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■「中央調査報(No.527)」より

 ■ 「喫煙に関する世論調査」にみる回答の推移


 時事通信社による「喫煙」に関連する世論調査を概観してみた。第1回目は1978年6月におこなわれ、2001年7月には第15回目となった。それぞれ全国の20歳以上男女2000人を対象に該当月の10日前後の平均4日間でおこなわれている。

―以下の調査年月に続く( )内は回収数。
 96年までは「嫌煙権」について質問
 78年6月(1549人)、83年9月(1546人)、87年5月(1493人)、88年5月(1474人)、89年4月(1480人)、90年4月(1434人)、91年6月(1536人)の各調査は「嫌煙権に関する世論調査」として報告されている。
 92年7月(1416人)、93年9月(1406人)、94年7月(1403人)、96年6月(1413人)調査は「喫煙(嫌煙権)に関する世論調査」、98年3月(1355人)、99年4月(1437人)、00年5月(1428人)、01年7月(1437人)調査は「喫煙に関する世論調査」として報告されている。

初回78年「喫煙の法的規制の是非」を問う
初回78年6月の質問と( )内はおもな回答。
・日頃タバコを吸うか(38.5%)
・「嫌煙権」を聞いたこと(68.6%)
・他人のタバコに迷惑を感じたか(52.6%)
・嫌煙権の主張をどう思うか(…吸う吸わないは各人の良識に51.1%…)
・嫌煙権確立の必要性(34.6%)
・確立させるための方法((1) 公共機関が率先49.8%,(2)市民運動で28.5%…)
・喫煙の法的規制の是非(当然17.9%,行き過ぎ49.1%,おかしい18.3%,わからない14.8%)
・禁煙すべき場所((1)学校・病院68.8%,(2)列車・電車内47%,(3)歩行中26.7%,(4)食料品を扱う店内15.6%…)

第2回83年「政府がタバコの害をPRすべき?」
83年9月から96年6月までの10回の質問と( )内はおもな回答の83年から96年への推移。
・日頃タバコを吸うか(35.5%→34.1%)
・非喫煙者に過去の喫煙習慣の有無・喫煙者に禁煙意向の有無(やめるつもりはない44.1%→50.8%)
・他人のタバコに迷惑を感じたか(55.8%→65.8%)
・迷惑する場所((1)列車・バス53.2%,(2)病院・保健所30.3%,(3)食堂・喫茶店28.4%,(4)駅やバス停20.0%…→(1)食堂・喫茶店47.6%,(2)列車・バス46.8%,(3)病院・保健所41.2%,(4)職場・学校30.5%…)
・「嫌煙権」を聞いたこと(64.6%→94年66.9%-96年にはこの質問は無し)
・嫌煙権の主張をどう思うか(…吸う吸わないは各人の良識に42.9%…→41.2%)
・嫌煙権確立の必要性(42.7%→42.8%)
・確立させるための方法((1) 公共機関が率先55.2%,(2)市民運動で23.2%…→(1)公共機関が率先52.9%,(2)法律で規制27.9%…)
・禁煙すべき場所((1)病院・保健所70.5%,(2)列車・バス41.7%,(3)職場・学校24.6%,(4)食堂・喫茶店14.0%…→(1)病院・保健所66.9%,(2)列車・バス33.6%,(3)食堂・喫茶店32.7%,(4)職場・学校30.7%…)
 83年9月は最後に「政府がタバコの害をもっとPR…すべきと思うか」の質問をしている(思う57.1%,思わない32.9%)。


第3回87年~11回96年「禁煙法制定の賛否」
 それ以外の9回は、公共施設での禁煙法制定の賛否を最後に問うている(87年5月:賛成32.4%,反対28.1%→96年6月:賛成40.1%,反対27.2%)。 

第12回98年「値上げへの賛否」 
第13回99年「航空機国際線全面禁煙賛否」
98年3月から01年7月の共通質問と( )内はおもな回答の98年から01年への推移。
・日頃タバコを吸うか(31.1%→29.4%)
・非喫煙者に過去の喫煙習慣の有無・喫煙者に禁煙意向の有無(やめるつもりはない42.0%→42.4%)・他人のタバコに迷惑を感じたか(65.2%→64.9%)
・迷惑する場所((1)レストラン・喫茶店36.5%,(2)駅構内やバス停29.5%,(3)病院29.0%,(4)列車24.7%…→(1)レストラン・喫茶店38.0%,(2)駅構内やバス停30.5%,(3)職場21.8%,(4)列車21.6%…)これに加えて98年3月と99年4月には、最近の増減の印象を質問している。( )内はその最多回答。
・喫煙者数(減43.8%→減44.5%)
・女性喫煙(増84.0%→増80.9%)
・未成年者喫煙(増74.3%→増73.2%)
・喫煙マナーの良い人(不変37.6%→不変37.7%)
・たばこの宣伝(減39.2%→減44.1%)
 さらに最後の質問として98年3月には、タバコ税収活用のための値上げへの賛否(賛成35.8%,反対37.1%)、99年4月には、航空機国際線の全席禁煙への賛否(賛成42.2%,どちらかというと賛成21.5%,どちらかというと反対14.9%,反対14.5%)を聞いている。


5年ごとの5回および今年の結果で傾向を分析
 喫煙者比率は38.5%から29.4%へと減少している。男性が72.1%から47.4%へと大きく減少したのに対し、女性は11.7%から14.1%へと漸増している。図1には非喫煙者率の推移を示した。
 図2には87年と01年の年代別非喫煙・喫煙者比率を並べた。年代別の回収数は少ないので、非喫煙・喫煙の境目にかけてサンプリング誤差範囲を線分で図示してみた。20歳代、30歳代の喫煙者比率の推移は、全体の減少傾向とは異なるようだ。

図1
図2
若年の喫煙行動がこれからの動向を左右?
 総務庁や国立公衆衛生院では未成年者の喫煙行動を調査しているということだが、そこでのおよその喫煙者比率、高校男子約35%高校女子約15%という数字がこれからの喫煙者の動向を左右するのではないだろうか。
 禁煙を助けるニコチンガム・パッチ(医薬品)のうちガムは大衆市販薬となった。未成年喫煙者への対応は単なる「禁止」から、成年喫煙者への対応と同様、医療の範疇へと変わってほしいものだと思う。

(管理部 久保田晶子)