数がゼロになった場合との差が、自殺によるGDPの損失額となる。
こうして算出された名目GDPの損失額は、98年から00年までの3年間の平均では年間8309億円、01年から05年の平均では1兆995億円という結果となった。昨年1年間でみると9928億円で、今年中には1兆円を突破するという推計が得られた。
図2は、こうして得られた自殺によるGDP損失額を5年おきに示したもの。名目GDPの損失額は、02年の約1兆円に対し05年には年間約1兆2千億円にまで増加。実質で見ても、01年から05年までの5年間の平均損失額は9371億円だが、06年から10年までの平均では約1兆2千億円に増加する。
このように時間の経過とともに実質でもGDP損失額が増大するのは、生産関数の算出時に技術進歩が進むことを盛り込んでいるため。また、1人の人間が自殺せず就業者となった場合、その人が寄与するGDPの増加額は、のちの期間ほどより大きくなる傾向も反映している。


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