中央調査報

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■「中央調査報(No.513)」より

 新しい働き方に関する調査─若年層で多い「SOHO に魅力感じる」─



 長引く不況を背景に、年功序列や終身雇用といった制度に支えられてきた従来のサラリーマンの働き方が大きく変化しつつある。また、情報通信手段の革新により、自宅や小規模なオフィスで働くSOHO(スモールオフィス、ホームオフィス)といった独立自営型の新しい働き方を選択する人も増えてきた。こうしたワークスタイルの変化はどのように受け止められているのだろうか。
時事通信社では6月9日から12日にかけて、就労意識に関する調査を実施した。調査は無作為に選んだ全国の20歳以上の2,000人を対象に面接聴取法で行い、1,418人(回収率70.9%)から回答を得た。以下、調査結果の一部を紹介する。

1.SOHOに魅力を感じるか
SOHOといわれる新しい働き方に魅力を感じるかをきいたところ、「たいへん魅力を感じる」(17%)と「少し魅力を感じる」(31%)をあわせた『魅力を感じる』(48%)は約半数を占めて、『魅力を感じない』37%(「あまり魅力を感じない」21%+「まったく魅力を感じない」16%の計)を上回っている。
「たいへん魅力を感じる」は男性(22%)が女性(13%)を上回って多く、『魅力を感じる』は男性で5割を超えている(図1)。

 性・年齢別にみると、『魅力を感じる』は男性30歳代(80%)で8割、女性20~30歳代でも7割強と多い。「たいへん魅力を感じる」は男性20~30歳代で比較的多く、3割を超えている。
『魅力を感じる』は男女とも自営業で4割程度だが、男性勤め人で65%、女性勤め人でもフルタイム・パートを問わず55%と多くなっている。

2.新しい働き方について
 SOHOといわれる働き方についてどう思うか複数回答で答えてもらったところ、「自分の生活パターンにあわせて働ける」35%、「通勤時間の短縮、通勤不要となり便利である」35%、「障害者、子育て中の女性などに活躍の場が開ける」33%などと積極的な評価が多い一方で、「人と人とのコミュニケーションが少なくなる」31%といった危惧の声もみられる(図2)。

 男性の1位は「通勤時間の短縮、通勤不要となり便利である」だが、女性では「障害者、子育て中の女性などに活躍の場が開ける」が1位である。

3.いつまで働きたいか
 有職者及び働く意向を持つ無職者にいつまで働きたいか聞いたところ、「働ける限りずっと」が半数を超え(55%)、最も多い。次いで「定年まで」(14%)、「年金をもらえるようになるまで」(9%)、「子どもが経済的に独立するまで」(7%)となっている(図3)。


 年齢別にみると、「働けるかぎりずっと」は20~40歳代では4割台だが、年齢が上がるにつれて比率が増し、60歳以上では78%と8割近い。
「働ける限りずっと」は男女とも自営業で約8割を占めるが、男性勤め人では45%程度で、その分「定年まで」(31%)、「年金をもらえるようになるまで」(15%)が多い。女性勤め人の就労形態別にみても「働ける限りずっと」は5割を占めているが、フルタイムでは「定年まで」(19%)が、パートタイムでは「子どもが経済的に独立するまで」(17%)が多くあげられている。

4.今後の働き方
今後どのような働き方をしたいかを項目ごとに聞き、(1)~(4)は「そう思う」、(5)については「そうは思わない」の比率をまとめたのが以下の(表1)である。5つの項目の中では「能力を発揮できる仕事」が最も重視され、「より高い収入の仕事」「会社の業績への貢献」「出世」「より重要な仕事」と続いている。
男女とも、最も重視されているのは「能力を発揮できる仕事」であり、「出世」「より重要な仕事」「会社の業績への貢献」などは男性の比率が女性を大きく上回っている。
性・年齢別にみると、総じて男性20~40歳代の意欲が高い。「能力を発揮できる仕事」「より高い収入の仕事」は女性の若年層にも多いが、「より重要な仕事」は同じ20~30歳代でも男性に比べて女性の重視度は低い。男性の中でも「会社の業績への貢献」は20歳代はやや少なく、「出世」は60歳以上で1位となるなどの年代差が見られる。

5.まとめ
若い世代や勤め人の間に新しいワークスタイルへの関心が高まっている。生涯働き続けることへのこだわりは弱まりつつあり、今後「より高い収入」「能力発揮」をキーワードとして、若い世代を中心とした多様化が進んでいくことが予想される。

(管理部 横田尚子)