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■「中央調査報(No.738)」より

 ■ パーソナル先端商品の利用状況(第34回)


 当社が実施している「パーソナル先端商品の利用状況」調査について報告します。当調査は20歳以上の男女個人を対象として1986 年 11 月から個別面接方式で毎年行っています。今回が34回目で2019年2月に行い、有効回収数は1,213でした。結果は性・年代構成の歪みを補正しています。
本稿では、まず第34回調査結果の概要を紹介し、後段で過去の結果の中から主機器の時系列データを概観します。紙面ページ数等の制約から数値の概略にとどめ、背景分析までは踏み込んでいません。

1.利用率
AV関連機器等では、

・「4K・8Kテレビ」の利用率は6.2%で、前回の「4Kテレビ」から0.5ポイントの微増にとどまった。
・今回新たに聞いた「有機ELテレビ」の利用率は1.9%。
・今回新たに聞いた「スマートスピーカー」の利用率は4.2%。
パソコン関連機器等では、
・「タブレット型」の利用率が、前回から5.4ポイント上昇して34.2%。他の形態のパソコンの利用率が伸び悩む中で、上昇傾向を維持している。
・「パソコン(計)」の利用率は70.3%で、初めて7割を突破した。
通信関連機器等では、
・「スマートフォン」と「携帯電話(スマートフォン以外)」を合わせた「携帯電話(計)」の利用率は93.7%。
・「スマートフォン」の全体での利用率は71.2%で、前回よりも5.9ポイント上昇。20~40代では9割を超え、50代の8割以上、60代の6割以上、70歳以上でも3割以上が利用している。
・「スマートフォン」は中高年層での利用率が大幅に上昇している。50代、60代、70歳以上での利用率は、それぞれ前回から10.0ポイント、14.2ポイント、11.2ポイントの上昇となっている。

図表1 利用率・利用意向率

2.今後の(新規)利用意向
・利用意向率が最も高かったのは「4K・8Kテレビ」の18.5%であり、前回よりも5.2ポイント上昇した。利用率の伸びは緩やかであるものの、利用意向率については、2014年の調査開始以来上昇を続け、過去最高となっている。
・次いで利用意向率が高かったのは「タブレット型パソコン」で4.3%。「パソコン(計)」でみると、利用意向率は7.2%となっている。
・その他利用意向率の高いものとしては、「スマートフォン」が3.5%となっている。「スマートフォン」の利用意向率は、50代以上で引き続き高くなっている。
・今回新たに聞いた「有機ELテレビ」と「スマートスピーカー」の利用意向率は、それぞれ2.4%、2.9%であった。

図表2 年代別利用率・利用意向率

3.利用率の推移
 「パーソナル先端商品の利用状況」調査は1986年から実施されている。調査が始まって間もなく時代は昭和から平成へと変わったが、パソコン・携帯電話の普及やスマートフォンの登場により、私たちの暮らしはその後大きく変化した。このたび平成が終わるにあたって、私たちの身の回りにある機器のこの30年間の利用状況の変化を振り返りたい。
 調査で聞いている機器は毎年見直しているので、それぞれの機器について必ずしも長期的な変化を追うことはできないが、今回新たに聞いた「有機ELテレビ」と「スマートスピーカー」以外の機器についてこれまでの利用率の推移をまとめると、以下の通りである。

(1)液晶テレビ
 「液晶テレビ」の利用率は、3大都市圏で地上デジタル放送が開始された直後の2004年には1割に満たなかったが、その後普及しはじめ、2007年には2割に達した。その後さらに普及の速度は上がったが、2011年7月の地上アナログ放送終了まで2年を切った2009年12月時点での利用率は依然として5割に満たなかった。しかし、その後の1年余りで利用率が飛躍的に向上し、2011年3月には7割に達した。利用率はその後もやや上昇し、現在は8割台となっている。(図表3)
図表3 液晶テレビの利用率

(2)4K・8Kテレビ
 2014年に調査開始した「4K(・8K)テレビ」の利用率は、緩やかな上昇傾向を示しているが、依然として低い水準にとどまっている。(図表4)
図表4 4K・8Kテレビの利用率

(3)ケーブルテレビ
 「ケーブルテレビ」の利用率は、1990年代末から2000年代初頭にかけては1割前後であったが、2000年代前半に上昇して2割を超えた。その後も緩やかに利用率の上昇傾向は続き、近年は3割を超えている。(図表5)
図表5 ケーブルテレビの利用率

(4)DVD/HDDプレーヤー・レコーダー
 2002年の時点で2割程度であった「DVD/HDDプレーヤー・レコーダー」の利用率は、2006年ごろにかけて急上昇したが、その後伸びは鈍化し、現在に至るまで5~6割で安定して推移している。(図表6)
図表6 DVD・HDDプレーヤー/レコーダーの利用率

(5)ブルーレイプレーヤー・レコーダー
 2011年の時点で2割程度であった「ブルーレイプレーヤー・レコーダー」の利用率は、2014年ごろにかけて上昇し、その後は4割前後で推移している。(図表7)
図表7 ブルーレイプレーヤー/レコーダーの利用率

(6)デジタルカメラ(コンパクトデジタルカメラ)
 1990年代末から普及が進んだ「デジタルカメラ」の利用率は、2000年代前半には着実に上昇し、2006年には5割に迫った。「コンパクトデジタルカメラ」の利用率は、2007年以降も緩やかな上昇傾向を示したが、2012年をピークに減少に転じ、現在は3割程度にまで落ち込んでいる。(図表8)
図表8 コンパクトデジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ以外)の利用率

(7)デジタル一眼レフカメラ
 2007年から「デジタルカメラ(コンパクトデジタルカメラ)」と区別して聞くようになった「デジタル一眼レフカメラ」の利用率は、2000年代後半は1割前後で推移していたが、2010年代には上昇し、現在は2割近くとなっている。(図表9)
図表9 デジタル一眼レフカメラの利用率

(8)デジタルビデオカメラ
 2011年に調査開始した「デジタルビデオカメラ」の利用率は、2010年代初頭には2割台後半であったが、その後上昇して、近年は3割台で推移している。(図表10)
図表10 デジタルビデオカメラの利用率

(9)携帯メモリーオーディオ
 iPodなどの「携帯メモリーオーディオ」の利用率は、2000年代前半には1~2%程度にとどまっていたが、2000年代後半に上昇し、2009年12月には16.5%となった。2010年代に入ると利用率の上昇は止まったが、現在も1割台の利用率を維持している。(図表11)
図表11 携帯メモリーオーディオ(iPodなど)の利用率

(10)電子ブックリーダー
 2011年に調査開始した「電子ブックリーダー」の利用率は、現在やや増加傾向にはあるものの、依然として低い水準にとどまっている。(図表12)
図表12 電子ブックリーダーの利用率

(11)家庭用ゲーム機
 2000年代前半に2割台後半で推移していた「家庭用ゲーム機」の利用率は、2000年代後半に上昇して、2011年ごろには3割台半ばとなったが、その後は緩やかな下落傾向を示している。(図表13)
図表13 家庭用ゲーム機の利用率

(12)携帯ゲーム機
 「携帯ゲーム機」の利用率は、2000年代に上昇し、一時は3割に迫ったが、2010年代に入ると緩やかに下落している。(図表14)
図表14 携帯ゲーム機の利用率

(13)ウェアラブル機器
 2015年に調査開始したアクションカメラやスマートウォッチなどの「ウェアラブル機器」の利用率は、やや増加傾向を示してはいるが、依然として低い水準にとどまっている。(図表15)
図表15 ウェアラブル機器の利用率

(14)パソコン(計)
 「パソコン(計)」の利用率は、1990年代前半には1割台であったが、Windows95の発売が開始された1995年以降上昇に転じ、2000年には3割を突破した。利用率はその後も順調に上昇を続け、2009年12月には6割を超えたが、2010年代に入ると上昇が止まり、その後は安定して推移している。(図表16)
図表16 パソコン(計)の利用率

(15)デスクトップ型パソコン  「デスクトップ型」の利用率は、1990年代前半には1割程度であったが、Windows95の登場とともに増加しはじめ、2000年代前半まで上昇を続けた。その後は3割台前半で安定して推移していたが、2010年代に入ると下落に転じ、現在は2割台前半にまで低下している。(図表17)
図表17 デスクトップ型(据置き型)パソコンの利用率

(16)ノート/ブック型パソコン
 一方、「ノート/ブック型」の利用率は1990年代には数%の低い水準にとどまっていたが、2000年代に入ると上昇に転じた。その後利用率は順調に増加し、2008年には「デスクトップ型」を逆転した。その後も2011年ごろまで上昇が続いたが、その後は4割台で安定して推移している。(図表18)
図表18 ノート/ブック型パソコンの利用率

(17)モバイルノート(ミニノート)パソコン
 「モバイルノート(ミニノート)」の利用率は、2000年代には緩やかに上昇したが、2010年代に入ると一時落ち込みを見せた。しかし、近年は再び利用率が1割台に回復している。(図表19)
図表19 モバイルノートパソコンの利用率

(18)タブレット型パソコン
 他の形態のパソコンの利用率が伸び悩む中で、2010年にiPadが販売開始されてから「タブレット型」の利用率は急速に上昇した。2016年には「デスクトップ型」をはじめて上回り、その後も利用率は上昇を続け、今回は3割を突破した。(図表20)
図表20 タブレット型パソコンの利用率

(19)パソコン用プリンター
 1990年代末に2割以下であった「パソコン用プリンター」の利用率は、2000年代を通して上昇し、2010年代には5割前後で推移している。(図表21)
図表21 パソコン用プリンターの利用率

(20)スキャナー
 1990年代末に5%未満であった「スキャナー」の利用率は、2000年代を通して上昇し、2010年代には2割前後で推移している。(図表22)
図表22 スキャナーの利用率

(21)ブルートゥース機器
 2014年に調査開始した「ブルートゥース機器」の利用率は、年による変動はあるものの、概ね1割台で推移している。(図表23)
図表23 ブルートゥース機器の利用率

(22)インターネットの利用
 1996年の時点でわずか1.3%であった「インターネット」の利用率は、1990年代末から利用が拡大し、2000年には2割近くにまで急上昇した。その後も2000年代を通して普及が進み、2009年12月には利用率が5割を超えたが、2010年代に入ってからは上昇傾向が止まり概ね5割台で推移している。(図表24)
図表24 インターネットの利用率

(23)ブロードバンド回線の利用
 「ブロードバンド回線」の利用率は、2002年の時点では4.7%であったが、2000年代を通して利用が拡大し、2009年12月には4割に達した。しかし、2010年代に入ると減少に転じ、現在は3割程度にまで落ち込んでいる。(図表25)
図表25 ブロードバンド回線の利用率

(24)モバイルWi-Fiルーター
 2017年に調査開始した「モバイルWi-Fiルーター」の利用率は、2割台前半となっている。(図表26)
図表26 モバイルWi-Fiルーターの利用率

(25)インターネット電話(IP電話)
 2004年に調査開始した「インターネット電話(IP電話)」に利用率は、2007年ごろにかけて緩やかに上昇し、その後は1割程度で推移している。(図表27)
図表27 インターネット電話(IP電話)の利用率

(26)携帯電話(計)
 「携帯電話(計)」の利用率は、1990年代前半には3%程度であったが、1990年代後半に爆発的に普及して、2000年には6割近くに達した。その後、普及の速度は鈍化したものの、利用率の上昇傾向は現在まで続いており、近年は9割を超えている。(図表28)
図表28 携帯電話(計)の利用率

(27)スマートフォン
 2011年に調査開始した「スマートフォン」の利用率は、2011年には8.9%であったが、翌2012年には19.5%、2013年には35.4%と急速に普及した。その後も順調に利用は拡大し、2016年には利用率が5割を超え、はじめて「携帯電話(スマートフォン以外)」を上回った。利用率の上昇はその後も続き、現在は7割に達している。(図表29)
図表29 スマートフォンの利用率

(28)携帯電話(スマートフォン以外)
 一方で、2011年の時点で85.9%だった「携帯電話(スマートフォン以外)」の利用率は、2012年には75.4%、2013年には62.1%と急速に下落した。利用率の下落はその後も続き、現在は3割台にまで落ち込んでいる。(図表30)
図表30 携帯電話(スマートフォン以外)の利用率

(29)PHS
 「PHS」の利用率は、1990年代後半には1割近くあったが、2000年代の初頭に急速に低下して、その後は1~3%程度に低迷している。(図表31)
図表31 PHSの利用率

(30)家庭用ファクシミリ
 1990年代前半には1割未満だった「家庭用ファクシミリ」の利用率は、1990年代後半から2000年代半ばにかけて上昇し、一時は利用率が4割を超えたが、その後は緩やかな低下傾向を示している。(図表32)
図表32 家庭用ファクシミリの利用率