中央調査報

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■「中央調査報(No.573)」より

 地方自治体の「世論調査」の主題と傾向


 「全国世論調査の現況・平成16年度版」(内閣府大臣官房政府広報室編)によると、平成15年度に、地方自治体(都道府県および市)が企画実施した世論調査は、合計1,001件である。前年度の合計(917件)と比較すると、全体で84件増加している。その内訳をみると、平成15年度では47都道府県で219件、328市で782件、世論調査が実施されたが、前年度と比較すると、都道府県の調査は1件減少し、市の調査は85件増加している。


1.都道府県の世論調査
   ―47都道府県が実施―

 平成15年度は47都道府県が世論調査を実施した(前年度は43都道府県)。調査件数は219件と前年度(220件)よりも減少し、1都道府県あたりの平均調査件数についても4.7件と前年度(5.1件)よりも減少している。最近6年間の調査主体数および調査件数をまとめると(表1)のとおりである。

表1


   ―「郵送」が59%―

 調査方法についてみると、「郵送」が59%を占めて最も多い。次いで「個別記入」18%、「個別面接聴取」10%の順である。
 (表2)は、最近6年間の調査方法の傾向をまとめたものである。全体に占める「郵送」の割合は、11年度が最も高く68%であったが、平成15年度は、前年度より1ポイント減の59%であった。また、「個別面接聴取」も10%と前年度より1ポイント減少している。「個別記入」は前年度(21%)より3ポイント減少し、18%となっている。

表2


   ―「住民基本台帳」が3割―

 調査対象者の抽出台帳についてみると、「住民基本台帳」が前年度から3ポイント増加し28%、「選挙人名簿」は6ポイント増加し23%である。一方、「両者以外」は10ポイント減少し48%となっている。

表3


   ―「地方自治行政問題」が41件―

 調査の主題についてみると、最も多いのは「地方自治行政問題」で41件で、次いで「教育・青少年・子育て問題」(37件)となっている。以下、「社会保障・福祉・ボランティア活動」(24件)、「保健・医療・健康」(24件)、「災害・事故・環境(公害)」(15件)、「都市問題(含住宅・宅地)」(15件)、「女性・共同参画」(14件)、「防犯・治安・人権」(13件)、「余暇・スポーツ・文化など」(8件)などの順となっている(なお、分類の都合上、主題が多方面にわたっている県政調査については「地方自治行政問題」として一括分類した)。


2.市の世論調査
   ―10市増、85件増―


 市で実施した世論調査を前年度と比較すると、調査主体数では10市増加し、調査件数では85件増加している。1市あたりの平均調査件数は2.4件(前年度2.2件)となっている。最近6年間の調査主体および調査件数をまとめると、(表5)のとおりである。

表5


   ―「郵送」が8割―

 調査方法では、「郵送」が79%を占めて最も多い。以下、「個別記入」(13%)、「個別面接聴取」(2%)である。前年度と比較すると、「郵送」が増加し、「個別記入」、「個別面接聴取」はともに減少している。
 都道府県での調査方法と比較すると、市での調査において「郵送」の比率が20ポイント高くなっている。一方、「個別記入」の割合は5ポイント、「個別面接聴取」は8ポイント低くなっている。

表6


   ―「住民基本台帳」が約4分の3―

 調査対象者の抽出台帳についてみると、「住民基本台帳」が77%を占めており、前年度(72%)から5ポイント増加した。「選挙人名簿」は変らず1%、「両者以外」は5ポイント低下し、22%である。都道府県での構成比と比較すると、「住民基本台帳」のウエイトが極めて高い(49ポイント差)。一方、「選挙人名簿」のウェイトは、都道府県では23%であるのに対し、市においては1%であり、22ポイントの開きがある。(表7)は、最近6年間の推移をまとめたものである。

表7


   ―「教育・青少年・子育て」が大幅増―

 調査の主題についてみると、最も多いのは「教育・青少年・子育て」の227件で、前年から169件増となった。以下、「地方自治行政問題」(177件)、「社会保障・福祉・ボランティア活動」(78件)、「保健・医療・健康」(54件)、「都市問題(含住宅・宅地)」(48件)、「女性・共同参画」(46件)などの順となっている(なお、分類の都合上、主題が多方面にわたっている市政調査については「地方自治行政問題」として一括分類した)。

表8

(調査部 門脇一茂)