中央調査報

トップページ  >  中央調査報   >  「議員、官僚、大企業、警察等の信頼感」調査 調査結果の概要
■「中央調査報(No.750)」より

 ■ 「議員、官僚、大企業、警察等の信頼感」調査 調査結果の概要


 世論調査、市場調査の専門機関である一般社団法人 中央調査社(会長 大室 真生)は、「国会議員」「官僚」「裁判官」「マスコミ」「銀行」「大企業」「医療機関」「警察」「自衛隊」「教師」の信頼感に関する意識調査を実施しました。調査は、2019年10月4日から14日にかけて、無作為に選んだ全国の20歳以上の男女個人を対象に個別面接聴取法で行い、1,204人から回答を得ました。主な調査結果は以下のとおりです。
 なお、この調査は、2000年3月、2001年12月、2004年5月、2007年7月、2008年8月、2009年12月、2012年5月、2015年9月、2017年10月にも実施しており、今回が10回目となります。


1.信頼感
 国会議員、官僚、裁判官、マスコミ、銀行、大企業、医療機関、警察、自衛隊、教師に対する信頼感を、「ほとんど信頼できない」の評点「1」から「たいへん信頼できる」の評点「5」の5段階で評価してもらった。

信頼感の評点

 平均評点が高かったのは、自衛隊(3.8)と医療機関(3.7)である。自衛隊と医療機関ともに前々回の調査(2015年9月)から上昇傾向となっていて、前回調査から0.1ポイント上昇し過去最高の評点となった。続いて警察(3.4)、裁判官と銀行(ともに3.3)、教師(3.1)、大企業(3.0)となっているが、警察が前回調査から変わらない一方で、裁判官、銀行、教師は0.2ポイント、大企業は0.1ポイント、いずれも前回調査から下落した。
 マスコミ・報道機関と官僚(ともに2.6)、国会議員(2.5)は、いずれも前回調査から変動なく、3ポイントを下回り信頼できないとの評点となった。ただし、官僚と国会議員は、前回調査から引き続き過去最高となっている。(図表1,2)

図表1 信頼感


図表2 信頼感:平均評点の推移

 性別で平均評点を比較してみると、全項目とも性別に大きな差はないが、官僚(男性2.6、女性2.5)、裁判官(男性3.4、女性3.3)、医療機関(男性3.7、女性3.6)、自衛隊(男性3.8、女性3.7)で、いずれも男性の方が女性より0.1ポイント高い。国会議員、マスコミ・報道機関、銀行、大企業、警察、教師では男女間の差は見られなかった。(図表3)

図表3 信頼感:平均評点【性別】

 年代別で平均評点を比較したところ、大企業は、若年層で平均評点が高く、高齢層ほど平均評点が低くなっている。一方、マスコミ・報道機関は若年層の平均評点が低く、高齢層ほど平均評点が高くなっているほか、警察も30代以下の若年層で平均評点が低い。マスコミ・報道機関の平均評点を時系列でみてみると、最も高かったのは70歳以上(2.8)で、前回から横ばいとなった。次に高かったのは60代と50代(ともに2.6)だが、60代は前回から0.3ポイント下落している。20代(2.3)、30代(2.4)の若年層も下落して過去最低に並ぶ評点となっている。40代(2.5)は唯一、前回から平均評点が上昇した。(図表4,5,6)

図表4 信頼感:平均評点【年代別】①


図表5 信頼感:平均評点【年代別】②


図表6 信頼感:マスコミ・報道機関の平均評点の推移【年代別】

 次に、信頼できないとする「1」や「2」の評点を「信頼できない(計)」とし、その割合を見ると、全体では、国会議員が43.4%、マスコミ・報道機関が42.5%、官僚が41.6%などとなっている。さらに、これらを年代別で見ると、国会議員では30代(52.5%)が最も高く、次いで60代(45.3%)、50代(44.9%)、20代(44.7%)、40代(42.4%)70歳以上(37.9%)となっている。次に、マスコミ・報道機関では20代(57.2%)が最も高く、約6割が信頼できないとする一方、年代が上がるにつれて低くなり、70歳以上(36.4%)が最も低い。そして、官僚では30代(50.4%)が最も高く約半数にのぼっており、次いで60代(45.3%)が2番目に高く、そのほか50代(39.7%)、40代(39.3%)、70歳以上(39.1%)、20代(39.0%)と4割弱で並んでいる。(図表7,8)

図表7 信頼できない(計)【年代別】①


図表8 信頼できない(計)【年代別】②



2.信頼されるよう努力してほしい機関・団体
 「国民に信頼されるよう努力してほしい」機関・団体については、国会議員を1番目に挙げた人が半数を超えて60.7%で最も高くなった。次いで、官僚(7.3%)、教師(6.8%)、マスコミ・報道機関(6.6%)、医療機関(5.1%)、警察(4.4%)、裁判官(1.4%)、大企業(1.3%)、自衛隊(0.7%)、銀行(0.5%)となっている。国会議員が突出して高くなっており、多くの人から信頼獲得を望まれていることが、端的に表れている。
 信頼されるよう努力してほしい機関・団体を3番目まで挙げてもらった合計で見た場合も国会議員(80.6%)が最も高く、次いで、官僚(46.1%)、警察(33.2%)、マスコミ・報道機関(32.6%)、教師(32. 0%)、医療機関(21. 3%)、大企業(11.4%)、裁判官(7.0%)、銀行(5.0%)、自衛隊(4.9%)の順となっている。(図表9,10,11)

図表9 信頼されるよう努力してほしい機関・団体


図表10 信頼されるよう努力してほしい機関・団体:1番目の推移(%)


図表11 信頼されるよう努力してほしい:1~3番目(計)の推移(%)

 回答結果を時系列でみると、国会議員を1番目に挙げた人は、前回(65.3%)から4.6ポイント下落したものの、2009年から現在まで6割以上を維持、1~3番目の合計でも2009年以降は8割以上を維持しており、すべての項目の中で群を抜いている。そのほかの項目を1~3番目の合計でみると、教師(32.0%)が前回(20.1%)から11.9ポイント上昇。一方、警察(33.2%)は前回(40.7%)から7.5ポイント下落した。
 次に、性別で各項目を比較してみると、1番目に挙げた項目では、国会議員(男性57.8%、女性63.3%)は女性の方が男性より5.5ポイント高く、女性からより強く努力することを望まれている。一方、マスコミ・報道機関(男性8.4%、女性5.1%)では3.3ポイント、警察(男性5.9%、女性3.1%)では2.8ポイント、それぞれ男性の方が女性より高くなっている。1~3番目の合計について見ると、マスコミ・報道機関(男性37.1%、女性28.6%)では8.5ポイント、大企業(男性13.4%、女性9.6%)では3.8ポイント、官僚(男性48.0%、女性44.5%)では3.5ポイント、自衛隊(男性6.6%、女性3.4%)では3.2ポイント、銀行(男性6.6%、女性3.6%)では3.0ポイント、それぞれ女性よりも男性の方が高く、男性からより強く努力することを望まれている。一方、警察(男性29.9%、女性36.1%)では6.2ポイント、医療機関(男性18.2%、女性24.0%)では5.8ポイント、教師(男性29.6%、女性34.1%)では4.5ポイント、それぞれ女性の方が男性より高くなっている。(図表12,13)

図表12 信頼されるよう努力してほしい機関・団体:1番目【性別】


図表13 信頼されるよう努力してほしい機関・団体:1~3番目計【性別】

 次に、年代別で各項目を比較してみると、1番目に挙げた項目では、国会議員は20代(51.4%)を除いた各年代で6割以上となっている。官僚は30代(14.0%)が最も高く、反対に20代(3.8%)が最も低くなった。また、マスコミ・報道機関は20代(12. 4%)が最も高く、年代が上がるにつれて低くなっている。教師は20代(11.4%)が最も高く、反対に30代(4.2%)が最も低くなった。1~3番目の合計では、国会議員は20代から50代で8割に達しており、やはり各年代で信頼獲得を強く望まれている。次に、マスコミ・報道機関は20代(40.0%)で最も高く、反対に70歳以上(27.5%)で最も低くなっており、20代における不信が目立っている。医療機関は60代(28.6%)で最も高く、次いで70歳以上(24.5%)となっており、若年層よりも高齢層の方が高い。同様に自衛隊も、60代(6.9%)、70歳以上(6.6%)が他の年代よりも高い。(図表14,15,16)

図表14 信頼されるよう努力してほしい機関・団体:1番目【年代別】主要6項目


図表15 信頼されるよう努力してほしい機関・団体:1~3番目【年代別】①


図表16 信頼されるよう努力してほしい機関・団体:1~3番目【年代別】②



3.閉鎖的な機関・団体(国民に対する情報公開)
 「国民に対して閉鎖的で、情報公開が進んでいないと思う」機関・団体を2つまであげてもらったところ、官僚(46.5%)と答えた人の割合が最も高く、国会議員(43.5%)が2位となった。官僚は前回(46.9%)からほぼ横ばい、国会議員は前回(50.5%)から7.0ポイント下落したものの、他の項目より高い状況が続いている。また、3位の警察(18.3%)は前回(25.9%)から7.6ポイント下落した。以下、裁判官(11.9%)、大企業(11.7%)、マスコミ・報道機関(10.6%)、教師(10.0%)と続いており、教師は前回(4.7%)から5.3ポイント上昇した。(図表17,18)

図表17 閉鎖的で情報公開が進んでいないと思う機関・団体


図表18 閉鎖的で情報公開が進んでいないと思う機関・団体の推移(%)

 次に、性別で各項目を比較してみると、国会議員(男性40.1%、女性46.5%)は男性より女性の方が6.4ポイント高くなった一方で、マスコミ・報道機関(男性13.5%、女性8.1%)は女性より男性の方が5.4ポイント高い。そのほかの項目では、性別で大きな差はみられなかった。(図表19)

図表19 閉鎖的で情報公開が進んでいないと思われる機関・団体【性別】

 年代別で各項目を比較してみると、官僚はすべての年代で4割以上の回答となっているが、40代~ 60代の中高年層が高く、特に50代(54.6%)は半数を超えている。国会議員も50代(49.0%)、20代(46.7%)が半数近く、そのほかの年代も4割前後の回答率があり、官僚、国会議員は、全年代で閉鎖的で情報公開が進んでいないと思われている。一方、警察とマスコミ・報道機関は年代によってやや回答率に差があり、警察は40代(25.9%)が最も高く、30代(23.8%)、50代(20.1%)も2割台の回答率となっているが、60代(11.8%)、70代(14.3%)の高齢層は1割台の回答となっている。また、マスコミ・報道機関は、20代(21.9%)の回答が2割を超えているのに対して、50代(5.7%)、70歳以上(6.9%)は1割に満たない。このほか、教師では、他の年代に比較して、60代(13.3%)の回答率がやや高くなっている。(図表20,21)

図表20 閉鎖的で情報公開が進んでいないと思われる機関・団体【年代別】①


図表21 閉鎖的で情報公開が進んでいないと思われる機関・団体【年代別】②




調査の概要