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■「中央調査報(No.535)」より

 ■ 調理・台所仕事と台所機器
                       ~「世帯インデックス」調査より~


 中央調査社が実施している「世帯インデックス」調査の結果より、主婦の台所仕事に対する負担感、台所機器(電子レンジ、食器洗い機)の普及の推移などについてお知らせします。

1.主婦が負担に感じること~「炊事」「食後の後片付け」
 2001年9月に行った調査(1)によると、主婦が生活の中で負担に感じることは、「炊事」「食後の後片付け」(各34%)といった台所仕事が最も多く、以下「掃除」(29%)、「部屋の片付け」(28%)、「アイロンかけ」(23%)といった順になっています(図1)。主婦年齢別にみると、30代以下では「炊事」、40代以上では「食後の後片付け」がトップにあげられており、また、若い主婦ほど負担に感じる家事が多くなる傾向があります。
図1

 家事負担を軽減している方法としては、「夫婦で協力、分担して」(33%)、「こまめにして家事をためない」(29%)、「掃除・洗濯などの回数を減らす」(26%)が上位にあげられ、次いで「レトルト食品、惣菜などを利用している」(20%)となっています(図2)。「レトルト食品、惣菜などを利用している」の20%という数字は、調理食品利用の一般化や主婦の体面(2)などいろいろな要素が絡んでいると思われ、そのまま調理食品の利用率とはいえません。いずれにせよ、総務省の家計調査にみられるように(図3)、「中食」といわれる調理食品の利用が進んでいることは歴然としています。
図2
図3

 (図4)は、「レトルト食品、惣菜などを利用」及び「食器洗い機等の省力化機器を利用」(11%)、「外食や出前・宅配・テイクアウトなどを利用」(11%)の3項目について、主婦年齢別、主婦職業別の比率をみたものです。「レトルト食品、惣菜などを利用」と「外食や出前・宅配・テイクアウトなどを利用」はいずれも若い年代に多くあげられており、職業では前者はパート・アルバイト、後者はフルタイムの勤め人に最も多くなっています。
 また、「食器洗い機等の省力化機器を利用」については、年齢別の差はさほどなく、商工サービスの自営(家族従業)者に最も多くなっています。
図4



2.電子レンジ・食器洗い機の普及の推移

 台所仕事の省力化に関連する機器といえる、電子レンジと食器洗い機の普及の推移を調査結果(3)からふりかえってみます(2人以上世帯)。電子レンジが最初に国内で販売されたのは1961年ということですが、普及しはじめたのは70年代で、とくに80年代後半から90年代初めにかけて大きく伸びています(図5)。2001年3月には普及率は95%に達し、この10年で市場は買い替え中心に移行しました。
図5

 1980年3月と1990年3月時点における世帯主職業別の普及状況をみると(図6)、1980年時点では管理職・自由業世帯(比較的富裕層)と商工サービスの自営者世帯がリードしていましたが、1990年には事務系勤め人世帯でもこれらの層とかわりなく導入されたことがわかります。また、地域別にみると(図7)、1980年時点では近畿地方の普及が早く、関東地方はやや遅れていたのに対し、1990年時点では関東地方で大きく導入が進んだことがみてとれます。
図6
図7

 次に、今後期待されている食器洗い機の普及状況をみてみます。食器洗い機は90年代に入って普及の兆しをみせ、2001年3月には8.3%の普及率となっています(図8)。世帯主職業別(図9)では、やはり管理職・自由業世帯で普及率が高いですが、次いで商工サービスの自営者世帯となっており、これは先に見た図4の調査結果とも符合します。地域別では(図10)、九州を除く西日本で高く、東日本では低くなっています。西日本で普及率が高いのは、食器乾燥機(洗い機能のないもの)がすでに西日本で比較的普及しているという土壌があると思われます。
 新築増改築時などの導入を中心に、食器洗い機の普及は今後も進むと思われますが、世帯属性別、とくに首都圏や事務系勤め人世帯の導入動向も注目されます。

図8

図10


(1)世帯インデックス「世帯特性調査」
調査地域 全国
調査対象 2人以上世帯の主婦
標本数 3500(有効回収2214)
調査方法 郵送法
抽出方法 当社世帯マスターサンプルより層化無作為抽出
調査時期 2001年9月
(2)調理食品の利用が一般化するほど、家事軽減策としての印象は薄くなるとも考えられる。また、このての質問では主婦として体面のいい回答が選ばれやすい傾向があるように思う。
(3)世帯インデックス調査
調査地域 全国
調査対象 2人以上普通世帯
標本数 25000(有効回収20000前後)
調査方法 訪問留置
抽出方法 住民基本台帳より層化2段無作為抽出
調査時期 毎年3月

(調査部 宮下公一)