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■「中央調査報(No.773)」より

 ■ 第14回「メディアに関する全国世論調査」(2021年)結果の概要


 公益財団法人新聞通信調査会(理事長 西沢豊)は、2021年8月27日から9月14日に「第14回メディアに関する全国世論調査(2021年)」を実施しました。調査方法は、住民基本台帳から無作為に選んだ全国の18歳以上の5,000人を対象とした訪問留置法で、3,047人から回答を得ました。この調査は客観的で信頼性の高い統計手法を用いて調査し、クロス・メディア時代における新聞の在り方を考えるデータを提供することを目的としたものです。2008年12月に着手して以降毎年実施し、今回で第14回目を迎えました。今回も前回に続きコロナ禍のもとでの調査でしたが、例年並みの回収率を得られました。今年度のトピックは、コロナ報道に関するメディアとの接触状況や評価、東京五輪・パラリンピックの開催や五輪とメディアの関わりについて質問しました。調査結果の概要は以下の通りです。

1.メディアの信頼度と印象
―新聞の信頼度得点、トップをNHKに譲る

 第1回調査から継続して質問している各種メディアに対する信頼感や印象について、今年度の結果を過去調査と比較し考察する。
 各メディアが発信する情報をどの程度信頼しているのか、全面的に信頼している場合は100点、全く信頼をしていない場合は0点、普通の場合は50点として、それぞれ点数で回答してもらった。その平均点の推移をグラフにしたものが図表1である。「新聞」は67.7点で昨年度調査の69.2点から1.5点低下し、「NHKテレビ」にトップを譲っている。本調査を始めた2008年から「NHKテレビ」が毎回首位を維持し、「新聞」は二番手だったが、2019年に初めて逆転した。しかし今回、その座を再び「NHKテレビ」に譲っている。「NHKテレビ」は69.0点(昨年度69.0点から変化なし)、「民放テレビ」が61.3点(昨年度62.0点から0.7点低下)、「ラジオ」が55.4点(昨年度55.3点から0.1点上昇)、「インターネット」が49.2点(昨年度49.7点から0.5点低下)となっている。(図表1)

図表1 各メディアの情報信頼度

 新聞の信頼度得点の低下について、昨年度の調査結果との比較を試みたところ、新聞を購読していない人で低下が大きくなっている。また、年代別では40代、職業別は管理職と無職で他の層と比べ低下が大きくなっている。新聞の信頼度の低下は、新聞を読まない人の増加がひとつの要因だと思われる。そもそも新聞を読んでいないので、他のメディアと比較してどれほど新聞の情報が信頼できるのかを実感する機会が少ないのではないか。そのため、新聞に対してポジティブなイメージを持ちにくく、点数も低めになっていると思われる。年代や職業による低下については、何を示唆しているのか、現時点では結論付けられず、さらに来年以降も分析を続ける必要があるだろう。(図表2)
図表2 新聞の情報信頼度得点(昨年度との比較)

 当調査ではメディア信頼度の変化要因を探るため、この1年間で各メディアの信頼感が変化したか、さらに「新聞」に関しては変化した理由についても質問している。全てのメディアで「変わらない」と回答した人が70%以上と多数を占める結果となっている。「高くなった」は「インターネット」が6.0%と最も多く、次いで「新聞」が5.6%、「NHKテレビ」が3.9%、「民放テレビ」が3.1%となっている。「低くなった」は「民放テレビ」(13. 8%)、「雑誌」(12. 1%)、「インターネット」(12.0%)が10%以上となっている。この1年間で新聞への信頼感が高くなったと答えた人(全体の5.6%、170人)に尋ねた理由では「情報が正確だから」41.2%(昨年度比7.4ポイント増)が、信頼感が低くなったと答えた人(全体の8.7%、264人)に尋ねた理由では「特定の勢力に偏った報道をしているから」42.8%(昨年度比3.8ポイント減)がそれぞれトップになっている。時系列変化を見ると、信頼感が低くなった理由としての「特定の勢力に偏った報道をしているから」は2016年度調査の29.7%から2019年度調査の53.9%へと増加傾向が続いていたが、前回調査で46.6%、今回調査で42.8%と減少している。
 次に各メディアの印象を尋ねたところ、「情報が信頼できる」「社会的影響力がある」ではNHKテレビが1位に、「情報が面白い・楽しい」「情報が分かりやすい」「情報が役に立つ」では民放テレビが1位に、「手軽に見聞きできる」「情報源として欠かせない」「情報の量が多い」ではインターネットが1位になっている。新聞は、「情報が信頼できる」で2位に、「情報の量が多い」で3位となっている(複数回答)。昨年度調査と比較すると、NHKテレビは「情報が分かりやすい」(3.6ポイント)、「情報源として欠かせない」(2.5ポイント)、「情報の量が多い」(2.3ポイント)が増加している。民放テレビ、インターネット、新聞、ラジオ、雑誌の増減はどの項目も2ポイント以内と小さくなっている。

2.ニュースとの接触状況
―ニュースとの接触率は民放がトップ

 ニュースとの接触状況については、各メディアのニュースを週に何日かでも読む・見聞きすると答えた接触率が高い順に、民放テレビのニュースが89.5%(昨年度87.9%)、NHKテレビのニュースが76.5%(昨年度73.7%)、インターネットのニュースが73.1%(昨年度71.6%)、新聞が60.6%(昨年度60.9%)、ラジオのニュースが29.1%(昨年度29.9%)となっている。そのうち、毎日の接触率は、民放テレビのニュースが54.7%(昨年度54.2%)、インターネットのニュースが48.9%(昨年度48.2%)、新聞が42.4%(昨年度41.8%)、NHKテレビのニュースが41.5%(昨年度37.3%)、ラジオのニュースが9.1%(昨年度8.7%)である。
 昨年度調査と比較すると、ニュース接触率は、NHKテレビのニュースが2.8ポイント、民放テレビのニュースが1.6ポイント、インターネットのニュースが1.5ポイント上昇している。一方、ラジオのニュースが0.8ポイント、新聞が0.3ポイント低下している。毎日の接触率はいずれのメディアも上昇し、NHKテレビのニュースが4.2ポイント、インターネットのニュースが0.7ポイント、新聞が0.6ポイント、民放テレビのニュースが0.5ポイント、ラジオのニュースが0.4ポイントの上昇となっている。ニュース接触率、毎日の接触率ともに、NHKテレビのニュース、民放テレビのニュースは、今年度は上昇に転じている。インターネットのニュースは2018年度から上昇が続いている。(図表3)
図表3 ニュースとの接触状況

 接触時間は、平均接触時間が長い順に、民放テレビのニュースが36.9分(昨年度36.9分)、NHKテレビのニュースが30.1分(昨年度28.1分)、インターネットのニュースが26.4分(昨年度25.4分)、新聞が25.4分(昨年度25.1分)、ラジオのニュースが21.2分(昨年度21.7分)となっている。前回調査と同様に、民放テレビのニュース接触時間が他のメディアより長くなっているが、これはニュースに特化していない番組、例えば昼間や夕方の総合情報番組も含め回答されているためと推察される。
 どんな場所、時間帯にニュースと接触しているのかを見ると、新聞は「自宅(午前中)」が41.5%で最も多く、民放テレビのニュースとNHKテレビのニュースは「自宅(夕方以降)」(民放54.8%、NHK47.1%)が最も多くなっている。インターネットのニュースは「自宅(夕方以降)」が36.7%で最も多いが、「職場・学校」(21.1%)、「移動中(電車・バスなど)」(17.8%)も多くなっている(複数回答)。
 政治、経済、社会、国際情勢など8つの分野のメディア別接触状況を聞いたところ、全ての分野で「民放テレビ」が最も多くなっている。2位には、社会、政治、国際情勢、経済に関することで「NHKテレビ」、スポーツ・芸能、生活・健康、文化に関することで「インターネット」、地域に関することで「新聞」が挙げられている(複数回答)。

3.新聞の購読状況と評価
―新聞の購読率は昨年度から横ばい

 ここからは新聞の購読率や満足度など、新聞全般に対する評価を紹介したい。まず新聞の購読率を見ると、本調査を始めた2008年度から低下傾向が続き、2008年度88.6%から今回調査61.4%へ27.2ポイントの低下となっている。前回調査61.3%からは0.1ポイントとの上昇となっている。種別では全国紙は2008年度の55.1%から今回調査の30.2%へ24.9ポイントの低下、前回調査31.1%からは0.9ポイントの低下となっている。県紙・地方紙は2008年度27.6%から今回調査24.9%へ2.7ポイントの低下、前回調査23.5%からは1.4ポイントの上昇となっている。ブロック3紙は2008年度13.0%から今回調査7.6%へ5.4ポイントの低下、前回調査8.2%からは0.6ポイントの低下となっている。(図表4)
図表4 月ぎめでとっている新聞

 月ぎめで新聞を取る理由は「新聞を読むのが習慣になっているから」が47.3%(昨年度48.1%)で最も多く、「新聞でなければ得られない情報があるから」が41.0%(昨年度40.4%)で次いでいる。一方、新聞を取らない理由は「テレビやインターネットなど他の情報で十分だから」が78.5%(昨年度74.0%)で最も多く、次いで「新聞の購読料は高いから」が36.5%(昨年度37.9%)となっている(共に複数回答)。
 今後の新聞との接し方については、「紙の新聞を購読する」と答えた人が最も多く49.7%となっているが、2018年度から低下が続いている。「図書館やインターネットなど無料で読める分で十分なので、新聞は購読しない」は25.4%(昨年度26.1%)、「無料でも新聞は読まない」は11.8%(昨年度11.7%)となっている。(図表5)
図表5 今後の新聞との接し方

 また、戸別配達については、「ぜひ続けてほしい」は32.4%、「できれば続けてほしい」は25.6%で、両者をあわせた『続けてほしい(計)』は58.0%となっている。過去の調査と比較すると、『続けてほしい(計)』の割合は減少傾向が続き、調査開始の2008年度(84.1%)からは26.1ポイント、昨年度(58.4%)からは0.4ポイントの減少となっている。年代別に見ると昨年度から60代で10.1ポイント、50代で5.7ポイント減少している。(図表6)
図表6 戸別配達を「続けてほしい」と答えた人の割合


4.新型コロナウイルス感染症について
―ワクチンデマ、半数超が見聞き

 ここからは、コロナ禍が人々のメディア利用にどのような影響を与えているのか見ていく。本調査も昨年度と同様にコロナ禍のもとでの調査になった。昨年度調査は第三波がピークに至る前に実施された。一方、本調査は第五波で緊急事態宣言が21都道府県に出されていた時期に実施している。コロナの感染状況が調査対象者の回答に大きく影響を与えることに留意しながら、調査結果を見ていきたい。
 新型コロナウイルス感染症に関する情報の入手方法を尋ねたところ、「民放テレビ(公式サイトも含む)」が最も多く81.7%、以下、「NHKテレビ(同)」63.5%、「ポータルサイト(Yahoo!、Googleなど)」44.6%、「家族や友人」34.7%、「お住まいの都道府県や市区町村のホームページ」31.8%、「新聞(全国紙)(同)」31.5%、「新聞(地方紙)(同)」30.1%、「SNS(LINE、Twitter、Facebookなど)」29.2%となっている(複数回答)。新型コロナウイルス感染症に関する情報で役に立ったものを尋ねたところ、「民放テレビ」が最も多く64.0%、以下、「NHKテレビ」49.5%、「ポータルサイト」31.4%、「新聞(地方紙)」23.7%、「お住まいの都道府県や市区町村のホームページ」23.6%、「新聞(全国紙)」23.1%、「家族や友人」22.0%、「SNS」19.8%となっている(複数回答)。民放テレビが多かった背景には、情報番組の視聴が考えられる。年代別に見ると、情報の入手方法は20代以下では「SNS」が最も多く、7割を超えている。また、情報で役に立ったものは、18~19歳で「SNS」が55.6%、20代で49.8%と最も多くなっている。20代以下でのコロナに関する情報接触は「SNS」が大きな比重を占めていることが分かる。(図表7)
図表7 新型コロナウイルス感染症に関する情報の入手方法と役立った情報

 各メディアの新型コロナウイルスワクチン報道の印象を尋ねたところ、「ワクチンの有効性や副反応について、科学的根拠に基づいていて、情報を信用できた」「ワクチンの副反応について殊更に取り上げ、不安を煽ろうとしていた」「ワクチンの有効性や必要性ばかりを強調し、接種を強制しようとしていると感じた」「ワクチンの不足や接種の遅れなど、政府の批判ばかりしていた」では民放テレビが1位になっている。接触率の高い「民放テレビ」が良い印象も悪い印象も他のメディアより強い結果となっている。インターネットは、「ワクチンに関する不確かな情報、デマを流していた」が46.3%で1位に、「ワクチンの副反応について殊更に取り上げ、不安を煽ろうとしていた」「ワクチンの不足や接種の遅れなど、政府の批判ばかりしていた」で2位になっている。新聞は、「ワクチンの有効性や副反応について、科学的根拠に基づいていて、情報を信用できた」が31.1%で3位になっている。「ワクチンの副反応について殊更に取り上げ、不安を煽ろうとしていた」「ワクチンの有効性や必要性ばかりを強調し、接種を強制しようとしていると感じた」「ワクチンの不足や接種の遅れなど、政府の批判ばかりしていた」についての新聞の印象は10%前後、「ワクチンに関する不確かな情報、デマを流していた」は4.6%と少なくなっている。
 2021年2月から新型コロナワクチン接種が始まった。ワクチン接種については、国や自治体からの情報、メディアによる報道や解説、SNSなどネットでの情報と私たちの周りに真偽の入り混じった情報があふれる状況となった。このような状況下で、主にSNSなどを通じて、ワクチンに関する誤った情報が流布していると言われている。
 新型コロナウイルスのワクチンについての不確かな情報やデマと思われる情報を見聞きしたか尋ねたところ、「見聞きしたことがある」が55.5%、「見聞きしたことはない」が43.3%となっている。新型コロナウイルスワクチンについての不確かな情報やデマと思われる情報を「見聞きしたことがある」と答えた人(全体の55.5%、1,692人)に、どのようにして正しい情報を確認したか尋ねたところ、「テレビの報道」が最も多く48.3%、以下「SNS(LINE、Twitter、Facebookなど)」32.2%、「専門家によるネット上の情報発信」27.5%、「政府の発表や呼びかけ」25.2%、「家族や友人」23.9%、「新聞の報道」19.7%、「自治体の発表や呼びかけ」15.5%となっている(複数回答)。年代別ではテレビ、新聞は年代が高い層で高くなる傾向が見られた。SNSは年代が低いほど高くなり、30代以下で50%を超えている。(図表8)
図表8 ワクチンの不確かな情報やデマについて正しい情報の確認の仕方

 ワクチンに関するデマは主にSNSなどを通じて広がっているという指摘がある一方で、調査結果から若年層は情報の真偽をSNSを使って確認していることが明らかになった。確かにSNS上には不確かな情報だけでなく、専門家による情報発信もある。SNSを適切に使うリテラシーをどのように身に着けていくかが重要となってくるだろう。
 ワクチンを接種するか、しないかを決める際に、参考にしたものを尋ねたところ、「テレビの報道」が最も多く50.5%、以下「家族や友人」41.5%、「政府の発表や呼びかけ」25.9%、「新聞の報道」「自治体の発表や呼びかけ」共に24.5%、「専門家によるネット上の情報発信」19.0%、「会社など職場からの要請」14.5%、「SNS(LINE、Twitter、Facebookなど)」11.0%となっている(複数回答)。
 新型コロナウイルス感染症への対応について、大変評価している場合は100点、全く評価していない場合は0点、どちらとも言えない場合は50点として点数をつけてもらったところ、平均点は政府が40.8点、居住している都道府県・市区町村が52.5点となっている。政府の平均点は昨年度53.6点から12.8点の低下、居住している都道府県・市区町村は昨年度56.6点から4.1点の低下となっている。昨年度調査との変化については、調査時期の影響が大きいと考えられる。
 政府や自治体に評価得点をつける際に、感染症対策と経済対策のどちらを重視したか尋ねたところ、「感染症対策」と答えた人が72.1%(「感染症対策」30.7%と「どちらかと言えば感染症対策」41.4%の計)、「経済対策」と答えた人が7.8%(「経済対策」1.7%と「どちらかと言えば経済対策」6.1%の計)となっている。また、「どちらとも言えない」は19.6%となっている。昨年度調査と比べると、「感染症対策」が昨年度(61.9%)から10.2ポイントの増加、「経済対策」が昨年度(14.8%)から7.0ポイントの減少となっている。

5.東京五輪・パラリンピックについて
―東京五輪後に開催支持への転向16.0%

 東京五輪・パラリンピックの開催についてどう思うか尋ねたところ、開催前には「中止すべきだと思っていた」が最も多く46.8%、次いで「開催すべきだと思っていた」が27.1%、「さらに延期すべきだと思っていた」が23.7%となっている。東京五輪開催後の調査時に、現在どう思うか尋ねたところ、「開催すべきだった」が最も多く41.2%、次いで「中止すべきだった」が33.1%、「さらに延期すべきだった」が21.7%となっている。
 開催前と現在の組み合わせで見ると、「中止→中止」が32.4%で最も多く、次いで、「開催→開催」が26.8%、「延期→延期」が17.1%となっている。また、「中止→開催」(10. 5%)、「延期→開催」(5.5%)と開催に転じた人が16.0%となっている。(図表9)
図表9 東京五輪・パラリンピック開催の是非

 コロナ禍が収まっていないなかでの東京五輪・パラリンピック開催の是非について様々な議論があった。そのひとつに、東京五輪・パラリンピックのスポンサーになっているメディアが、人々に的確な判断材料を提示できるかどうかかが問われた。これはメディアにとって報道に対する根本的な姿勢を問われる重要な問題であったが、調査結果からは一般の人々の関心は、それほど高くないことが分かった。
 東京五輪・パラリンピック開催の是非について、新聞は的確な判断材料を提供していたと思うか尋ねたところ、「特に何も思わなかった」が25.1%と最も多く、以下、「おおむね的確な判断材料を提供していた」が21.9%、「開催に偏った記事や論評が目立った」が11.5%、「中止に偏った記事や論評が目立った」が8.4%となっている。また、「新聞は読まない」が31.5%となっている。
 東京五輪・パラリンピック開催是非の議論について、ふだん読んでいる新聞で感じたことを尋ねたところ、「コロナ禍の影響を過大に報道していると感じた」が最も多く12.3%、以下「事実よりも情緒的な記事・論評が多いと感じた」11.7%、「コロナ禍の影響を過小評価して報道していると感じた」10.2%、「反政権的な論調が多いと感じた」9.8%、「政権寄りの論調が多いと感じた」8.9%、「新聞社がスポンサーになっていて中立の立場ではないと感じた」8.1%と、いずれも10%前後にとどまっている(複数回答)。
 新聞などメディアが五輪・パラリンピックのスポンサーになることについて尋ねたところ、「特に気にならない」が40.2%と最も多くなっている。次いで「報道機関として独立性や公正さが問われるような関与はしない方がよい」が24.3%、「国を挙げてのイベントを支援するのは当然だ」が18.3%となっている。また、「関心がない」が16.3%となっている。(図表10)
図表10 メディアが五輪スポンサーになることについて

 以上、今年度の「メディアに関する全国世論調査」の結果を概観してきた。今回もコロナ禍での調査になったが、回収率も大きく下げることなく、多くの人々の協力で例年と同じ水準で分析することができた。
 今回の調査では、コロナに関する情報入手は民放がトップであった。ワクチン報道については良い印象も悪い印象も民放テレビに集まっており、いかに人々に、主要な情報入手経路として位置づけられているかがあらためて確認できた。一方、新聞に関して言えば、人々のニュースの接触状況に表れているように、民放テレビ、NHKテレビ、インターネットといった他のメディアの後塵を拝する状況が続いている。月ぎめ新聞の購読状況も過去最低であった昨年と比較して横ばいの状況である。
 それでも、情報の信頼度に関して言えば、トップをNHKに譲ったとは言え、高い水準を維持している。新聞の購読状況についても県紙・地方紙について見ると、若干ではあるが昨年よりも高くなっており、地域に関する情報は新聞から得ているとする人は、民放テレビに次いで多くなっている。今後も本調査を継続的に実施し、そこから得られた知見をもとに、新聞がメディアのなかで果たす役割を模索していきたい。

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