中央調査報

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■「中央調査報(No.585)」より

 地方自治体の「世論調査」の主題と傾向


 「全国世論調査の現況・平成17年度版」(内閣府大臣官房政府広報室編)によると、平成16年度に、地方自治体(都道府県および市)が企画実施した世論調査は、合計916件である。前年度の合計(1,001件)と比較すると、全体で85件、減少している。その内訳をみると平成16年度では45都道府県で204件、294市で712件、世論調査が実施されたが、前年度と比較すると、都道府県の調査は15件、市の調査は70件、ともに減少している。


1.都道府県の世論調査
   ―45都道府県が実施―

 平成16年度は45都道府県が世論調査を実施した(前年度は47都道府県)。調査件数は204件と前年度(219件)よりも減少し、1都道府県あたりの平均調査件数についても4.5件と前年度(5.1件)よりも減少している。最近6年間の調査主体数および調査件数をまとめると(表1)のとおりである。

表1



   ―「郵送」が60%―

 調査方法についてみると、「郵送」が60%を占めて最も多い。次いで「個別記入」15%、「個別面接聴取」12%の順である。
 (表2)は、最近6年間の調査方法の傾向をまとめたものである。全体に占める「郵送」の割合は、11年度が最も高く68%であったが、平成14年度は、前年とほぼ同じ60%であった。また、「個別面接聴取」も12%と前年度とほぼ同じ水準である。一方、「個別記入」は前年度(18%)より3ポイント減少し、15%となっている。

表2



   ―「住民基本台帳」が3割―

 調査対象者の抽出台帳についてみると、「住民基本台帳」が前年度から6ポイント増加し34%、「選挙人名簿」も3ポイント増加し26%である。一方、「両者以外」は8ポイント減少し40%となっている。

表3



   ―「地方自治行政問題」が増加―

 調査の主題についてみると、最も多いのは「地方自治行政問題」で51件で、次いで「社会保障・福祉・ボランティア活動」(25件)となっている。以下、「教育・青少年・子育て」(21件)、「女性・共同参画」(20件)、「農林漁業問題(含山村)」(13件)、「災害・事故・環境(公害)」(12件)、「保健・医療・健康」(12件)、「余暇・スポーツ・文化など」(10件)、「消費動向」(7件)などの順となっている(なお、分類の都合上、主題が多方面にわたっている県政調査については「地方自治行政問題」として一括分類した)。

表4


2.市の世論調査
   ―34市、70件減―


 市で実施した世論調査を前年度と比較すると、調査主体数では34市減少し、調査件数では70件減少している。1市あたりの平均調査件数は2.4件(前年度2.3件)となっている。最近6年間の調査主体および調査件数をまとめると、(表5)のとおりである。

表5



   ―「郵送」が8割―

 調査方法では、「郵送」が80%と全体の8割を占め、以下、「個別記入」(11%)、「個別面接聴取」(5%)の順である。前年度と比較すると、いずれの割合も概ね大きな変動は見られない。
 都道府県での調査方法と比較すると、市での調査において「郵送」の比率が20ポイント高くなっている。一方、「個別記入」の割合は4ポイント、「個別面接聴取」は7ポイント低くなっている。

表6



   ―「住民基本台帳」が約3分の2―

 調査対象者の抽出台帳についてみると、「住民基本台帳」が70%を占めており、前年度(77%)から7ポイント減少した。「選挙人名簿」は1ポイント上昇して2%、「両者以外」は6ポイント上昇し、28%である。都道府県での構成比と比較すると、「住民基本台帳」のウエイトが2倍近く高くなっている。一方、「選挙人名簿」のウェイトは、都道府県では26%であるのに対し、市においては2%であり、24ポイントの開きがある。(表7)は、最近6年間の推移をまとめたものである。

表7



   ―「社会保障・ボランティア活動」が3倍増に―

 調査の主題についてみると、最も多いのは「社会保障・福祉・ボランティア活動」の211件で、前年から133件増となった。以下、「地方自治行政問題」(185件)、「教育・青少年・子育て」(49件)、「余暇・スポーツ・文化など」(38件)、「女性・共同参画」(37件)「災害・事故・環境(公害)」(37件)などの順となっている(なお、分類の都合上、主題が多方面にわたっている市政調査については「地方自治行政問題」として一括分類した)。

(調査部:濱田江里子)