中央調査報

トップページ  >  中央調査報   >  以前の調査  >  地方自治体の「世論調査」の主題と傾向
■「中央調査報(No.551)」より

 ■ 地方自治体の「世論調査」の主題と傾向
「全国世論調査の現況・平成14年度版」(内閣総理大臣官房広報室編)によると、平成13年度に地方自治体(都道府県および市)が企画実施した世論調査は合計1147件である。その内訳は、42都道府県246件、346市901件であり、前年度に比べ全体で319件の増加をみせた。都道府県の世論調査は2件、市の世論調査は317件と増加した。


1.都道府県の世論調査
― 42都道府県が実施 ―
 平成13年度は42都道府県が世論調査を実施した(前年度は46都道府県)。調査件数は246件と前年度とほぼ同じ件数だが、1都道府県あたりの平均調査件数は5.9件(前年度5.3件)と増加している。最近5年間の調査主体数および調査件数をまとめると(表1)のとおりである。
表1

― 「郵送」が61% ―
 調査方法では、「郵送」が61%を占めて最も多い。次いで「個別記入」15%、「個別面接聴取」12%の順である。
 (表2)は、最近5年間の傾向をまとめたものである。「郵送」の比率は11年度をピークに減少傾向にあり、前年から5ポイント低下した。「個別面接聴取」は3ポイント増加したのに対し、「個別記入」は4ポイント低下した。
表2

― 「住民基本台帳」が3割 ―
 調査対象者の抽出台帳についてみると、「住民基本台帳」が前年度から3ポイント増加し33%、「選挙人名簿」も3ポイント増加し17%である。また、「両者以外」は6ポイント減少し49%となっている。
表3

― 「交通・通信・情報」が大幅増加 ―
 調査の主題についてみると、最も多いのは「地方自治行政問題」の48件で、2番目に「保健・医療問題」(30件)が続いている。以下、「社会保障・ボランティア活動」(29件)「教育・青少年問題」(26件)、「災害・事故・環境(公害)問題」(20件)、「交通・通信・情報」(19件)、「余暇・スポーツ・文化など」(17件)、「都市問題(含住宅・宅地)」(14件)「農林漁業問題(含山村)」(13件)などの順となっている(なお、分類の都合上、主題が多方面にわたっている県政調査については「地方自治行政問題」として一括分類した)。
 最近5年間の主題傾向をまとめると(表4)のとおりで、前年度と比べ増加した主題は10項目、減少した主題は11項目である。増加した主題では、「交通・通信・情報」が14件増加したほか、「社会保障・ボランティア活動」(12件増)、「地方自治行政問題」(9件増)、「余暇・スポーツ・文化など」(8件増)などがあげられる。一方で、「教育・青少年問題」(12件減)、「生活意識(含社会意識)」(10件減)、「女性問題」(9件減)などが減少している。
表4

2.市の世論調査
― 50市増、317件増 ―
 市で実施した世論調査を前年度と比較すると、調査主体数では50市増加し、調査件数では317件と大きく増加した。1市あたりの平均調査件数は2.6件(前年度2.0件)で、また、調査を実施した市(346市)は全市(698市)の50%(前年度43%)にのぼる。最近5年間の調査主体および調査件数をまとめると、(表5)のとおりである。
表5

― 「郵送」が4分の3 ―
 調査方法では、「郵送」が74%と全体の4分の3を占め、以下、「個別記入」(14%)、「個別面接聴取」(8%)の順である。前年度と比較すると、いずれの調査方法も概ね大きな変動はみられない。都道府県での調査方法と比較すると、「郵送」の比率が13ポイント高く、「個別面接聴取」は4ポイント、「個別記入」は1ポイント低くなっている。
表6

― 「住民基本台帳」が約3分の2 ―
 調査対象者の抽出台帳についてみると、「住民基本台帳」が63%を占めており、前年度から1ポイント低下した。「選挙人名簿」は2ポイント低下して3%、「両者以外」が微増して(2ポイント増)し34%である。都道府県での構成比と比較すると、「住民基本台帳」のウエイトが2倍近く高くなっている。(表7)は、最近5年間の推移をまとめたものである。
表7

―「社会保障・ボランティア活動」が3倍増に―
 調査の主題についてみると、最も多いのは「社会保障・ボランティア」の274件で、前年から3倍増となった。以下「地方自治行政問題」(120件)、「高齢者・人口問題」(88件)、「保健・医療問題」(77件)、「都市問題(含住宅・宅地)」(67件)、「教育・青少年問題」(64件)などの順となっている(なお、分類の都合上、主題が多方面にわたっている市政調査については「地方自治行政問題」として一括分類した)。
 最近5年間の主題傾向をまとめると(表8)のとおりである。前年度と比べ増加した主題は15項目、減少した主題は6項目である。増加した主題では、前述した「社会保障・ボランティア活動」の182件増のほか、「高齢者・人口問題」と「保健・医療問題」が50件以上の増加となっている。一方、減少した主題では、「地域社会(コミュニティ)」が11件減少しているが、その他はいずれも10件未満の減少にとどまっている。
表8

3.回収状況
 
(表9)は、最近5年間の都道府県および市で実施した世論調査の平均回収率をまとめたものである。都道府県の調査では、回収率はゆるやかに低下傾向を示していて13年度は前年度から2.1ポイント低下し、この5年間で最も低い回収率となった。市の調査では前年度から1.9ポイント上昇し、6割を超えた。都道府県と市を比較すると、過去5年間いずれも都道府県調査の方が回収率が高くなっているが、13年度は都道府県と市の回収率の差は3.8ポイントに縮まった。
表9

 また、政府や民間の調査も含め、抽出(調査)方法別での平均回収率をまとめたものが(表10)である。無作為抽出に限ってみると、「個別面接聴取」は2.5ポイント、「個別記入」は4.5ポイント前年度から増加している。(調査部  幸村 孝之)
表10