■ 「令和元年度 生活保障に関する調査」結果の概要
公益財団法人 生命保険文化センター 保険研究室
(公財)生命保険文化センター(代表理事・浅野 僚也)では、「令和元年度 生活保障に関する調査」の集計結果をとりまとめた調査報告書を昨年12月に発行した。この調査は、人々の生活保障意識や生命保険の加入状況をはじめとした生活保障の準備状況を時系列で把握することを目的に、3年ごとに実施している。本調査は、昭和62年からスタートした前身の「生活保障と生命保険に関する個人調査」から通算すると今回で15回目となる。以下では本調査の概要について昨年9月に「同調査(速報版)」をとりまとめた際に発表したプレスリリースにしたがって紹介する。 次に自助努力による経済的準備の状況をみたものが図表2である。生命保険や個人年金保険、預貯金や有価証券など何らかの手段で準備している割合は、医療保障が85.0%で最も高く、次いで死亡保障72.8%、老後保障65.9%、介護保障48.7%の順となっている。 自助努力による準備に公的保障や企業保障を加えた生活保障準備に対する充足感について捉えたのが図表3である。「充足感なし」(“どちらかといえば足りない”と“まったく足りない”と回答した人の合計)は、老後保障(68.8%)と介護保障(72.7%)で約7割と高くなっている。一方、医療保障(49.0%)と死亡保障(54.6%)は5割前後となっている。 Ⅱ.医療保障 民間の生命保険会社や郵便局、JA(農協)、県民共済・生協等で取り扱われる生命保険(個人年金保険や生命共済を含む)のうち、疾病入院給付金が支払われる生命保険の加入率は73.1%となっており、70%を超えている(図表4)。 次に、入院時の医療費等への備えとして必要と考える疾病入院給付金日額をみると、平均で11,000円となっている。一方、疾病入院給付金の支払われる生命保険に加入している人の疾病入院給付金日額の平均は、全体で9,800円となっており、いずれも同程度の金額で推移している(図表5)。 また、民間の生命保険会社やJA(農協)、県民共済・生協等で取り扱っているガン保険・ガン特約の加入率をみると、全生保で42.6%、民保で37.5%となっており、時系列でみると、全生保・民保ともに平成22年以降増加傾向にある(図表6)。 次に、民間の生命保険会社やJA(農協)、県民共済・生協等で取り扱っている特定疾病保障保険・特定疾病保障特約の加入率は、全生保で36.1%、民保で31.8%となっている。時系列でみると先のガン保険・ガン特約と同様、全生保・民保ともに平成22年以降増加傾向にある(図表7)。 Ⅲ.介護保障 民間の生命保険会社や郵便局、JA(農協)、県民共済・生協等で取り扱っている介護保険・介護特約の加入率(全生保)をみると12.3%となっており、前回に比べ2.4ポイント増加している(図表8)。 将来自分自身が要介護状態になった場合に、どのような場所で介護してもらいたいと考えているのかをみると、「公的な介護老人福祉施設など」が35.7%と最も高く、次いで「自分の家」(29.0%)、「介護などのサービス付き住宅」(11.7%)となっている。また、「在宅」は29.5%、「施設」は61.9%となっている。時系列でみると、「自分の家」が平成22年以降減少傾向にある(図表9)。 Ⅳ.老後保障 老後を夫婦2人で暮らしていく上で、必要と考えられている最低日常生活費は平均で月額22.1万円と前回とほぼ同額となっている。また、“老後の最低日常生活費”に“老後のゆとりのための上乗せ額”(月額14.0万円)を加えた「ゆとりある老後生活費」は平均で月額36.1万円となっており、前回と比較すると僅かながら増加している(図表10)。 老後の生活資金について、これから準備するものも含めて、どのような手段でまかなっていこうと考えているのかを見ると、「公的年金」が86.7%と最も高く、次いで「預貯金」(69.6%)、「企業年金・退職金」(41.9%)の順となっている。 時系列でみると、「老後も働いて得る収入」が22.3%と、前回に比べ4.3ポイント増加している(図表 11)。 また、私的に準備した老後資金をいつごろから使い始めようと考えているのかをみると、老後資金の使用開始年齢の平均は65.9歳と、前回に比べ0.8歳後ろ倒しになっている(図表12)。 Ⅴ.死亡保障 遺族の生活資金の備えとして必要と考える死亡保険金額は、平均で2,219万円となっており、前回調査と比べ153万円増加している。 一方、生命保険に加入している人の、病気により亡くなった際に支払われる普通死亡保険金額の平均は、全体で1,261万円となっている。 時系列でみると、必要額と加入金額はいずれも平成22年以降減少していたが、今回調査では下げ止まっている(図表13)。 次に、自分が万一死亡した場合の自助努力による準備状況をみると、「準備している」は72.8%となっている。具体的な準備手段をみると、「生命保険」が63.1%と最も高く、次いで「預貯金」(36.5%)、「損害保険」(12.3%)の順となっている (図表14)。 おわりに 以上、「令和元年度 生活保障に関する調査」について調査結果の概要を紹介した。 さらに詳細を知りたい場合は、単純集計結果をまとめた速報版(9月発行、1部500円)および属性分析等を掲載している調査報告書(12月発行、1部3,000円)の2種類を冊子として有償頒布しているほか、ホームページ上(https://www.jili.or.jp)に速報版および調査報告書のPDFファイル、年齢別や職業別等の属性別集計結果をエクセルファイル形式で掲載しているので、ご活用いただければ幸いである。 |