中央調査報

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■「中央調査報(No.518)」より

 森内閣支持率の推移

 2000年4月5日、病に倒れた小渕内閣の後を受けて発足した森内閣も、2000年末で9ヵ月を迎えた。
 この間の推移を、発足時に遡り、「時事世論調査」(全国20歳以上の男女2,000人を対象に時事通信社が行う月例世論調査。毎月10日前後に調査員による面接聴取法で実施し、回収率は70%前後)の内閣支持率・不支持率、および内閣支持理由・不支持理由等の結果からみてみる。

1.内閣支持率・不支持率
 森内閣の支持率は、小渕内閣最終月(2000年3月)の32.4%から0.9ポイント増の33.3%(2000年4月)でスタートした。発足時の支持率としては、歴代2番目に低かった小渕内閣の24.8%(1999年8月)に次ぐ低さとなった。また、不支持率は20.1%で、小渕内閣最終月の42.4%から22.3ポイント減とほぼ半減しており、発足時の不支持率としては、歴代内閣で最悪だった小渕内閣の45.6%と比べるとかなりましなスタートだった。
 しかし、6月には、支持率が18.2%と2割を切って1998年11月以来の1割台となり、小渕内閣最低支持率の19.4%(1998年11月)を下回った。また、7月には、不支持率が56.9%と5割を超え、小渕内閣最高不支持率の54.7%(1998年11月)をも上回った。
その後は、相次ぐ失言とスキャンダルもあって、支持率は20%前後を低迷し続け、不支持率も50~60%台のまま高止まりしている(図1、表1)。

 図1、表1

2.内閣支持・不支持理由の比較
 森内閣の支持理由の平均を、橋本、小渕内閣と比較すると、3内閣とも上位3つのうち2つは、「他に適当な人がいない」「だれでも同じ」と消極的な理由があげられており、共通している。しかし、残りの1つは、橋本・小渕両内閣では「首相を信頼する」と直接的で積極的な支持理由があげられているのに対して、森内閣では「首相の属する党を支持している」と間接的な支持理由があげられている(表2)。
 一方、不支持理由では、「期待がもてない」「リーダーシップがない」で森内閣の高さが目立つが、とりわけ「首相を信頼できない」「印象が悪い」での高さが、橋本・小渕両内閣と比べて際立っている(表3)。

表2表3

3.歴代内閣の最低支持率
 ここで、先述の内閣支持率・不支持率のところで指摘した10%台の支持率について、歴代内閣の最低支持率と比べてみたい。調査開始(1960年7月)以来、最低支持率が10%台以下の内閣(森内閣は除く)は全部で8内閣ある。そのうち、実に小渕内閣を除く7内閣で、調査最終月にその10%台以下の最低支持率を記録している。つまり、小渕内閣を除けば、最低支持率が10%台以下の内閣は政権末期にあたっている(表4)。

表4

4.さいごに
 誕生からして密室性を指摘され、正当性を問題視されつづけ、支持率的にも‘ジリ貧’状態が続く森内閣ではあるが、今後の支持率はどうなるのだろうか。任期途中で10%台の最低支持率を記録しながらも、政策面で独自色を出し、日経平均株価の上昇とともに支持率を上昇させた小渕内閣のように浮上することはできるのだろうか。21世紀を迎え、参院選前の政治動向や株価の先行きとも絡み、今後も注目の森内閣支持率である。

(調査部 吉田 渉)