中央調査報

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■「中央調査報(No.621)」より

 ■ 「世論調査の現況」

 内閣府大臣官房政府広報室では、昭和27年度より毎年度、「世論(意識)調査」の実施状況について、国の行政機関、地方公共団体、大学、報道機関、一般企業、各種団体等に照会し、その回答に基づいて「全国世論調査の現況」を編集している。
 「全国世論調査の現況 平成20年版(平成19年4月~平成20年3月調査実施分)」によると、平成19年度に地方自治体(都道府県および市・区)が企画・実施した対象者数500人以上の世論調査は931件となっており、前年度(975件)と比較すると44件減少している。都道府県が実施した世論調査は140件と、前年度(134件)より6件増加し、市・区が実施した世論調査は791件と、前年度(841件)より50件減少している。

1.都道府県の世論調査
 平成19年度は40の都道府県で世論調査を実施した。調査実施数も前述の通り、140件と前年度よりも増加している。表1は最近5年間の調査実施都道府県数および調査実施数をまとめたものである。
 これによると、平成15年度にはすべての都道府県において世論調査が実施され、その後、都道府県数、実施数ともに減少していたが、平成19年度は僅かではあるが増加した。

表1

 次に、世論調査実施の内容についてみてみる。まず、調査主題であるが、表2は最近5年間の調査主題の推移をまとめたものである。これによると、平成19年度において、最も多かったものは「地方自治行政問題」42件で、次いで、「教育・青少年・子育て」16件、「保健・医療・健康」13件、「社会保障・福祉・ボランティア活動」「災害・事故・環境(公害)」11件となっている。
 前年度と比較してどのような調査主題が増加しているのかをみてみると、「地方自治行政問題」が27件から42件と増加し、「社会保障・福祉・ボランティア活動」「災害・事故・環境(公害)」なども増加しており、それぞれ平成17年度とほぼ同数となっている。一方、減少している調査主題は、「教育・青少年・子育て」が29件から16件にほぼ半減し、「地域社会(コミュニティ)」も11件から1件に減少している。この他、「防犯・治安・人権」「交通・通信・情報」「農林漁業問題(含山村)」なども減少している。

表2

 次に、調査方法であるが、表3は最近5年間の調査方法の推移をまとめたものである。これによると、「郵送法」は前年度その割合を減らしたが、平成19年度は10%以上増加し、約70%となっている。「個別面接聴取法」は僅かながら増加し、平成17年度とほぼ同数となっている。

表3

2.市・区の世論調査
 平成19年度は314の市・区で世論調査を実施した。調査実施数も前述の通り、791件と前年度よりも減少している。表4は最近5年間の調査実施市・区数および調査実施数をまとめたものである。これによると、市・区数および実施数は平成17年度、平成18年度と増加傾向にあったが、平成19年度は減少し、平成15年度とほぼ同数となっている。

表4

 次に、世論調査実施の内容についてみてみる。まず、調査主題であるが、表5は最近5年間の調査主題の推移をまとめたものである。これによると、平成19年度において、最も多かったものは「地方自治行政問題」209件、次いで、「社会保障・福祉・ボランティア活動」169件、「都市問題(含住宅・宅地)」84件、「保健・医療・健康」69件、「教育・青少年・子育て」48件、「交通・通信・情報」44件となっている。
 前年度と比較して、どのような調査主題が増加しているのかをみてみると、「社会保障・福祉・ボランティア活動」が127件から169件に、「都市問題(含住宅・宅地)」が23件から84件に、「余暇・スポーツ・文化など」が14件から29件にと、この3つが大きく増加している。一方、減少している調査主題は、「教育・青少年・子育て」が76件から48件に、「女性・共同参画」が59件から37件に、「地域社会(コミュニティ)」が139件から22件に、「防犯・治安・人権」が26件から14件に減少している。この他、「生活意識(含社会意識)」「消費動向」「広報(広告)効果」なども減少している。

表5

 次に、調査方法であるが、表6は最近5年間の調査方法の推移をまとめたものである。これによると、「郵送法」が平成15年度以降、80%ほどを占めている。その一方で、「個別面接聴取法」は減少の傾向で、平成19年度は13件、その割合は2%となっている。

表6

3.平均回収率
 都道府県および市・区で実施した世論調査の平均回収率の推移をまとめたものが表7である。これによると、都道府県の調査では、前年度、僅かながら上昇したのだが、平成19年度は55.5%と再び低下しており、平成16年度、平成17年度に近い平均回収率になっている。一方、市・区の調査では、53.2%と前年度より僅かに上昇しており、平成15年度とほぼ同じ平均回収率に戻った。

表7

 政府広報室が照会した対象機関(国の行政機関、地方公共団体、大学、報道機関、一般企業、各種団体等)全体の平均回収率および調査方法別の平均回収率の推移をまとめたものが表8である。対象機関全体の平均回収率は前年度より僅かではあるが上昇し、平成19年度は54.5%となっている。また、調査方法別についてみてみると、「個別面接聴取法」以外の調査方法における平均回収率はいずれも上昇しているが、「個別面接聴取法」はさらに平均回収率が低下し、この5年間で7%ほど低下している。

表8

 次に、対象者の抽出方法別に平均回収率の推移をまとめたものが表9である。「無作為抽出法」によって対象者を抽出した調査は、年々平均回収率が低下していたが、平成19年度は50%を上回り、52.7%となっている。

表9

 「全国世論調査の現況」では、ある基準以上の有効回収数や回収率の調査については、調査対象者、標本数、有効回収数(回収率)、抽出方法、調査方法、調査項目といった調査の概要を「主要世論調査一覧」として収録している。平成16年版までは有効回収数が500人以上で回収率が60%以上、平成17年版では有効回収数500人以上で回収率55%以上、平成18年版では有効回収数500人以上で回収率50%以上、平成19年版では有効回収数400人以上で回収数50%以上の調査を収録している。平成20年版では、有効回収数ではなく、標本数が1,000人以上で回収率が50%以上の調査を収録している。

(調査部 萩原伸雄)