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■「中央調査報(No.762)」より

 ■ 新型コロナウイルス感染症に関する意識調査


 世論調査、市場調査の専門機関である一般社団法人 中央調査社(会長 境 克彦)は、「新型コロナウイルス感染症に関する意識調査」を実施しました。調査は、2021年3月5日から14日にかけて、無作為に選んだ全国の20歳以上の男女個人を対象に個別面接聴取法で行い、1,201人から回答を得ました。質問項目は、「新型コロナウイルス感染症による生活への影響」、「感染拡大に対する政府等の対応への評価」、「ワクチン接種について」「感染収束について」です。主な調査結果は以下のとおりです。

1.新型コロナウイルス感染症による生活への影響
 日本での新型コロナウイルス感染症の感染が拡大してから1年になるが、感染拡大が生活に影響を与えたか聞いたところ、「非常に影響があった」と答えた者の割合が35.6%、「多少の影響があった」と答えた者の割合が43.8%で、8割の人が『生活に影響があった』と回答している。「あまり影響がなかった」と答えた者の割合が11.1%、「ほとんど影響がなかった」と答えた者の割合が5.4%で、『生活に影響がなかった』との回答は1割台にとどまる。「どちらともいえない」は4.0%だった。
 性別にみると、大きな差異は見られないが、女性の方に「非常に影響があった」との回答する人の割合が比較的高い。
 年齢別にみると、「非常に影響があった」の割合は20歳代で5割を超えている。また、40歳代では9割近くの人が『生活に影響があった』と回答している、一方、65歳以上の高齢者層では、4人に1人が『生活に影響がなかった』と回答している。
 また、今年1月の2回目の緊急事態宣言が発出された地域*1とそれ以外の地域に分けて、地域別として集計したところ、「非常に影響があった」の割合は緊急事態宣言地域で高くなっている。【図1】

図表1 新型コロナウイルス感染症による生活への影響

 次に『生活に影響があった』と回答した人にどのような影響があったかを聞いたところ、「外出しなくなった」をあげた者の割合が76.0%「親族や友人との交流が減った」をあげた者の割合が68.6%と高く、「家族が家にいる時間が長くなった」(38.8%)「支出を抑えるようになった・買い物を控えるようになった」(34.6%)が3割台の回答となっているほか、「収入や売り上げが減った」(27.2%)、「子供の学校や保育園が休校・休園した」(26.9%)、「精神的に落ち着かなくなった」(18.3%)、「在宅勤務になった・在宅勤務が増えた」(13.6%)などの順となっている。
 これを性別にみると、「収入や売り上げが減った」、「在宅勤務になった・在宅勤務が増えた」の就業関係の項目をあげた者の割合は男性で高く、「子供の学校や保育園が休校・休園した」、「家族が家にいる時間が長くなった」、「外出しなくなった」、「支出を抑えるようになった・買い物を控えるようになった」、「親族や友人との交流が減った」、「精神的に落ち着かなくなった」をあげた者の割合は女性で高くなっている。【図2】
図表2 影響があったこと


2.新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対する対応
 この1年間の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対する政府、地方自治体、医療機関の対応を「まったく評価できない」を0、「十分評価できる」を10として評価してもらい、それを得点として平均スコアを算出したところ、政府の対応に対する評価は4.41、地方自治体の対応に対する評価は5.14、医療機関の対応については7.46となった。政府の対応に対しての評価が低く5点に届かない一方、医療機関に対しては高い評価となった。【図3】
図表3 新型コロナウイルス感染症に対する対応の評価

 対応への評価を性別に比較すると、大きな差ではないが、男性より女性の方がいずれの機関も評価が高くなっている。
 年代別にみると、全体の平均スコアに対して比較的ポイント差があるのは、政府の対応に対しては、60歳代の評価が低く、医療機関の対応に対しては70歳以上の評価が低くなっている。また、20歳代では、地方自治体への評価が4点台と低く、政府への評価も低い一方、医療機関に対する評価は他の年代層より高くなっている。
 また、緊急事態宣言が発出された地域とそれ以外の地域に分けて、集計したところ、緊急事態宣言地域の方がいずれの機関に対しての評価がそれ以外の地域より低くなっている。【図4】
図表4 新型コロナウイルス感染症に対する対応の評価(平均スコア・属性別)


3.新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種について
 新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種について聞いたところ、「すぐに接種したい」と答えた者の割合が34.3%、「ほかの人の様子を見て、社会である程度接種が進んでから接種したい」と答えた者の割合が44.5%で、約8割の人が『接種したい』と回答している。一方、「接種したくない」と答えた者の割合が9.5%、「まだ決めていない」と答えた者の割合が10.6%、「わからない」と答えた者の割合が1.2%となっている。
 性別にみると、「すぐに接種したい」と答えた者の割合は女性よりも男性で高くなっている。
 年代別にみると、「すぐに接種したい」と回答した人の割合は60歳代、70歳以上の高齢者層で4割を超えているのに対し、20歳代、30歳代の若年層では、過半数の人が「ほかの人の様子を見て、社会である程度接種が進んでから接種したい」と回答している。また、20歳代では『接種したい』と回答した人の割合も他の年代層に比較するとやや低い。
 地域別にみると、大きな差異は見られない。【図5】
図表5 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について

 次に「接種したくない」、「まだ決めていない」と回答した人に接種したくない理由を聞いたところ、「接種後の副反応(熱や悪寒、痛みや蕁麻疹等)のリスクがあるから」を挙げた者の割合が63.5%と最も高いほか、「ワクチンに効果があるかわからないから」(40.2%)が4割台の回答、「ワクチン接種会場に行くことが危険だと思うから」(11.2%)「基本的な感染対策をしていれば感染しないと思うから」(10.4%)が1割の回答となっている。
 なお、「その他」と答えた人の割合が12.9%となっていて、具体的に回答してもらったところ、「アレルギーがあるから・持病があるから」、「注射が嫌い」、「ワクチンが不安・どんなものかわからない」、「優先順位があって先のことだから」などがあげられている。
 性別にみると、「接種後の副反応(熱や悪寒、痛みや蕁麻疹等)のリスクがあるから」は女性で比較的高く、「ワクチンに効果があるかわからないから」は男性の回答率が高い。【図6】
図表6 接種したくない理由


4.感染の収束について
 コロナ禍が収束して、コロナ禍以前の状態に戻るまでの期間を聞いたところ、「収束後、3か月ぐらいで戻る」と答えた者の割合が2.5%、「収束後、6か月ぐらいで戻る」と答えた者の割合が6.8%、「収束後1年ぐらいで戻る」と答えた者の割合が25.1%、「収束後2~3年ぐらいで戻る」と答えた者の割合が34.2%、「収束後4~5年ぐらいで戻る」と答えた者の割合が11.8%と回答していて、約6割の人が収束後、コロナ以前の生活に戻るには、1年から3年かかると考えている。「6年以上たってもコロナ禍以前の状態には戻らない」と答えた者の割合が12.8%、「わからない」と答えた者の割合が6.7%となっている。
 性別にみると、大きくは差がないが、「収束後1年ぐらいで戻る」の割合は男性で、「収束後2~3年ぐらいで戻る」の割合は、女性でやや高くなっている。
 年代別にみると、20歳代で、「収束後2~3年ぐらいで戻る」と答えた者の割合が他の年代層に比較して低い一方、「収束後4~5年ぐらいで戻る」「6年以上たってもコロナ禍以前の状態には戻らない」と答えた者の割合が高く、他の年代層より長期間かかる・戻らないと考えられている。
 地域別にみると、「収束後1年ぐらいで戻る」の割合はそれ以外の地域で、やや高くなっている。【図7】
図表7 コロナ禍以前の状態に戻るまでの期間

 最後にコロナ禍が収束したらやってみたいこと、したいことを聞いたところ、「国内旅行に行く」を挙げた者の割合が64.4%「家族や友人との外食」を挙げた者の割合が62.7%と6割を超えて高く、「テーマパークや遊園地、動物園などに行く」(32.6%)「街でのショッピング」(32.4%)「イベントやコンサートに行く」(31.6%)「家族や友人との家での会食・パーティ」(31.3%)も3割台の回答があるほか、「海外旅行に行く」(24.1%)、「スポーツ観戦に行く」(20.6%)、「カラオケに行く」(18.4%)が回答されている。
 性別にみると、「国内旅行に行く」「家族や友人との家での会食・パーティ」は男女とも差がないが、「家族や友人との外食」、「テーマパークや遊園地、動物園などに行く」「街でのショッピング」、「イベントやコンサートに行く」をあげた者の割合は女性で、「スポーツ観戦に行く」をあげた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。【図8】
図表8 コロナ禍が収束したらやってみたいこと

*1 2021年1月に緊急事態宣言が発出されたのは、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県及び福岡県


図表9 調査の概要