中央調査報

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■「中央調査報(No.523)」より

 ■ 地方自治体の「世論調査」の主題と傾向


全国世論調査の現況・平成12年版」(内閣府大臣官房政府広報室編)によると、平成11年度に地方自治体(都道府県および市)が企画実施した世論調査は合計706件である。その内訳は、44都道府県206件、300市500件であり、前年度に比べ全体で299件減少した。都道府県の世論調査が16件減少し、市の世論調査は283件と大幅に減少している。

1.都道府県の世論調査
─44都道府県が実施─
 平成11年度は44の都道府県が世論調査を実施した(前年度は46都道府県)。調査件数は206件と前年度を16件下回り、1都道府県あたりの平均調査件数も4.7件(前年度4.8件)とわずかに減少している。最近5年間の調査主体数および調査件数をまとめると(表1)のとおりである。

表1
─「郵送」が7割弱─
 調査方法では、「郵送」が68%を占めて最も多い。次いで「個別面接聴取」14%、「個別記入」11%の順である。(表2)は、最近5年間の傾向をまとめたものである。「郵送」が前年度から9ポイント増加した。「個別面接聴取」は変化がなく、「個別記入」は5ポイントの減少となっている。

表2
─「住民基本台帳」が3割強─
 調査対象者の抽出台帳についてみると、「住民基本台帳」が前年度より8ポイント増の33%、「選挙人名簿」は前年度より2ポイント減の21%である。また、「両者以外」は46%となっている(表3)。

表3
─「社会保障・ボランティア活動」「高齢者人口問題」が増加、「教育・青少年問題」、「生活意識」は大幅減─
 調査の主題についてみると、最も多いのは「地方自治行政問題」の35件で、以下、「教育・青少年問題」、「保健・医療問題」(いずれも17件)、「女性問題」、「災害・事故・環境(公害)問題」(いずれも16件)、「農林漁業問題(含山村)」(14件)、「社会保障・ボランティア活動」(13件)などの順になっている(なお、分類の都合上、主題が多方面にわたっている県政調査については「地方自治行政問題」として一括分類した)。最近5年間の主題傾向をまとめると(表4)のとおりで、前年度と比べ増加した主題は9項目、減少した主題は10項目である。増加した主題では、「社会保障・ボランティア活動」、「高齢者・人口問題」(ともに4件増)、「保健医療問題」(3件増)などとなっている、一方、減少した主題では、「教育・青少年問題」の12件減をはじめ、「生活意識(含社会意識)」(9件減)、「科学技術・エネルギー」(4件減)があげられる。

表4

2.市の世論調査
─48市減、283件減─
 市で実施した世論調査を前年度と比較すると、調査主体数では48市減少し、調査件数でも前年度を大幅に下回った(283件減)。1市あたりの平均調査件数は1.7件(前年度2.3件)で、また、調査を実施した市(300市)は全市(694市)の43%(前年度50%)にのぼる。最近5年間の調査主体および調査件数をまとめると、(表5)のとおりである。

表5
─「郵送」が8割弱─
 調査方法では、「郵送」が77%を占め、以下、「個別記入」(14%)、「個別面接聴取」(5%)の順である。前年度と比較すると、「郵送」は16ポイント増加してこの5年間で最高値、「個別記入」は変わらず、「個別面接聴取」は9ポイント減となっている。都道府県での調査方法と比較すると、「郵送」の比率が9ポイント高く、「個別面接」が9ポイント低くなっている(表6)。──「住民基本台帳」が8割弱──調査対象者の抽出台帳についてみると、「住民基本台帳」が79%を占める(前年度72%)。「選挙人名簿」は6%、「両者以外」は16%である。都道府県での構成比と比較すると、「住民基本台帳」のウエイトが2.4倍となっている。(表7)は、最近5年間の推移をまとめたものである。

表6

表7
─「地方自治行政問題」が続伸、「社会保障・ボランティア活動」「高齢者・人口問題」などは激減─
 調査の主題についてみると、最も多いのは「地方自治行政問題」の168件で、以下「地域社会(コミュニティ)」(61件)、「女性問題」(50件)、「災害・事故・環境(公害)問題」(37件)、「社会保障・ボランティア活動」(27件)などの順になっている(なお、分類の都合上、主題が多方面にわたっている市政調査については「地方自治行政問題」として一括分類した)。最近5年間の主題傾向をまとめると(表8)のとおりで、前年度と比べ増加した主題は7項目、減少した主題は10項目である。増加した主題では、「地方自治行政問題」の20件、「女性問題」(18件増)、「災害・事故・環境(公害)問題」(6件増)などがあげられる。一方で、前年度大幅な増加を示した「社会保障・ボランティア活動」が106件の減少をみせたほか、「高齢者・人口問題」が96件減、以下、「保健医療問題」(55件減)、「都市問題(含住宅、宅地)」(21件減)などが件数減となっている。
表8

3 .回収状況
(表9)は、最近5年間の都道府県および市で実施した世論調査の平均回収率をまとめたものである。都道府県の調査では、10年度までは増減を繰り返していたが、11年度は10年度に続いて減少し、2ポイント減となっている。市の調査では前年度よりも8ポイント減少した。この5年間では都道府県、市の調査ともに最も低い数値となった。都道府県と市を比較すると、都道府県調査の方が回収率が高くその差も10年度2ポイントに縮まった差が11年度は8ポイントに拡がり、再び9年度までと同じ傾向を示している。また、政府や民間の調査も含め、抽出(調査)方法別での平均回収率をまとめたものが(表10)である。無作為抽出に限ってみると、「個別記入」は前年度より0.5ポイントの微減だが、「個別面接聴取」、「郵送」はともに4ポイント減少した。(調査部 馬場英之)
表9

表10