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■「中央調査報(No.574)」より「レジャー白書2005」に見るわが国の余暇の現状と課題

3.余暇関連産業・市場の動向

 続いて供給サイドの状況を見てみよう。白書では、4部門78種のレジャー業種を対象とする1年間の産業動向の把握、および余暇市場規模の推計を行っている(図表4)。


(1)余暇市場の動向

余暇市場規模は前年比微減

 平成16年の余暇市場は81.3兆円、前年比微減であった。年前半にはGWの海外旅行の好調などもあり、市場回復への期待感も高かったが、夏場の猛暑と五輪放映による出足の鈍りに加え、秋口には台風・地震などの影響もあり、後半伸び悩んだかたちとなった。図表4を見ると、余暇市場規模はバブル前後に大幅に拡大したが、その後平成8年を境に減少傾向が続いている。平成16年も減少傾向は続いているものの、家計消費の好転などもあり、減少幅は前年よりも縮小した。
 ちなみにレジャー白書では、すでに一定程度の市場規模のある78業種について時系列的な把握を行っているが、こうした既存市場の外には温浴施設や携帯電話などの“新しい余暇市場”が徐々に成長しつつある。これらを広く捉えると、余暇関連市場規模はもっと伸びている可能性もある。


デフレ傾向に終止符
 平成16年のレジャー産業全体全体で共通して見られた傾向は、多くの業界で「価格破壊」に終止符が打たれたという点である。外食産業のマクドナルドに象徴されるいわゆる「低価格戦略」が一段落し、デフレ傾向も払拭されつつある。一方で消費者も成熟化しつつあり、もはや単に「安い」だけでは消費者にアピールしきれない状況を生じている。こうした中で、「価格」と「質」がほどよくバランスした“ワンランク上”の商品・価格帯が注目され始めているようだ。


「二極化」の更なる進行
 レジャー産業全体傾向の二つ目の特徴は、業界構造の内部でいわゆる「二極化」の更なる進行が見られたことである。パチンコ、カラオケ、ゲームセンターなどの娯楽部門の業界では軒並み店舗大型化が進む一方、中小・既存店が厳しい競争の中で淘汰され、「店舗数」は全体に減少の傾向を見せている。平成17年3月期決算でパチンコホールでマルハン、ダイナムの上位2企業がそろって大台の1兆円企業となったことも象徴的である。


(2)部門別動向とトピックス
 次に、4つの部門別の動向と主なトピックスを見てみよう。


スポーツ部門
 スポーツ部門の市場規模は前年比マイナス3.2%で、長期的に伸び悩む業界が多い。好調だったのがテニスクラブ・スクール。「テニスの王子様」効果によりキッズ市場が活性化する中、「インドアテニススクール」が儲かるビジネスモデルを確立しつつある。天候や日焼けを気にせず、顧客本位の高いサービスが受けられることが評価されているようだ。フィットネスクラブも引き続き好調。中高年をターゲットに順調に伸び、市場規模は平成以降最高値を更新している。健康・癒し志向の高まりの中、地域の医療機関と連携した運動療法プログラムを提供するサービスを開始する企業も登場した。一方ゴルフ場・スキー場などの従来型のレジャーは苦戦。外資をはじめ日本の資本による“再生ビジネス”も活性化している。


趣味・創作部門
 前年比1.3%プラスと堅調であった。アップルのipodに代表される携帯音楽プレーヤーが爆発的な人気となった。「(自宅での)音楽鑑賞」が低迷する一方で、音楽を「外で」、より「手軽に」楽しむスタイルが着実に広がっているようだ。不振が続くCDに替わるソフト媒体としては、平成16年は携帯着メロ・着うたのような新しい市場が拡大。平成17年には本格的なインターネット音楽配信サービスも始まり、今後の伸びが注目される。AV機器も好調である。大画面薄型テレビに値頃感が出始めており、アテネ五輪の買い替え需要もあってよく売れた。DVDもハード・ソフトともに過去最高の伸びとなり、VHSを逆転している。その他ヒット作続出の映画、ミリオンセラーが多数出た書籍など、メディア関連が好調であった。


娯楽部門
 前年比1.0%のマイナスとなった。約30兆円と余暇市場全体の3割以上を占めるパチンコ・パチスロ市場は前年比マイナス0.5%の微減となった。よりギャンブル性の高いパチスロへのシフトがつづき、店舗大型化と二極化が進行している。公営競技は軒並み低迷しており、特に地方競馬がきびしい。こうした中で宝くじは引き続き1兆円台を維持。ギャンブル市場は宝くじに持っていかれた感じである。ゲーム関連市場では、ゲームセンターがプラス成長となった。大型店やショッピングセンター立地などの店舗が好調である。 一方、自宅内で楽しむTVゲームは伸び悩んだ。16年12月のニンテンドーDS・プレーステーションポータブルダブル同時発売と、ハード面では動きがあったが、開発費の高騰もあってソフト市場は苦戦を強いられている。価格破壊競争がようやく終止符を打ち、外食の落ち込み幅は縮小した。「ワンランク上」の商品・サービス志向も見られ始めているが、売上げの伸びは新規出店によるもので既存店は軒並み厳しい。「中食(なかしょく)化」(半製品の持ち帰り)の進行など、ライフスタイルの変化も影響してきている。


観光・行楽部門
 前年比0.9%のプラスとなった。前年までの落ち込みの反動もあって海外旅行者は大きく伸び、国内旅行も堅調であった。旅行業、国内・海外航空は軒並み好調である。宿泊産業では「ホテル好調・旅館苦戦」の状況は変わらない。経営面ではきびしさも続いており、旅館やリゾートホテルの再生ビジネスも登場している。遊園地の市場規模は前年比で減少した。ディズニーランドとUSJの2大パークが伸び悩んだ。一方、ラーメン・餃子などのフードテーマパークが全国的に人気となっている。


(3)レジャー業界における改革の動き
 平成16年には、レジャー産業界で新たな顧客価値創造に向けた3つの改革の動きが見られた。


@広がる“再生ビジネス”
 平成16年もホテルやゴルフ場など多くのレジャー産業で経営破たんや施設閉鎖が見られたが、こうした施設の買収や経営参画による建て直しを狙う再生ビジネスが拡大している。初期投資を抑え、事業コンセプトを見直せば十分利益が得られるという認識が広がっているが、リーズナブルな価格設定等により顧客価値を高めていることも重要な成功要因である。


A“ブランド化”による集客拡大
 デフレ傾向が一段落し、低価格戦略だけでは消費者に感動が与えられない時代となった。こうした中で、平成16年は綿密なマーケティングをもとに、独自のブランドづくりや“ワンランク上”の価値あるサービスを提供して成功するケースが数多く見られた。


Bカギは“人づくり”
 業績を伸ばしている企業や業界では、今後の経営のカギを握る最後の資源といわれる“人材資源”に着目し、サービス人材の育成(人づくり)に積極的に取組み始めている。こうしたサービス人材の育成は、今後のレジャー産業の大きな共通課題でもある。
 
 レジャー白書本体では、それぞれの動きに関する具体的事例の紹介なども行っているので、ぜひご参照いただきたい。

図表4



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