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■「中央調査報(No.636)」より

「生きがい」に関する世論調査

 時事通信社では、「生きがい」に関する世論調査を8月6日から9日までの4日間、20歳以上の男女2,000人を対象に面接聴取法で行った(有効回収数1,357人)。以下では、「生きがい」の有無、仕事と「生きがい」の関係、「生きがい」の内容、「生きがい」のために努力したいと思っていることについて紹介していく。

1.「生きがい」の有無
―「持っている」が76.3%

 「生きがい」の有無について全員に尋ねたところ、76.3%が「持っている」と回答し、「持っていない」7.5%、「どちらともいえない」15.5%、「わからない」0.7%を大きく上回る結果となった。男女別にみると、「生きがいを持っている」と回答した割合は男性で77.8%、女性で75.0%である。
 年代別にみると、大きな差は無いものの、30歳代と40歳代で「生きがいを持っている」と回答した割合が8割を超え、他の年代よりもやや多くなっている(図1)

図1

2.「生きがい」と仕事の関係
 続いて、「生きがいを持っている」と答えた人に、「仕事(学業や家事・育児を含める)」と「仕事以外」で分けたとき、どちらに「生きがい」を感じるか聞いたところ、「仕事(計)」と答えた者は30.5%だった(「仕事」19.6%、「どちらかといえば仕事」10.9%)。一方、「仕事以外(計)」と答えたのは43.0%で(「仕事以外のこと」28.4%、「どちらかといえば仕事以外のこと」14.6%)、「仕事以外」に「生きがい」を感じている者の方が、「仕事」に「生きがい」を感じている者より多いことが分かった。
 「これを職種別にみると、商工サービス業では、「仕事(計)」に「生きがい」を見出している者が48.9%にのぼり、「仕事以外(計)」に「生きがい」を感じている者(18.5%)より30.4ポイント多い。自由業・管理職、農林漁業においても同様の傾向がみられる。逆に、最も「仕事以外(計)」に「生きがい」を感じていると回答したのは、無職の主婦であった(51.1%)。事務職、労務職においても同様に、「仕事以外(計)」を選択した人の方が、「仕事(計)」と回答した人より多い(図2)

図2

3.「生きがい」の内容
 「生きがいを持っている」と答えた人に、具体的な「生きがい」の内容を複数選択してもらったところ、「趣味・レジャー」と回答した者が最も多く51.2%であった。次に「家族やペットのこと(一緒に過ごす時間、子どもの成長など)」が49.5%で続く。
 男女別にみると、男性で最も多い回答は「趣味・レジャー」の55.6%であり、「仕事・学業」42.9%が次に続く。一方、女性では、「家族やペットのこと(一緒に過ごす時間、子どもの成長など)」を選択した割合が56.8%と最も多く、「趣味・レジャー」が47.0%で続いている。男性で4割を超えた「仕事・学業」は女性では26.1%にとどまっている。「自分自身の健康づくり」は男女ともに約2割、「社会活動」は男女ともに約1割の者が「生きがい」として選んでおり、両者とも男女間で大きな差はみられない(図3)

図3

 4.「生きがい」のために努力したいと思っていること
 最後に、全員に「生きがい」のために努力したいと思っていることがあるかどうかを複数選択してもらったところ、「趣味を深める・新しい趣味を見つける努力をする」と回答した割合が最も多く47.5%にのぼった。続いて「友人など家族以外の人と積極的に交流する」が38.8%、「家族やペットと過ごす時間、コミュニケーションを増やす」が37.4%となっている。
 男女別にみると、男性では、「趣味を深める・新しい趣味を見つける努力をする」と回答した者が最も多く50.9%であった。次に多いのは「仕事や学業にやりがいを持って取り組む」の35.2%である。一方、女性では、「友人など家族以外の人と積極的に交流する」が44.7%、「趣味を深める・新しい趣味を見つける努力をする」が44.4%と両者が上位に並んでいる。
 「生きがい」の内容と同様、男性で3割を超えた「仕事や学業にやりがいを持って取り組む」は、女性では21.2%にとどまっている(図4)

図4

 5.まとめ
 以上が『「生きがい」に関する世論調査』の概要である。全体では7割以上の人が「生きがい」を持っているが、仕事と「生きがい」の関係では職業別で、「生きがい」の内容では男女別で異なる傾向がみられた。男性では「仕事志向」が、女性では「家族・友人志向」がそれぞれ強くなっている。従来のライフスタイルが変化する中、今後の動向が注目される。


(調査部 鈴木亜希子)