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■「中央調査報(No.674)」より

新幹線に関する世論調査

 時事通信社では、2013年9月6日から9日にかけて、無作為に選んだ全国20歳以上の男女2,000人を対象に「新幹線に関する世論調査」を実施した。この調査は、調査員による個別面接聴取法で行い、1,293人から回答を得た。

1.新幹線の安全性についてのイメージ
 東海道新幹線は2014年10月1日に開業50周年を迎え、この半世紀近くで北は青森、南は鹿児島まで路線網を広げた新幹線は、最高時速320キロで営業する高速鉄道であり、その安全性について、どのようなイメージをもっているか尋ねたところ、「ある程度信頼できる」を含めた「信頼できる」と答えた人の割合は83.6%であった。一方、「少し不安である」、「かなり不安である」を合わせた「不安である」と答えた人の割合は14.1%であった。
 性別にみると、「信頼できる」と答えた人の割合は男性(89.4%)が女性(78.1%)を上回った。年代別にみると、「信頼できる」と答えた人の割合は50 歳代で90.0%となったが、70 歳以上は70%代となった。

図1 新幹線の安全性についてのイメージ(性別・年代別)


2.新幹線について評価すること(複数回答)
 新幹線について評価することを尋ねたところ、「運行時刻の正確さ」を選んだ人が最も多く68.8%、続いて「重大事故が起こっていない」(65.5%)、「乗り心地の快適さ」(48.6%)、「生活・交流圏の拡大」(28.5%)、「一度に多くの人を輸送できる能力」(27.3%)、世界最高レベルの営業速度(27.0%)、地震対策(脱線防止、耐震補強など)(24.5%)、運行頻度の高さ(23.9%)、地域活性化への貢献(20.6%)などの順となった。

図2 新幹線について評価すること(複数回答)

 性別にみると、「重大事故が起こっていない」を選んだ人の割合が男性で73.2%、女性で58.2%と15ポイントの差がみられた。

図3 新幹線について評価すること(性別、上位3項目)


3.新幹線ネットワークの拡大について
 新幹線は現在の開業区以外に、北海道新幹線(新青森-新函館間は工事中で2015年度末開業予定)、北陸新幹線(長野-金沢間は工事中で2014年度末開業予定、金沢-敦賀間は工事認可済み)、九州新幹線長崎ルート(武雄温泉-長崎間は工事認可済み)の整備計画があり、こうした新幹線ネットワークの拡大について、考えに最も近いものを尋ねた。
 「新幹線ネットワークの拡大は必要で、工事認可区間以外にも、もっと広げるべきだ」と答えた人が23.6%、「新幹線ネットワークの拡大は必要で、工事認可区間までは整備すべきだ」と答えた人が28.8%、「新幹線ネットワークは、現在工事中の区間まで広げれば十分だ」と答えた人が25.7%、「現在の開業区以外に、新幹線ネットワークを広げる必要はない」と答えた人が16.1%となった。
 都市規模別にみると、「新幹線ネットワークの拡大は必要で、工事認可区間以外にも、もっと広げるべきだ」と答えた人が郡・町村で34.7%と、21大都市の23.9%、その他の市の21.8%に比べ高くなった。
 しかし、「新幹線ネットワークの拡大は必要で、工事認可区間までは整備すべきだ」と答えた人が郡・町村で18.2%と、21大都市の30.2%、その他の市の29.9%に比べ低く、拡大は必要とする中でも、更なる拡大を視野に入れるかそうでないかにより、意識の差がみられた。

図4 新幹線ネットワークの拡大について(都市規模別)


4.JR東海が計画している中央新幹線の整備計画について
 現在の東京-新大阪間は、東海道新幹線が最短2時間25分で結んでいるが、JR東海は、中央新幹線を整備し、最高営業速度500キロの超電導リニアを走らせる計画を立てており、2045年に東京-大阪間を最短1時間7分で結ぶ予定で、JR東海は、東海道新幹線の将来の経年劣化や災害リスクに備えて、日本の大動脈であるルートを二重化する必要や、移動時間短縮による経済・社会活動活性化の意義があることを説明しており、この計画についてどう思うか尋ねた。
 「ぜひ推進すべきだ」と「どちらかといえば推進すべきだ」を合わせた「推進すべきだ」と答えた人の割合は56.4%、「どちらかといえば推進する必要はない」を含めた「推進する必要はない」と答えた人の割合は38.5%となった。
 性別にみると、「推進すべきだ」と答えた人の割合は男性で65.1%、女性で48.1%となった。
 年代別にみると、「推進すべきだ」と答えた者の割合は若年層で比較的高く、20歳代で75.2%にのぼり、70 歳以上の39.6%と35ポイント以上の差がみられた。

図5 JR東海が計画している中央新幹線の整備計画について(都市規模別、性別、年代別)


5.リニアモーターカーの安全性についてのイメージ
 現在の新幹線よりも高速で運行するリニアモーターカーの安全性について、どんなイメージを持っているか尋ねたところ、「ある程度信頼できる」を含めた「信頼できる」と答えた人の割合は47.5%であった。一方、「少し不安である」、「かなり不安である」を合わせた「不安である」と答えた人の割合は44.5%であった。
 「1.新幹線の安全性についてのイメージ」の結果と比較すると、「信頼できる」と答えた人の割合は新幹線(83.6%)がリニアモーターカー(47.5%)を上回った。また、「不安である」と答えた人の割合はリニアモーターカー(44.5%)が新幹線(14.1%)よりも高く、調査実施時点では安全性のイメージに差がある結果となった。

図6 新幹線の安全性についてのイメージとリニアモーターカーの安全性についてのイメージ



(調査部 仲田海人)