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■「中央調査報(No.618)」より

「生活のゆとり」に関する世論調査

 生活にゆとりを感じていない人の割合は全体の59.9%と、ほぼ6割に上ることが、時事通信社が実施した「生活のゆとりに関する世論調査」で明らかになった。理由として、「収入が少なく、自由に使えるお金があまりない」が最多で、「老後への備えが十分でない」「貯蓄が少ない」も上位を占めている。調査は2月6日から9日までの4日間。全国の成人の男女2,000人を対象に、個別面接聴取方式で実施。有効回収率は66.3%だった。前回調査は昨年2月に行った。

1.生活にゆとりを感じているか
 生活全体にゆとりを「感じている」と答えた人は6.9%、「どちらかといえば感じている」と答えた人は31.2%で、合わせた“ゆとり実感派”は38.1%と4割未満。一方、「感じていない」は30.6%、「どちらかといえば感じていない」は29.3%で、合わせた“ゆとり非実感派”は59.9%とほぼ6割に上る。
 前回と比べると、“ゆとり非実感派”は横ばいであるが、「感じていない」と強く言い切る人の割合は9ポイントの増加となっている。

図1

 “ゆとり実感派” の割合は、都市規模別では18大都市で39.6%、その他の市で38.3%、郡・町村で33.1%となり、都市部ほど高い。
 性別では、男性35.3%、女性41.0%となり、女性でやや高い。

図2

 年代別では、60歳以上で46.0%、次いで20歳代で40.0%と、若者と高齢者で比較的多い。一方、30歳代では32.6%と、“ゆとり実感派”は3人に1人の割合、40歳代(25.5%)では4人に1人の割合にとどまり、30~40歳代でゆとり感がないのが見てとれる。
 また、全体の59.9%を占める“ゆとり非実感派”の人に、ゆとりを感じていない理由を挙げてもらったところ、「収入が少なく自由に使えるお金があまりない」が最も多く54.4%であった。以下、「老後への備えが十分でない」47.0%、「貯蓄が少ない」42.7%、「年金や保険など社会保障費の負担が大きい」33.5%、「税の負担が大きい」31.1%と、上位には金銭面での理由が挙げられた。金銭面での理由としてはこの他、「子供の教育にお金がかかる」21.3%、「住宅ローンの負担が大きい」14.7%もあった。

図3

2.ゆとりを感じる上で大切な要素
 さらに、ゆとりを感じる上で大切な要素は何かを聞いた。「お金」が77.1%、「健康」が76.5%と多く、「時間」も48.2%と半数近くの人が挙げた。以下、「仕事」22.9%、「自分自身の価値観」18.0%、「地域の環境」12.5%、「住まい」10.8%、「会社の施設や制度」5.4%となっている。

図4

 上位3位の「お金・健康・時間」を年代別にみると、20歳代~50歳代の各層は「お金」、60歳以上は「健康」を挙げる人が最も多かった。「時間」については、30 歳代が最も多く、年代が上にいくにつれて重要度が低下している。

図5

3.家庭生活におけるゆとりのある過ごし方
 家庭生活におけるゆとりのある過ごし方については、「家族が一緒に食事をするなどの一家団らん」が最も多く61.7%、次いで、「スポーツを楽しんだり趣味に打ち込む」54.9%、「家族が一緒にレジャーや買い物に行く」53.1%と5割以上の人が挙げている。
 以下、「知人・友人宅に出向いたり自宅に招待する」30.3%、「好きなテレビやビデオを見る」27.8%、「何もしないでのんびりとくつろぐ」25.1%、「読書する(新聞や雑誌を含む)」23.4%などとなっている。

図6

 年代別に上位3位までを見ると、20歳代では上位3つの項目すべてが6割台で差は小さい。30歳代では、「一家団らん」「家族でレジャー」が7割以上を占め、家族が中心となっている。40歳代以上になると、「一家団らん」と「家族でレジャー」を挙げる人は減少してくる。特に「家族でレジャー」の減少率が著しく、60歳代では38.2%と4割を切っている。「スポーツや趣味」は30歳代以降おおむね5割以上となり、世代間での変化は少ない。

図7

(調査部 北村暁子)