中央調査報

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■「中央調査報(No.613)」より

地震に関する世論調査


 時事通信社では、2008年9月12日から15日にかけて、無作為に選んだ全国20歳以上の男女2,000人を対象に「地震に関する世論調査」を実施した。 この調査は、調査員による個別面接聴取法で行い、1,333人から回答を得た。なお、前回調査は、2007年9月に行っている。

1.大地震の発生への不安感
自分の住んでいる地域で、近く大地震が起きるのではないかという不安を感じているかどうかを尋ねたところ、「強く感じている」と答えた人の割合は25.1%(前回25.2%)、 「多少感じている」は47.7%(前回46.6%)となっている。これらの合計、いわば“不安派”は、72.8%と前回調査の71.9%と比べやや増加している。
 一方、「あまり感じていない」21.8%(前回22.2%)と「全然感じていない」5.4%(前回5.3%)を合わせた“楽観派”は27.2%(前回27.5%)となっている。(図1)

図1


 “不安派”を地域ブロック別にみると、東京近郊を含む「京浜」が81.7%(前回82.5%)で最も高く、次いで「関東」が81.2%(前回73.0%)で2位、 3位は「東海」で80.7%(前回85.8%)だった。
 上位3地域ブロックはいずれも東日本に位置する地域が占めている。これらの地域ブロックでは“不安派”の占める割合が8割を超え、全体の72.8%に比べ10ポイント近く高くなっている。
 また、前回調査との比較では、「中国」(10.2ポイント増)、「阪神」(9.6ポイント増)、「関東」(8.2ポイント増)では不安を感じる層が増加している。 一方、「四国」(25ポイント減)、「九州」(10.2ポイント減)では10ポイント以上減少している。(図2)

図2


2.地震発生時の心配事、対策・準備
 次に、仮に住んでいる地域で地震が発生した場合、どんなことが心配であるかを複数回答で尋ねたところ、 「建物や塀の倒壊」が68.1%(前回67.0%)で最も多く、次いで「火災の発生」(55.9%・前回56.2%)、「食料や飲料水の確保」(52.2%・前回52.7%)の順となっている。
(図3)

図3


 また、地震に備えて対策や準備をしているか(複数回答)を尋ねたところ、最も多かったのが「していない、わからない」の43.5%だった。 以下、「避難場所の確認」(32.3%)、「食料品や医薬品などの用意」(23.6%)、「連絡の取り方などについての家族との話し合い」(20.4%)、 「家具の補強」(17.8%)の順となっている。(図4)

図4


 「していない、わからない」と答えた人の割合を都市規模別にみると、18大都市が38.3%、その他の市が44.5%、郡・町村が50.0%であり、 大都市と郡・町村では12ポイント近い差がみられる。
 性別にみると、男性が45.3%、女性が41.8%と男性の方がやや高くなっている。
年代別にみると、20歳代が57.3%と他の年代と比べ10ポイント以上の差がみられる。(図5)

図5


3.地震発生時の心配事、対策・準備
 「地震発生の予知は難しいので、そのための研究に力を入れるよりは、地震が発生した後の被害を最小限に抑える研究に重点を置いた方がよい」との意見に賛成か反対かを尋ねたところ、 「賛成」は36.2%、「どちらかといえば賛成」は39.0%で、両者を合わせた“地震予知懐疑派”は75.2%であった。 一方、「どちらかといえば反対」(11.2%)と「反対」(5.7%)を合わせた“地震予知優先派”は16.9%となった。
 “地震予知懐疑派”の割合は前回調査の71.4%より3.8ポイント増加し、全体の4分の3を占め、最近4年間で最も高くなっている。 一方、“地震予知優先派”は2年連続で減少しており、最近4年間で最も低い数値となっている。(図6)

図6


 地震研究においては、地震発生の予知が非常に難しいという現状を踏まえ、正確な予知よりも、発生後の被害を最小限に抑える研究への要望がより一層強まっている。


(調査部 浜田江里子)