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■「中央調査報(No.774)」より

 ■ 新型コロナウイルス感染症に関する意識調査


 世論調査、市場調査の専門機関である一般社団法人 中央調査社(会長 境 克彦)は、「新型コロナウイルス感染症に関する意識調査」を実施しました。調査は、2022年3月11日から14日にかけて、無作為に選んだ全国の18歳以上の男女個人を対象に個別面接聴取法で行い、1,225人から回答を得ました。分析に際しては、前回調査との比較をするために、20歳以上の1,214人について結果をまとめました。質問項目は、「新型コロナウイルス感染症による生活への影響」「感染症対策の効果」「感染症に対する政府等の対応への評価」「感染収束について」です。主な調査結果は以下のとおりです。


1.新型コロナウイルス感染症による生活への影響
 日本での新型コロナウイルス感染症の感染が拡大して2年が経過した。感染拡大が生活に影響を与えたか聞いたところ、「非常に影響があった」と答えた人の割合が27.1%、「多少の影響があった」と答えた人の割合が47.4%で、合わせて74.5%が『影響があった』と回答している。一方、「あまり影響がなかった」と答えた人の割合が14.2%、「ほとんど影響がなかった」と答えた人の割合が4.0%で、これらを合わせた『影響がなかった』との回答は18.2%にとどまる。「どちらともいえない」は6.7%だった。
 1年前の調査でも同じ質問をしている。『影響があった』は前回79.4%から4.9ポイントの低下となっており、そのうち「非常に影響があった」が前回35.6%から8.5ポイントの低下となっている。
 性別では余り差は見られない。
 年齢別に見ると、『影響があった』は70歳以上の63.5%から年代が下がるに従って高くなり、40歳代以下で8割台となっている。そのうち、「非常に影響があった」の割合は20歳代と40歳代で他の年代より高く3割台後半となっている。一方、『影響がなかった』は年代が高くなるほど割合も高くなり、60歳代で20.1%、70歳以上で29.7%となっている。【図表1】

図表1 新型コロナウイルス感染症による生活への影響

 次に、生活に『影響があった』と回答した人にどのような影響があったかを聞いたところ、「外出しなくなった」が最も高く75.4%、次いで「親族や友人との交流が減った」が74.7%となっている。以下、「家族が家にいる時間が長くなった」(37.2%)、「支出を抑えるようになった・買い物を控えるようになった」(34.5%)が3割台、「子供の学校や保育園が休校・休園した」(24.6%)、「収入や売り上げが減った」(22.0%)、「精神的に落ち着かなくなった」(21.5%)が2割台となっている。
 前回調査と比較すると、「親族や友人との交流が減った」が前回68.6%より6.1ポイントの増加、「収入や売り上げが減った」が前回27.2%より5.2ポイントの減少となっている。
 性別に見ると、「親族や友人との交流が減った」「支出を抑えるようになった・買い物を控えるようになった」「子供の学校や保育園が休校・休園した」「精神的に落ち着かなくなった」は、男性より女性で高くなっている。「在宅勤務になった・在宅勤務が増えた」は女性より男性で高くなっている。
 年代別に見ると、「親族や友人との交流が減った」は40歳代で高く、「家族が家にいる時間が長くなった」「子供の学校や保育園が休校・休園した」は30歳代と40歳代で高くなっている。「収入や売り上げが減った」は20歳代で高くなっている。「精神的に落ち着かなくなった」は60歳代以上で高く、「在宅勤務になった・在宅勤務が増えた」は50歳代以下で高くなっている。【図表2】
図表2 影響があったこと


2.感染症対策の効果
 新型コロナウイルス感染症対策として、ワクチン接種、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置のそれぞれについて効果があったと思うかどうか聞いたところ、ワクチン接種が『効果があった』と答えた人は83.6%(「十分効果があった」38.5%と「まあ効果があった」45.1%の合計)と多数が効果を感じている。次いで緊急事態宣言が『効果があった』と答えた人は62.6%(「十分効果があった」14.2%と「まあ効果があった」48.4%の合計)と6割強が効果を感じている。一方、まん延防止等重点措置が『効果があった』と答えた人は40.9%(「十分効果があった」6.5%と「まあ効果があった」34.4%の合計)にとどまっている。【図表3】
図表3 感染症対策の効果

 性別にみると、緊急事態宣言について『効果があった』と答えた人の割合は男性よりも女性で高くなっている。
 年代別にみると、ワクチン接種と緊急事態宣言について『効果があった』と答えた人の割合は60歳代で最も高く、年代が下がるに従って低くなっている。まん延防止等重点措置について『効果があった』と答えた人の割合は30歳代で最も低く22.1%、70歳以上で最も高く53.6%と差が大きくなっている。いずれも若年層と高年層で効果の感じ方に開きがある。【図表4】
図表4 感染症対策の効果―『効果があった』と答えた人の割合(性別・年代別)


3.新型コロナウイルス感染症に対する対応
 新型コロナウイルス感染症に対する政府、地方自治体、医療機関の対応を「まったく評価できない」を0、「十分評価できる」を10として評価してもらい、それを得点として平均スコアを算出したところ、医療機関の対応についての評価が最も高く7.40、次いで地方自治体の対応に対する評価が5.71、政府の対応に対する評価が5.21となっている。報道機関・マスコミの対応に対する評価は4.93となっている。
 前回調査と比較すると、最も評価の高い医療機関は前回からほぼ変化がなかった。政府と地方自治体への評価は、政府が0.80、地方自治体が0.57、それぞれ上昇している。なお、マスコミ・報道機関は前回調査では質問していなかった。【図表5】
図表5 新型コロナウイルス感染症に対する対応の評価(平均スコア・前回比較)

 性別では、男女でそれほど差は見られない。
 年代別に見ると、政府、地方自治体への評価は40歳代と70歳以上で比較的高く、50歳代で最も低くなっている。医療機関に対する評価は60歳代以上に比べ50歳代以下で高くなっている。報道機関・マスコミに対する評価は20歳代の4.36から70歳以上の5.51にかけて、年代が高くなるほどスコアも高くなっている。
 「ワクチン接種」「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」に効果があったかを尋ねた質問の結果と見ると、いずれも「効果があった」と回答した人の方が「効果がなかった」と回答した人より平均スコアが高くなっている。【図表6】
図表6 新型コロナウイルス感染症に対する対応の評価(平均スコア・属性別)


4.感染の収束について
 コロナ禍が収束して、コロナ禍以前の状態に戻るまでの期間を聞いたところ、「収束後、3か月ぐらいで戻る」と答えた人の割合が3.5%、「収束後、6か月ぐらいで戻る」が8.8%、「収束後1年ぐらいで戻る」が22.6%、「収束後2~3年ぐらいで戻る」が33.2%、「収束後4~5年ぐらいで戻る」が10.2%となっている。「6年以上たってもコロナ禍以前の状態には戻らない」と答えた人の割合が14.3%、「わからない」が7.5%となっている。収束後1年ぐらいまでに戻ると回答した人が34.8%で、収束後2年以上かかると回答した人が57.7%と上回っている。
 前回調査と比較すると、「収束後1年ぐらいで戻る」が2.5ポイント減少した変化が最も大きく、余り変化は見られない。
 性別では余り差が見られない。
 年代別に見ると、「収束後4~5年ぐらいで戻る」「6年以上たってもコロナ禍以前の状態には戻らない」と答えた人の割合が30歳代で他の年代に比べ高くなっている。
 新型コロナウイルス感染症による生活への影響の有無別に見ると、「影響があった」と回答した人で「収束後2~3年ぐらいで戻る」「6年以上たってもコロナ禍以前の状態には戻らない」と答えた人の割合が「影響がなかった」と回答した人より高くなっている。【図表7】
図表7 コロナ禍が収束して、コロナ禍以前の状態に戻る年月

 最後にコロナ禍が収束したらやってみたいこと、したいことを聞いたところ、「国内旅行に行く」を挙げた人の割合が65.2%、次いで「家族や友人との外食」が59.9%となっている。以下、「イベントやコンサートに行く」(32.5%)、「家族や友人との家での会食・パーティ」(30.4%)、「テーマパークや遊園地、動物園などに行く」(27.8%)、「街でのショッピング」(27.3%)、「海外旅行に行く」(24.6%)、「スポーツ観戦に行く」(21.7%)が2割以上となっている。
 前回調査と比較すると、「国内旅行に行く」「家族や友人との外食」は、前回調査同様、今回調査でも上位2位に挙げられている。「テーマパークや遊園地、動物園などに行く」が前回32.6%から4.8ポイント低下している。
 性別に見ると、男女とも「国内旅行に行く」「家族や友人との外食」が上位2位に挙げられているが、その割合は男性より女性の方が多くなっている。3位以下では、「スポーツ観戦に行く」は男性の方が多いが、他の項目は女性の方が多くなっている。
 年代別に見ると、すべての年代で「国内旅行に行く」「家族や友人との外食」が上位2位に挙げられている。「イベントやコンサートに行く」「海外旅行に行く」は、年代が低いほど割合が高くなる傾向が見られる。【図表8】
図表8 コロナ禍が収束したらやってみたいこと、したいこと(上位10 位)

 以上、新型コロナウイルス感染症に関する人々の意識を見てきたが、1年前の調査から大きな変化は見られなかった。感染状況に劇的な改善が見られることがなく1年が経過した。ワクチン接種もこの1年で進んできてはいるが、ウイルスが変異を繰り返し、生活の状況は変わっていないと言えるだろう。そのような中でもワクチン接種、緊急事態宣言には効果があったと感じており、そのことが政府や地方自治体への評価にもつながっている様子がうかがえる。また、収束後に旅行や外食をしたいという要望を半数以上の人が挙げている半面、コロナ禍が収束しても簡単には元に戻らないという意識を持っていることが明らかになった。

調査の概要