■「中央調査報(No.728)」より
■ 「第26回 人気スポーツ調査」結果の概要~これまでの調査結果を振り返りつつ~
一般社団法人 中央調査社
中央調査社は、4月6日から15日にかけて、「人気スポーツに関する全国意識調査」を実施しました。
調査は、無作為に選んだ全国20歳以上の男女個人を対象に個別面接聴取法で行い、1,207人から回答
を得ました。中央調査社では同テーマの調査を1993年から毎年行っており、今回で26回目となります。 ![]() ![]() 昨年まで2年連続1位であった「イチロー」は、 今年も2位に入った。過去の結果を振り返ると、 1995年に初めて1位となって以来、2005年~ 2013年の9連覇を含めて、実にこれまで14回 も人気1位に選ばれている。特に、メジャーリー グ移籍後の人気は圧倒的で、2001年以降の調 査では3位以内から外れたことがない。(図表3) ![]() 今年2月の平昌オリンピックで金メダルを獲 得した「羽生結弦」が、僅差で3位となった。回 答の多くは女性からのものであり、女性に限っ てみれば1位である。フィギュアスケートでは、 昨年現役を引退した「浅田真央」も女性を中心に 根強い人気を保っており、今回も全体で5位に ランクインしている。ちなみに、4年前のソチ オリンピック後の調査では、「浅田真央」が1位 となり、「羽生結弦」は4位であった。 テニスの「錦織圭」は4位。けがのために大会欠 場が続いていた影響で、去年の2位から順位は後 退したものの、依然として男女を問わず人気がある。 それ以外では、ゴルフの「松山英樹」が7位に 入ったことを除いて、ベスト10の残りをすべて野球選手が占めている。「長嶋茂雄」が根強い人 気で6位。「坂本勇人」と「松井秀喜」が8位。今 年1月に亡くなった「星野仙一」が10位にランク インしている。 これまでの25回の調査(第1回調査は該当質 問なし)で1位となった選手の顔ぶれをあらため て眺めると、「イチロー」の14回(1996,2001 ~ 2002,2005 ~ 2013,2016 ~ 2017)が最多 で、他を寄せ付けない結果となっている。続け て「長嶋茂雄」が5回(1995,1997 ~ 2000)、「松 井秀喜」が2回(2003 ~ 2004)で、今年の「大 谷翔平」を合わせると、全25回の調査うち22回 を野球選手で占めることとなる。しかし、近年 は、2014年にフィギュアスケートの「浅田真央」 が、翌2015年にはテニスの「錦織圭」が人気1 位に選ばれるなど、野球選手以外が国民から幅 広い人気を集めるケースも見られるようになっ た。これまで絶対的な人気を誇った「イチロー」 が選手としてのプレーを退いた後のランキング の行方が注目される。 2 .好きなプロスポーツ 質問:「あなたが好きなプロスポーツを、この 中(回答票=(ア) 大相撲、(イ) プロ野球、(ウ) プロサッカー、(エ) プロバスケットボール、(オ) プロテニス、(カ) プロゴルフ、(キ) プロレス、(ク) プロボクシング、(ケ) カーレース(F1など) ) からいくつでもあげてください。」(複数回答) 「人気スポーツ調査」では、1993年の第1回調査以来、好きなプロスポーツについて聞いてい る。当初は「大相撲」「プロ野球」「プロサッカー」 「プロゴルフ」「プロボクシング」「プロレス」の 6つから好きなプロスポーツを選んでもらって いたが、1995年からは「カーレース(F1など)」 も選択肢に含めている。さらに近年では、人気 の高まりつつあった「プロテニス」を2014年から 調査対象に加え、2017年にはBリーグの発足に ともない「プロバスケットボール」を追加した。 結果は、1996年(第4回調査)から23年連続 で「プロ野球」が1位となっている。続いて、今 年は「プロサッカー」が2位となった。昨年回復 した「大相撲」の人気は、今年は一転下落して、 再び3位となった。「プロテニス」の人気は、昨 年よりやや減少したものの、今年も4位を維持 している。昨年から調査対象とした「プロバス ケットボール」は、今年も昨年と同じく「プロゴ ルフ」「プロボクシング」に次ぐ7位であったが、 人気は昨年と比べてやや上昇している。(図表4) ![]() これまでの調査結果を振り返ると、1995年 の第3回調査までは「大相撲」の人気が「プロ野 球」を上回り最も高かったが、その後は現在に至 るまで一貫して「プロ野球」の人気が1位となっ ている。「プロ野球」の人気は、1990年代から 2000年代初頭にかけては6割近くあったが、そ の後は緩やかに減少し、2010年代半ばには4割 台前半まで落ち込んだ。しかし、その人気は近 年再び上昇傾向にある。(図表5) ![]() 一方、「大相撲」は、1990年代半ばの若・貴ブー ムの頃には「プロ野球」を凌ぐ人気があった。し かし、その後人気は下降して、2003年に貴乃花 が引退して日本出身の横綱が不在となってから は2割程度に低迷していた。さらに、2011年に 大相撲の八百長問題が発覚したことで、人気は 15%程度にまで落ち込んだ。その後は徐々に回 復して、昨年稀勢ノ里が日本出身力士として19 年ぶりに横綱に昇進したことで、一時「大相撲」 の人気は2002年の水準にまで戻ったが、そのよ うな中で起こった横綱による暴行問題と人気力 士の休場は、回復基調にあった「大相撲」の人気 に再び水を差すこととなった。 「プロサッカー」については、2009年までは 「プロサッカー(Jリーグ)」としていた選択肢の 表記を、2010年以降は「プロサッカー」へと変 更して質問している。そのため、2009年以前と 2010年以後とでは結果を単純に比較することが できない。2009年以前については、Jリーグの 発足当初2割以上あった「プロサッカー(Jリー グ)」の人気は、その後一時期低迷を迎えたが、 1998年のフランスワールドカップと2002年の 日韓ワールドカップを経て人気は定着し、その 後は2割台前半で推移していた。一方、2010年 以後については、2010年の南アフリカワールド カップ後にはヨーロッパで活躍する日本人選手 が増加したことで、「プロサッカー」の人気は一 時3割台後半まで上昇したが、その後は下落し て、近年は2割台半ばで推移している。 3 .好きな現役力士 質問:「あなたが好きな現役の力士を3人まで あげてください。」(自由回答、複数回答) 「人気スポーツ調査」では、好きな現役力士に ついても1993年から継続してたずねている。 好きな現役力士を3人まであげてもらったと ころ、休場の続く横綱「稀勢の里」の人気が昨年 よりも30ポイントあまり低下したにもかかわら ず、昨年に続けて今年も1位となった。2008年 から9年連続で人気力士ナンバー1であった横 綱「白鵬」は、昨年の2位から順位を下げ、今年 は3位となった。人気を維持した「遠藤」がかわっ て2位に浮上。春場所で優勝した横綱「鶴竜」の 人気は昨年より上昇して6位となった。今年の 初場所で初優勝を果たし関脇に昇進した「栃ノ 心」(その後、夏場所でも優勝して大関昇進)が 10位で、初めてランクインしている。(図表6) ![]() 一方で、6割近くは「1人も浮かばない」と答え ており、その比率は昨年よりも20ポイント以上増 加し、調査開始以来最高となっている。(図表7) ![]() 4 .一番好きなプロ野球チーム 質問:「日本のプロ野球チームの中で、あなた が一番好きなチームはどこですか。」(自由回答) 好きなプロ野球チームも、第1回調査から継 続して聞いている質問である。「巨人」の人気が 最も高く、次いで「阪神」という構図は調査開始 時から変わらず、今年も同様の結果となってい る。3位以下のチームは年によって異なるが、 今年は、セ・リーグの「中日」が3位、「広島」が 4位となった。パ・リーグでは、昨年日本一に 輝いた「ソフトバンク」の5位が最高で、「日本ハ ム」が6位で続いている。(図表8) ![]() リーグ別にみれば、各チームの人気を足し合 わせた『セ・リーグ』の人気は50.5%、『パ・リー グ』の人気は17.4%となっている。 過去の結果を振り返ると、1990年代後半から 2000年代初頭にかけては、『セ・リーグ』の人気 は常に6割を超え、『パ・リーグ』の人気は1割を 切っていた。その後、2004年の「日本ハム」の北 海道への本拠地移転、パ・リーグの再編による「東 北楽天ゴールデンイーグルス」の誕生、2005年 のセ・パ交流戦の導入などをきっかけとして、『パ・ リーグ』の人気が上昇に転じる一方で、『セ・リー グ』の人気は下降することとなった。この10年間 では、『セ・リーグ』の人気は5割前後、『パ・リー グ』の人気は1割台後半で推移している。(図表9) ![]() 『セ・リーグ』の人気低下は、2000年代初頭ま で4割近くあった「巨人」の人気が、近年は2割 台前半にまで下がったことの影響が大きい。近 年は両リーグを通して、地方にある球団の健闘 が見られる一方で、首都圏に本拠地を置く球団 の人気は伸び悩んでいる。(図表10) ![]() 5 .一番好きなJ1のサッカーチーム 質問:「日本のプロサッカーリーグ(Jリーグ) のうち、現在のJ1で、あなたが一番好きな チームはどこですか。この中(回答票)から1 つだけ選んでください。」 1番好きなJ1のサッカーチームについては、 第12回調査(2004年)から質問している。Jリー グでは、プロ野球と異なり、突出して人気のあ るチームが存在しないため、チームの成績がラ ンキングに影響しやすい傾向がある。過去の結 果を振り返ると、2004年と2005年にはジュビ ロ磐田の人気が1位であったが、2007年以降は、 2012年に「名古屋グランパス」が1位タイになっ た以外は、「浦和レッズ」「鹿島アントラーズ」「ガ ンバ大阪」のいずれかのチームが年ごとに人気1 位となっている。(図表11) ![]() 今年の結果は、「浦和レッズ」の人気が昨年よ りやや低下したにもかかわらず、4年ぶりとな る1位となった。2位は、昨年1位だった「鹿島 アントラーズ」。「ガンバ大阪」が3位で、今季J 2からJ1に復帰した「名古屋グランパス」が4 位。昨年J1初優勝を果たした「川崎フロンター レ」が5位で、人気もこれまでより上昇している。 (図表12) ![]() 6 .平昌冬季オリンピックで印象に残った競技と今後も注目したい競技 質問:(回答票)「平昌冬季オリンピックで最 も印象に残っている競技はどれですか。」 質問:(回答票)「それでは、今後も注目した い競技はありましたか。」(複数回答) 今回の「人気スポーツ調査」では、毎年聞いて いる質問に加えて、今年2月に開催された平昌 冬季オリンピックで最も印象に残っている競技 と今後も注目したい競技についてもたずねた。 2014年のソチ大会および2010年のバンクー バー大会後の調査でも、同様の質問をしている。 平昌冬季オリンピックで“最も印象に残ってい る競技”は、約3割が「フィギュアスケート」と回 答して最も多かった。2位は「スピードスケート」 で、「カーリング」が3位。以下、「スキージャン プ」、「スノーボード」の順となっている。日本選 手がメダルを獲得した競技で回答が多くあげら れている。(図表13) ![]() “今後も注目したい競技”も、「フィギュアス ケート」が4割以上で最多となっている。「カー リング」が2位で、「スピードスケート」が僅差の 3位。以下、「スキージャンプ」、「スノーボード」 と続いている。(図表14) ![]() 2010年のバンクーバーオリンピックや2014 年のソチオリンピック後の調査では、“最も印象 に残っている競技” “今後も注目したい競技”とも に、「フィギュアスケート」を答えた人が5割を 超え、圧倒的多数だった。しかし、今回の平昌 オリンピックでは、「スピードスケート」や「カー リング」などの回答も多く見られ、「フィギュア スケート」以外の競技にも注目が集まったことを 示している。 男女別にみると、“最も印象に残っている競技” と“今後も注目したい競技”のいずれもで、女性で は今回も「フィギュアスケート」との回答が圧倒的 に多かったのに対して、男性では「スピードスケー ト」が最も多く、以下、「カーリング」、「フィギュ アスケート」の順であった。(図表15、図表16) ![]() ![]() ![]() |