中央調査報

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■「中央調査報(No.650)」より

地上デジタル放送に関する世論調査

 時事通信社は、2011年9月8日から11日にかけて「地上デジタル放送に関する世論調査」を実施した。本調査は、全国から無作為に選んだ20歳以上の男女2,000人を対象に調査員による面接聴取法で行われ、1,299人から回答を得た。なお、本テーマでの調査は今回が初めてである。

1.地デジ放送の視聴環境
 はじめに、地デジ放送を見ることができるかとの質問では、「見ることができる」が97.9%、「見ることができない」が2.1%という結果となった。去る7月24日に地上アナログ放送が多くの地域で停波となった。先だって国民は地デジ放送視聴環境の準備を促されたが、この点に関しては一定の成果を得たようだ。年齢階層別の比率を見ると、20歳代で96.4%、30歳代で96.5%と若年層ではわずかに低い結果が出た。

図1


2.地デジ視聴のためにしたこと
 次に、地デジ視聴のために何をしたかという問に対して、「地デジ対応テレビを買った」という回答が84.7%を占めた。多くの人が以前より保有するテレビを利用するのではなく、新たにテレビの買い換えや買い増しに走ったようだ。その他、「チューナーや地デジ対応録画機などの購入」は15.7%、「ケーブルテレビへの加入」は12.8%、「地デジ対応アンテナの購入」が14.5%、「インターネット接続サービスへの加入」が4.3%、「チューナー内蔵PCやPC用チューナーの購入」が1.7%、そして「特に何もしていない」は3.9%となっている。

図2


3.地デジを見るためにかかった費用
 地デジを見るに当たりかかった費用について、金額を区分してたずねた質問では、「10万~20万円未満」の回答が29.4%で最も多かった。また、「20万円以上」という回答が25.0%となっている。「5万~10万円未満」の回答も20.0%に上り、高額の区分が大きな割合を占める結果となった。それ以外では、「5千円未満」が7.1%、「3万~5万円未満」が6.3%、「1万~3万円未満」2.8%、「5千~1万円未満」2.0%の順となっている。

図3


4.地デジ化してよかった点
 地デジ化のメリットについて、選択肢から選ぶ形式でたずねたところ、「画質や音質がよくなった」が全体で67.4%となった。他に「データ放送でいつでもニュースや天気予報などを確認できる」は同37.6%、「番組表を画面で見られる」は32.6%、「テレビが薄型になり、快適だ」が27.8%で全項目とも比較的賛同を得ている。年齢階層別に見ると、30歳代と40歳代は多くの項目で他の階層よりも満足している。逆に賛同を得られなかった項目として、「リモコンや機器の操作が簡単だ」の6.3%、「双方向サービスで番組などに参加できる」の3.9%を挙げることができる。また、60歳以上の階層では画質や音質の次に「テレビが薄型になり、快適だ」(28.2%)が挙げられ、機能面よりデザインや大きさなどに満足しているようだ。

図4


5.地デジ化してよくない点
 地デジ化のデメリットについて同様にたずねたところ、「特にない・わからない」が全体で37.3%と最も大きく、「機器の買い替え費用がかかった」の32.3%、「壊れていないテレビを廃棄してもったいない」の25.6%と次ぐ。年齢階層別では、60歳以上で「機能が多く使いこなせない」19.2%、「リモコンや機器の操作が難しい」14.3%といずれも他の階層より高くなっている。一方、「難視聴地域や受信できない地域の対策が不十分だ」が20歳代で8.6%、30歳代で7.4%と他の階層に比べて高く、年齢階層で不満に思っていることに違いが見られた。

図5


(調査部 鳥居薫)