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■「中央調査報(No.659)」より

「父親の育児参加に関する世論調査」

 2012年6月8日から11日にかけて、無作為に選んだ全国20歳以上の男女個人2,000人を対象に、「父親の育児参加に関する世論調査」を実施した。この調査は、調査員による面接聴取法により実施し、1,289人(回収率64.5%)から回答を得た。前回の調査は、2011年6月に、前々回の調査は、2010年6月に実施している。

1.父親の育児参加に対する考え
 父親の育児参加に対する考えを聞いたところ、「父親も母親と育児を分担して、積極的に参加すべき」が45.0%(昨年:39.1%、一昨年:34.7%)で、一昨年から今年にかけて年々増加傾向にある。これに対し、「父親は外で働き、母親が育児に専念すべき」は8.5%(昨年:6.6%、一昨年:8.7%)にとどまり、今年は一昨年とほぼ同じ割合となった。(図1)

図1 父親が育児に参加することに対する考え

 年代別にみると、20歳代、30歳代、50歳代では「父親も母親と育児を分担して、積極的に参加すべき」の割合が最も高くなっているのに対し、40歳代、60歳以上では「父親は許す範囲内で、育児をすればよい」の割合が最も高い。また、「父親は外で働き、母親が育児に専念すべき」の割合は60歳以上で16.6%となっており、20~50歳代の割合と比べ10ポイント以上高くなっている。(図1)

2.父親の育児参加の現状
 子供がいる人に父親(対象者が男性の場合は本人、女性の場合は配偶者)は育児をしているか(していたか)聞いたところ、「育児に参加していた(参加している)」は84.3%(昨年:85.1%、一昨年:81.7%)と8割を超え、過去2回の調査でも8割を超えている。これに対し、「育児に参加していなかった(参加していない)」は15.2%(昨年:13.8%、一昨年:18.2%)となった。(図2)

図2 父親の育児の参加状況

 育児の内容は、「お風呂に入れる」が最も多く74.3%、以下、「遊び相手をする」73.4%、「おしめをかえる」48.5%、「ミルクを飲ませたり、ご飯を食べさせたりする」48.3%、「寝かしつける」39.7%、「保育園などの送迎」30.3%となった。(図3)

図3 父親の育児の内容

 また、「育児に参加していた(参加している)」人に、実際の、父親の育児参加への積極性を聞いたところ、「積極的」が46.1%(昨年:44.8%、一昨年:47.4%)となり、これに対し「消極的」が14.6%(昨年:14.2%、一昨年:14.5%)となった。(図4)

図4 父親の育児参加への積極性


3.男性の育児参加の割合が低い理由
 「仕事におわれて、育児をする時間がとれないから」を挙げた人の割合が71.5%(昨年:67.2%、一昨年:66.2%)で最も多く、2番目に多かった「育児は女性の仕事と考えているから」の37.2%(昨年:33.5%、一昨年:31.9%)と30ポイント以上の差があった。以下、「父親の育児参加を後押しするような行政支援が少ないから」が34.4%(昨年:37.2%、一昨年:30.7%)、「育児の仕方がよくわからないから」が31.4%(昨年:28.7%、一昨年:24.3%)、「育児は面倒くさいと考えているから」が17.5%(昨年:17.2%、一昨年:14.0%)となった。(図5)

図5 男性の育児参加の割合が低い理由(時系列)

 年代別にみると、「育児は女性の仕事と考えているから」「父親の育児参加を後押しするような行政支援が少ないから」「育児の仕方がよくわからないから」の3項目で20歳代の回答の割合が最も高く、「育児は面倒くさいと考えているから」では40歳代の回答の割合が最も高かった。(図6)

図6 男性の育児参加の割合が低い理由(年代別)


4.男性の育児参加を促すために必要なこと
 男性の育児参加の割合が低い理由(図5)では「仕事におわれて、育児をする時間がとれないから」が他の項目と30ポイント以上の差をつけて最も多かったのに対し、男性の育児参加を促すために必要なことについて聞いたところ「父親自身が自分も育児をするという気持ちを持つ」という意識の面について回答した人の割合が最も多く56.4%(昨年:52.9%、一昨年:47.5%)となった。次いで多かったのが、「労働時間の短縮など職場の環境を改善する」であり、52.3%(昨年:47.1%、一昨年:45.0%)で昨年と比較すると5.2ポイント増加した。以下、「父親の育児参加を後押しするような行政支援を充実させる」が40.7%、「育児は女性の仕事という、育児に対する意識を改める」が32.7%となった。(図7)

図7 男性の育児参加を促すために必要なこと


5.男性の育児休業法の利用について
 男性の育児休業法の利用についてどう思うか聞いたところ、「よいと思う」が72.6%と7割を超えたのに対し、「よいと思わない」が9.0%にとどまった。
 年代別にみると、「よいと思う」は20歳代、30歳代では8割なのに対し、40歳代、50歳代では7割となっており、さらに60歳以上では7割弱となった。「どちらともいえない」は20歳代、30歳代では1割なのに対し、40歳代、60歳以上では2割となっている。「よいと思わない」は20~50歳代では1割未満なのに対し、60歳以上では1割を超えている。(図8)

図8 男性の育児休業法の利用について


(調査部 坂本康高)