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■「中央調査報(No.646)」より

父親の育児参加に関する世論調査

 時事通信社では、「父親の育児参加に関する世論調査」を継続実施しており、本年が12回目となる。今回の調査は2011年6月10日から13日、全国で20歳以上の男女2,000人を対象に面接聴取法で行われ1,340人から回答を得た。初回調査は1999年6月、前回調査は昨年6月に実施されている。

1.父親が育児に参加することに対する考え
 「父親は許す範囲内で育児に参加すればよい」とする“マイペース派” が53.2%と最も多く、次いで「父親も育児を分担して積極的に参加すべき」とする“積極参加派” が39.1%、「父親は外で働き、母親が育児に専念すべき」とする“伝統的子育て派” が6.6%となった。前回調査と比較すると、“積極参加派”が4ポイントの増加となった。本調査を開始した1999年からみると、“積極参加派”は増加傾向にある。
 年齢別にみると、“伝統的子育て派” は全年代で前回より減少したが、“積極参加派” は40歳代を除いて前回より増加した。特に20歳代では“積極参加派” が14ポイント増加し5割を超えた。また、50歳代も“積極参加派”は10ポイントの増加となった。本調査を開始した1999年からみると、“積極参加派”は全年代で増加している。(図1)

図1


2.父親の育児参加状況(複数回答)
 「お風呂に入れる」が75.2%、「遊び相手をする」が74.0%と、父親の4人に3人はこれらの育児参加をした(している)と答えている。以下、「おしめをかえる」44.0%、「ミルクを飲ませたり、ご飯を食べさせたりする」42.6%、「寝かしつける」37.3%、「保育園などの送迎」26.7%の順となった。また、「育児に参加していなかった(参加していない)」は13.8%となった。
 前回調査と比較すると、育児参加のいずれの項目も増加している。本調査を開始した1999年からみると、育児参加の度合いは増加の一途をたどっている。前項「1.父親が育児に参加する事に対する考え」で“積極参加派” が1999年から増加しているが、意識だけではなく、実際の参加状況にも反映されている。(図2)

図2


3.実際の父親の育児参加への評価
 実際の、父親の育児への参加程度についてどのように評価するか聞いたところ、「積極的」20.6%、「どちらかというと積極的」24.2%を合わせた『積極的参加』は44.8%、「消極的」3.2%、「どちらかというと消極的」11.0%を合わせた『消極的参加』は14.2%となった。前回調査から質問文に一部変更があるが、結果にはあまり変化はみられない。
 性別でみると、男性に比べ、女性の方が『積極的参加』と父親の育児参加を評価する割合が高い。男性自身の評価は「まあまあ」とする割合が女性より高い。(図3)

図3

4.男性の育児参加の割合が低い理由(複数回答)
 「仕事で育児をする時間がとれないから」が67.2%と最も高く、以下、「育児参加を後押しする行政支援が少ないから」37.2%、「『育児は女性の仕事』と考えているから」33.5%、「育児の仕方がよくわからないから」28.7%、「『育児は面倒くさい』と考えているから」17.2%の順となった。
 時系列でみると、「育児参加を後押しする行政支援が少ないから」が前回調査より7ポイントの増加となり、前回までは2番目に多かった「『育児は女性の仕事』と考えているから」の割合を今回は上回った。「育児参加を後押しする行政支援が少ないから」は調査開始の1992年以来、増加傾向にあり、男性の育児を支援する行政の取り組みが待たれている。(図4)

図4


5.男性の育児参加を促すために必要なこと(複数回答)
 「父親自身が『育児に参加する』気持ちを持つ」が52.9%と最も高く、以下、「労働時間の短縮など職場の環境を改善する」47.1%、「育児参加を後押しする行政支援を充実させる」41.3%、「『育児は女性の仕事』という意識を改める」33.1%となった。
 時系列でみると、「労働時間の短縮など職場の環境を改善する」「育児参加を後押しする行政支援を充実させる」は増加傾向にある。男性の育児参加に対しては、男性自身の意識の問題だけではなく、社会的な環境の整備が必要と考えられるようになっている。(図5)

図5

(調査部 君島ゆかり)