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■「中央調査報(No.804)」より

 ■「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査2023」からみる幸福、タイムプレッシャー、希望の結婚・出産年齢、希望の介護(前編)


石田 浩(東京大学社会科学研究所 特別教授)
石田賢示(東京大学社会科学研究所 准教授) 
俣野美咲(東京大学社会科学研究所 助教)  
大久保将貴(東京大学社会科学研究所 助教) 

要約
 本稿は、東京大学社会科学研究所が2007 年から継続して実施している「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」の2023年調査に関する基礎的な分析をまとめたものである。下記に挙げるテーマについて分析した。(1)幸福をめぐる人々の考え方とその関連要因、(2)誰が時間に追われており、タイムプレッシャーを感じやすいのか、(3)何歳までに結婚したいか、子どもを持ちたいかについての2時点間比較、(4)介護が必要になった場合の希望する介護場所と介護者、という4つのトピックを分析した。
 【注:当稿は10月号前編、11月号後編として2カ月に分けて紹介する】1


1.問題意識と調査データ
 東京大学社会科学研究所では、現代日本の若年・壮年者を追跡する総合的な調査である「働き方とライフスタイルの変化に関するパネル調査」(Japanese Life Course Panel Surveys - JLPS)を2007年から継続して実施している。この調査では、人々の社会的背景、学歴達成、職業キャリアの形成、生活時間・暮らし方といったライフスタイルの項目に加えて、結婚・出産のような家族イベント、価値観や考え方といった人々の意識など多様な生活の側面についての質問項目を含んでいる。
 2007年に日本全国に居住する20-34歳(若年サンプル)と35-40歳(壮年サンプル)の男女を母集団として地域・都市規模・性別・年齢により層化し、対象者を抽出した。調査票は郵送で配布し、その後調査員が訪問して回収した。「若年サンプル」3,367名(回収率34.5%)、「壮年サンプル」1,433名(回収率40.4%)を回収した。2011年には「追加調査」として、「継続調査」対象者と同年齢である2011年に24- 38歳(若年)と39- 44歳(壮年)を2007年調査と同様な形で抽出し、郵送配布・郵送回収の方法により調査を実施した。「若年サンプル」710名(回収率32.4%)、「壮年サンプル」253名(回収率31.4%)を回収した。
 2019年には、JLPSの対象者が加齢し、20歳代の若い世代の対象者がいなくなったので、新たに若年リフレッシュサンプル調査として、2019年において日本全国に居住する20-31歳の男女を母集団として2007年調査と同様な方法で対象者を抽出した。調査方法も、2007年調査を踏襲して、郵送配布・訪問回収の方法を採用した。回収できた2383名(アタック数に対する回収率36.1%)のうち、調査を継続することを了承した2049名(同回収率31.1%)を追跡対象者とした。2023年1月から3月にかけて、「継続調査」の第17回、「追加調査」の第13回、「若年リフレッシュサンプル調査」の第5回の調査を実施した。「継続調査」の「若年サンプル」は1,656名(アタック数に対する回数率83.6%)、「壮年サンプル」は818名(同87.2%)を回収した。「追加調査」は「若年サンプル」は393名(アタック数に対する回数率66.8%)「壮年サンプル」は165名(同71.7%)を回収した。「若年リフレッシュサンプル調査」は、回収数は1,323名(アタック数に対する回数率76.7%)であった。
 本報告では、以下の4つのテーマについて最新の調査データを用いて分析する。(1)幸福をめぐる人々の考え方とその関連要因、(2)誰が時間に追われており、タイムプレッシャーを感じやすいのか、(3)何歳までに結婚したいか、子どもを持ちたいかについての2時点間比較、(4)介護が必要になった場合の希望する介護場所と介護者、である。

(石田浩)



2 .人びとは幸せなのか?幸福をめぐる人々の考え方とその関連要因
(1)幸福度についての関心の高さ
 近年、日本でも幸せに関する人々の意識、幸福を測定する指標の開発、幸せを含む生活の質やウェルビーイングの全体像の把握について関心が高まっている。内閣府では、2010年から幸福度に関する研究会を設置し、幸福度指標試案を提案している(内閣府経済社会総合研究所2011)。もともと国連やOECDといった国際機関において、幸福やウェルビーイングについての研究が蓄積されてきた(Helliwell et al. 2023; OECD2013)。国連は、3月20日を国際幸福デーとして、経済的な豊かさだけでなく、それぞれの国に暮らす人々がどの程度幸せであるのかによって国を評価することを提唱し、World Happiness Reportでは、幸福度の世界ランキングを公表している。最新の2023年の報告書では、日本は前年の54位から47位とランクを大きく上昇したことが話題となっている。日本は、1人当たりGDPと健康寿命では相対的に高い値がでているが、人生における選択の自由度、他者への寛容さに関しては低い値となっている(Helliwell et al. 2023)。
 OECDでは、ウェルビーイングの枠組みとして、"Better Life Index"という指標を作成している(OECD 2020)。11の主な領域を特定し、その1つが主観的ウェルビーイングとして位置付けられ、生活満足度の質問として測定されている。それ以外の10の領域は、所得と富、雇用と仕事の質、住宅、健康、知識と技能、環境の質、安全、仕事と生活のバランス、社会的つながり、市民参画、である。ウェルビーイングの定義は一義的ではなく、上記のような多様な要素により構成されており、多元的にそれぞれの社会を評価することができる。総合得点からみると、41カ国中日本は下から12番目に位置しており、"Better Life Index"の指標からみると総合的に低い評価を得ている。日本が比較的高い水準にあるのは、知識と技能、安全、であるが、市民参画、仕事と生活のバランスに関しては低い水準にある。他の領域についても、主観的ウェルビーイング(生活満足度)を含め、決して高いレベルにあるわけではない。
 学術研究の分野では、主観的ウェルビーイングの学際的ジャーナルとして、Journal ofHappiness Studies が刊行されており、経済学、心理学、社会学の研究者が投稿している(浦川2011)。幸福度に特化した研究だけでなく、ウェルビーイング、生活の質といったより広範なテーマについても取り上げられている。幸福概念の精緻化、新たな測定方法、様々な社会における幸福の実証研究に関する論文が掲載されている。幸福と関連する、社会経済的、文化的、社会心理的要因の解明に力が注がれている。
 本節では、以上のような背景を踏まえ、東大社研若年・壮年パネル調査を用いて、幸福と関連する2つの質問項目を取り上げる。現在どのくらい幸せかと、将来の幸せのために現在の幸せを犠牲にできるかの2つの質問について、その分布と関連要因を検証する。

(2) 幸福についての2つの変数と関連要因
a. 幸福度変数
 東大社研若年・壮年パネル調査の最新Wave17では、「あなたは、現在幸せですか」という質問を尋ねている(問33)。選択肢は1(不幸せ)から10(幸せ)の「10段階」のうちのひとつに〇をつけてもらう形になっている。
 図1は無回答を除く有効回答について、回答の分布を示したものである。図からわかるように分布は右にシフトしており、幸福度が高いと回答している人の比率が大きいことがわかる。分布の右半分(6以上の回答)が76%を占める。7あるいは8と回答したのは、全体の44%に当たり、6の回答を含めると全体の6割弱となる。9あるいは10と回答した人の比率は、7あるいは8の回答者と比較すると大きく減少している。1あるいは2という最も低い値の回答者も少ない。これは日本では極端な回答を避ける傾向があることを表しているのかもしれない。

図1 幸福度の変数の分布

b. 現在の幸せを犠牲にできる変数
 Wave17の調査では、上記の幸福度の質問に続いて「あなたは、将来のより大きな幸せのために現在の幸せの一部を犠牲にすることができますか」(問34)という質問をしている。選択肢は、1(できない)から10(できる)の「10段階」のうち1つに〇をつけてもらう。値が高いほど犠牲にすることができることを表している。
 図2が、無回答を除く有効回答の分布を示したものである。前の図に比べると、こちらの図は、正規分布に比較的に近い。5と6の回答は、全体の4割弱(38%)を占める。6かそれ以上の回答(どちらかと言えば「できる」側)は、58%で、半分以上を占める。1から4の回答の比率は23%なので、現在の幸せを犠牲にできないとはっきり考えている人は、比較的に少ないと言える。

図2 現在の幸せを犠牲にできる変数の分布

 表1は、幸福度と現在の幸せを犠牲にできるかの回答の関連を見たものである。10段階の評価を、1と2を1に、3と4を2にという形で5段階にリコードした。どちらの回答も同じ傾向である主対角線上の回答者の割合は、35%で多くないが、クロス集計のカイ2乗検定は1%の水準で有意である。10段階変数の相関係数は 0.139 で有意である。2つの変数の間には正の相関があるので、幸福度が高い人ほど将来の幸せのために現在の幸せの一部を犠牲にできると回答しやすい傾向がある。2つの質問の回答は、関連はしているが、その相関の強さは決して大きくはない。このことは、2つの変数は幸せに関して別の次元を把握している項目であると考えることができる。

表1 幸福度と現在の幸せを犠牲にできるのクロス集計

c. 幸福と関連する要因
 幸福度と現在の幸せを犠牲にできるのか変数と関連すると考えられる要因を独立変数として考慮する。ここでは、上述したOECDの"BetterLife Index"で取り上げられている主観的ウェルビーイング以外の他の10の領域との関連を検討する(OECD 2020)。これらの領域は、もともとは社会全体の特性を表す概念として用いられているが、個人レベルでもそれぞれの領域について対応する変数を考えることができる。ここでは下記のような形で変数を作成している。
 (1)所得と富:現在の暮らし向きの質問(「豊か」から「貧しい」までの5段階評価を逆転コード)により、個人の置かれる経済状況を把握
 (2)雇用と仕事の質:就業状態を、フルタイム雇用(経営者を含む)・パートタイム雇用・自営・就業していない、の4カテゴリーで雇用状況を把握し、就業者は、専門管理職に従事しているか否かで仕事の質を把握
 (3)住宅:現在の住まいが持ち家(1戸建てあるいは分譲マンション)の場合を1、それ以外を0とする変数として住居状況を把握
 (4)健康:自分の健康状態についての質問(「とても良い」から「悪い」までの5段階評価)を逆転させ、1が「悪い」から5が「とても良い」として主観的健康状態の良さを把握
 (5)知識と技能:学歴に関する質問を利用して「1中学・高校」「2専門学校・短大」「3大学・大学院」の3カテゴリーにより、知識と技能の違いを把握
 (6)環境の質:現在の住まいの緑地へのアクセスを測る代替指標として、現在の住まいの都市規模を「16大都市」「20万人以上の市」を0、「その他の市」「町村」を1(緑地へのアクセスが良い)とする変数として作成
 (7)安全:「私の住んでいるこの地区はとても安全である」(Wave16)の質問への回答(「そう思う」から「そう思わない」までの5段階評価を逆転コード)により居住地域の安全度を把握
 (8)仕事と生活のバランス:現在の仕事(就業者のみ)について「子育て・家事・勉強など自分の生活の必要にあわせて、時間を短くしたり休みを取るなど、仕事を調整しやすい職場である」(「かなりあてはまる」から「あてはまらない」までの4段階評価を逆転コード)により仕事と生活のバランス度を把握
 (9)社会的つながり:社会的支援の欠如を測定する質問項目として、「あなたは、次のAからEについて相談したり頼んだりするとき、どのような方になさいますか。A自分の仕事や勉強のこと、B仕事を紹介してもらうこと、C友人・恋人・配偶者などとの人間関係のこと、D失業や病気でお金が必要になったとき、まとまった金額を貸してもらう、E自分や家族の誰かが病気や事故で、人手が必要になったときに手伝ってもらう」という質問で、それぞれについて「誰もいない」と回答した数(0から5まで)により社会的繋がりの欠如の度合いを把握
 (10)市民参画:選挙における投票率が、市民参画の重要な要素とされているので、Wave17(2023年の調査)の「あなたは、2022年7月に行われた参議院選挙の比例代表では、どの政党に投票しましたか」の質問で、「投票しなかった」と回答した場合には0、それ以外を1とする変数で投票による市民参画を把握



(3) 幸福度とOECD領域の関連
 この節では、最初に「あなたは、現在幸せか」(値が高いほど幸せ)の幸福度とOECDの"BetterLife Index"の10の領域との関係を分析する。幸福度を従属変数とし、10の領域を独立変数とした重回帰分析の結果を示したのが、図3である。調査サンプル(2007年からの継続サンプル、2011年からの追加サンプル、2019年に新たに抽出した若年リフレッシュサンプル)と年齢は、統制してあるが、その係数は表示していない。丸印が回帰係数の推定値である。黒く塗りつぶしてあるのは係数が5%の水準で有意である場合である。丸印の左右のエラーバーは、95%の信頼区間を表しており、ゼロを含む場合には、5%の水準で有意ではないことを表す。推定値がゼロより大きい場合には、幸福度を上昇させることを意味し、マイナスの場合には逆に幸福度を低下させることを意味する。カテゴリー変数の場合には、基準のカテゴリーと比較してどの程度異なるのかを表す値となる。
 多変量解析は、逐次的に一定の変数を塊ごとに投入した。最初に投入したのが、性別と学歴である。男性は女性に比べ平均的に幸福度が有意に低いことがわかる。学歴が大学・大学院の場合には、中学・高校学歴(基準カテゴリー)と比較して有意に幸福度が高い。教育と知識は、幸福と正の関連がありそうである。最初に性別と学歴のみを投入したのは、学歴が暮らし向き等の経済状況を大きく規定しているため、同時にすべての変数を投入すると、学歴の効果が消滅してしまうためである。
 性別・学歴に続いて投入したのは、雇用に関連する変数である。従業上の地位の変数は、フルタイム雇用(経営者を含む)を基準カテゴリーとして、回答者がパートタイム雇用、自営、無職である場合に幸福度がどのくらい異なるのかを示している。パートタイム雇用はフルタイム雇用と比較して有意に幸福度が低く、無職の場合も同様に低い。自営はフルタイム雇用と有意な違いがみられない。さらに就業者の間で仕事の質による違いがあるのかを分析するため、専門管理職従事者とそれ以外の職業従事者の間の幸福度の違いを検証した。専門管理職はその他の職種と比較して、幸福度が高い傾向があるようである。
 次に、回答者の経済状況を表す変数である暮らし向きと持家を導入した。暮らし向きは幸福度を有意に向上させ、その係数の値はとても大きい。経済状況の違いが幸福度の違いと強く関連していることがわかる。持家居住の場合には、賃貸・社宅・寮・シャアハウス等で居住する場合と比較して、幸福度が低い傾向にある。
 最後に社会関係、健康、市民参画と居住環境の変数を投入した。仕事と生活のバランスが取りやすい仕事場で働く人は、幸せを感じやすい。人間関係や困った事が起きた時に相談したり頼んだりできる人がいない場合には、幸福度が低い傾向にある。個人の健康状態も幸福度と強い関連がある。自分の健康状態が良いと感じているほど、幸福度は高い傾向にある。居住環境については、自分の住んでいる地域が安全であると感じているほど、より幸せと感じている。しかし、小さな市・町村に住んでいる場合と大きな都市に居住する場合を比較すると、幸福度に有意な違いはみられなかった。直近の選挙で投票したか否かについても、そのことによる幸福度の違いは確認されなかった。投票という市民参画は、幸せ感とは有意な関連はみられなかった。

図3 幸福度と10 の領域との関連

 図4は、「将来のより大きな幸せのために現在の幸せの一部を犠牲にすることができるか」(値が高いほどできる)の質問を従属変数とし、すでに述べたOECDの"Better Life Index"の10の領域を独立変数とした重回帰分析の結果である。図の見方は、前の図とまったく同様である。逐次的に独立変数を投入した。性別と学歴が最初のグループである。男性は女性に比べ、現在の幸せを犠牲にすることができる傾向が強い。幸福度の男女差(男性の方が女性よりも幸福度が低い)とは逆の関連がみられる。学歴については、大学・大学院の学歴を持つ者の方が、中学・高校学歴の者に比べると、犠牲にすることがよりできると回答している。この学歴との正の関係は、幸福度と同じである。

図4 現在の幸せを犠牲にできると10 の領域との関連

 次に、雇用に関する変数を投入した。自営業の従事者は、フルタイム雇用・パートタイム雇用・無職と比較して、現在の幸せの一部を犠牲にすることがより容易な傾向がある。専門管理職の従事者も他の職業従事者と比べて、現在の幸せの一部を犠牲にすることがより容易である。
 経済的要因では、暮らし向きが良好なほど、現在の幸せを犠牲にすることがより容易である。持家については、逆に持家所有者は、現在の幸せを犠牲にすることに対してより保守的である。最後に残りの変数を投入したが、その中では3つの要因が有意な影響を与えている。仕事と生活のバランスが取りやすい職場で働く人は、現在の幸せを犠牲にすることができる傾向が強い。社会的な繋がりが欠如している場合には、現在の幸せを犠牲にすることに対して極めて保守的である。健康状態については、良好な人は悪い人に比べて、現在の幸せを犠牲にすることがより容易である。投票による市民参画、居住地の地方度、居住地域の安全度は、現在の幸せを犠牲にすることができるとは関連がなかった。

(4)小括
 以上、人々の感じる幸せ感と、将来のより大きな幸せのために現在の幸せを犠牲にすることができるのかという質問の2つについて、その回答分布と関連要因を探ってきた。幸福度の分析についてまとめると、標準化された回帰係数(図は省略)とt値から判断すると、幸福度と関連する最も重要な要因は、暮らし向きと言える。現在の生活の豊かさは、人々の幸福度を左右する。経済的に豊かであるほど、幸せであると感じる度合いは高くなる。暮らし向きに続くのが、主観的健康度である。自身の健康状態が良いほど、幸せであると感じやすい。社会的繋がりは、3番目に来る要因である。何か問題が起きたときに相談したり頼んだりできる人が存在することは、人々の幸福度を大きく上昇させる傾向がある。社会的な支援・手助けを受けられるネットワークを確保することは、自身の幸福度を高めることに繋がると言える。つまり、経済的豊かさ、健康、社会的支援の3つが、人々の幸福度を占う3大要素と言えそうである。
 現在の幸せを犠牲にすることができるのかについては、これも標準化された回帰係数(図は省略)とt値から要因の相対的重要性を判断すると、以下のような示唆が得られる。幸福度の結果のように、とびぬけた要因があるわけではないが、大卒学歴、専門管理職、暮らし向き、社会的繋がりが、相対的にウエイトの大きい要素であることがわかる。これらの結果からは、社会経済的資源をすでに持っている人が、現在の幸せの一部を犠牲にすることに対してより寛容であると読み解くことができる。資源を保有していることは、すでに大きな幸せを手中に収めており、その一部を犠牲にしても、大きな不利は生じないのかもしれない。あるいは別の見方をすると、社会経済的資源をすでに所持していることにより、リスクを取ることができる人々なのかもしれない。


参考文献
○Helliwell, J. F., Layard, R., Sachs, J. D., DeNeve, J.-E., Aknin, L. B., & Wang, S.,( eds.),2023, World Happiness Report 2023 . NewYork: Sustainable Development SolutionsNetwork.
○内閣府経済社会総合研究所,2011,「幸福度に関する研究会報告―幸福度指標試案―」https://www5.cao.go.jp/keizai2/koufukudo/pdf/koufukudosian_gaiyou.pdf
○OECD,2013,OECD Guidelines on Measuring Subjective Well-being,Paris, OECD Publishing, http://dx.doi.org/10.1787/9789264191655-en
○OECD,2020,How's Life? 2020: Measuring Well-being,Paris,OECD Publishing,https://doi.org/10.1787/9870c393-en.
○浦川邦夫,2011,「幸福度研究の現状」『日本労働研究雑誌』612:4-15 

(石田浩)



3.誰が時間に追われていると感じやすいのか?
(1) 労働・家事・睡眠とタイムプレッシャー
 現代社会では、基本的に誰もが1日24時間の生活時間を毎日過ごしている。量的な意味では、1人ひとりの生活時間は平等に割り当てられているといえる。他方、生活時間の質的な側面は人々のあいだで大きく異なりうる。1日24時間をどのように過ごすのかは、個々人の社会的、経済的状況や性格などにより違っても何ら不思議ではない。
 本節では、こうした生活時間の使い方の違いが「時間に追われている」という感覚、言い換えるとタイムプレッシャーの感覚とどのように関連するのかを検証する。タイムプレッシャー(time pressure)という概念は、(日々の生活で生じるさまざまな)必要なタスクを遂行するために十分な時間がとれていない状態を意味する(Denovan and Dagnall 2019: 1)。実際には、タイムプレッシャーは客観的なものというよりも、時間がとれていない、急いでいるという感覚という主観的なものとして把握されることが多い(Sullivan and Gershuny 2017, Szollos 2009)。
 タイムプレッシャーは、量的には平等なはずの1日24時間の生活時間に対する人々の質的な評価を意味している。そして現代社会では、ますますタイムプレッシャーが強まっている考えられている。書店を覗いたりオンラインショッピングのウェブサイトを閲覧したりすると、効率的な時間の使い方に関するライフハック本を容易に見つけ出すことができる。こうした書籍の数々は時間効率に対する人々の関心の高さをある程度反映したものといえるだろう。また、関心の高さの背景には時間不足の意識があるのかもしれない。
 人びとの健康度に着目した研究では、強いタイムプレッシャーによる健康への悪影響や疲労を指摘するものがある(Hewitt et al. 2022;Ruppanner et al. 2019)。健康の観点からはタイムプレッシャーはできるだけ弱いほうが望ましいようであるが、社会理論の立場からも時間への注目が集まっている。近年、加速社会論(Social Acceleration Thesis)という理論的な枠組みがハルトムート・ローザ(Hartmut Rosa)により提案され、同氏による成書については邦訳も出版されている(Rosa 2005=2022)。加速社会論の主旨は、ITなどの技術の発達による時間効率の上昇を通じ、さまざまな意思決定に伴う社会変化のペースが速くなり、わたしたちの生活のペース自体が加速してゆくというものである(Cornwell et al. 2019)。加速社会論がデータから経験的に支持されるかというと、肯定的に解釈できるものがある一方(Schöneck2018)、そもそも時間が不足しやすい属性の人びとが増えたからであるという否定的な研究もある(Sullivan and Gershuny 2017)。これらの知見の違いは分析に用いるデータや変数に依存するところが大きく、今後も実証的な研究の蓄積が待たれるところである。
 本節では、上記の問題の背景にもとづき、現実の生活時間の多くを占める労働、家事、そして睡眠時間とタイムプレッシャーの関連について、JLPSのWave17(2023年1月-3月実施)の回答データを用いて検証を試みる。
(2) 今回の分析に用いる変数の定義
a.タイムプレッシャー変数
 JLPSのWave17では、「あなたは普段どのくらい急いでいると感じますか」という短い質問を尋ねている(問10)。これはSullivan andGershuny(2017)が用いたイギリスの生活時間調査を参考に作成したもので、「いつも」「ときどき」「まったくない」の回答選択肢からなる質問である。この質問を、本節で用いるタイムプレッシャー変数として用いる。
 図5は無回答を除く有効回答について、男女別に集計した結果である。「いつも」と回答しているのは、男性の13%、女性の24%である。他方、「まったくない」と回答しているのは男性の17%、女性の9%である。ジェンダー差の観点からは、女性の方がタイムプレッシャーを強く感じやすいと解釈できる。

図5 タイムプレッシャー変数の分布

 ちなみに、この質問の作成にあたり参考にした Sullivan and Gershuny(2017)の2015年データの分析結果をみると、男性有業者の約17%、女性有業者の約24%が「いつも」急いでいると回答している(Sullivan and Gershuny 2017:29)。対象国や調査年が異なることや、サリバンとガーシュニーの集計結果では無業者が含まれていないため、厳密には同じ測定ができているわけではない。とはいえ、先行研究と比べて極端に異なる結果とはなっておらず、図5はある程度信頼できる集計結果ではないかと思われる。
b. 生活時間変数
 上記のタイムプレッシャーについて説明するにあたり、本節では実際の生活時間(time use)に着目する。そのなかでも、20代から50代の若年・壮年者の平日の生活時間の多くを占めると考えられる、労働時間、家事時間、そして睡眠時間の長さに着目し、タイムプレッシャーの強さとの関連を検証する。
 JLPSデータを用いて、本節では労働時間、家事時間、睡眠時間を以下の通り定義する。労働時間については、調査時点のふだんの生活において収入になる仕事をしている者に対し、1日あたりの労働時間と1 ヶ月あたりの労働日数を質問している。本節では、両者の積により計算した1 ヶ月あたりの労働時間を用いる。ただし、回答者には調査時点で無業である者もいるため、次項からの分析ではカテゴリカル変数に変換したものを用いる。
 家事時間はWave4(2010年)から数年置きに尋ねている。今回調査でも過去同様に、平日、休日の平均的な家事、育児時間を対象者に尋ねている。本節では平日の家事時間に着目する。この質問は対象者全員に該当するため連続変数として用いることも可能だが、外れ値の影響や次項のクロス集計の簡便さを考慮して、やはりカテゴリカル変数にまとめたものを使用する。
 最後に睡眠時間についてであるが、これは毎年対象者に尋ねている起床時刻と就寝時刻から計算した。基本的には起床時刻に24を足した値から就寝時刻を引くことで睡眠時間が求まる。ただし、交代勤務制などやや特殊な労働時間形態をとる者については値が負になるなど不規則なことが生じる。それらのケースは起床時刻に48を足すことで睡眠時間を求めている。また、JLPSの生活時刻質問には「特に決まっていない」という選択肢があり、これを選択している場合は睡眠時間を定義できない。そのため、労働時間、家事時間同様に睡眠時間もカテゴリカル変数として用いることとし、起床時刻か就寝時刻のいずれかが「特に決まっていない」場合は「起床か就寝時刻不定」というカテゴリに分類する。
 以上の生活時間変数について、具体的な時間の長さが求まるケースを用いて、カーネル密度分布にもとづく男女別のグラフを描いたのが図6である。労働時間については男性(破線)、平日の家事時間については女性(実線)のほうが長い方に分布している。これらは巷間指摘される性別役割分業構造を反映したものといえる。一方、睡眠時間の分布については男女間でほとんど違いがみられない。
 3つの生活時間変数のカテゴリ化にあたっては、図6に示される分布の四分位数などを踏まえてカットポイントを作成した。労働時間については働いていない(無業)、月120時間以下、月120時間超200時間以下、月200時間超の4区分にまとめた。平日の平均的な家事時間については、30分未満、30分以上1時間未満、1時間以上2時間未満、2時間以上4時間未満、4時間以上の5区分にまとめた。睡眠時間については、6時間以下、6時間超7時間以下、7時間超7時間半以下、7時間半超、起床または就寝時刻不定の5区分である。

図6 労働時間、家事時間、睡眠時間の分布



(3)労働時間、家事時間、睡眠時間とタイムプレッシャーとの関連
a. クロス集計表による関連の確認
 それでは、ここまで説明した3種類の生活時間変数とタイムプレッシャーのあいだにどのような関連がみられるのかを検証する。タイムプレッシャー変数、および労働時間と家事時間は男女で分布が異なるため、以下の集計、分析は男女別にサンプルを分割しておこなう。
 図7は男性サンプルについてのクロス集計表を帯グラフで表したものである。睡眠時間の区分別にタイムプレッシャーの分布をみると、7時間半超または起床か就寝時刻が不定である場合、急いでいることがまったくないと回答する者の割合が高い。1 ヶ月あたり労働時間については、時間が長いほど「まったくない」の割合が小さく、「いつも」の割合が大きいという関連がみられる。家事時間については、長いほど「いつも」の割合が大きいようにみえるが、睡眠時間や労働時間ほど明確な差はみられない。
 同じように女性サンプルについて集計した結果が図8である。睡眠時間については、時間が長いほど「まったくない」の割合が大きく、「いつも」の割合が小さいという関連がみられる。労働時間については、男性サンプルと同様に時間が長いほど「まったくない」の割合が小さく、「いつも」の割合が大きい。家事時間についても、労働時間と同様の関連を示している。
 図7図8の結果からは、男女ともに労働時間が長いほどタイムプレッシャーをより強く感じやすいことが確認できる。また、睡眠時間については労働時間ほど明確な関連ではないものの、睡眠時間が相対的に短いと急いでいると感じやすいという傾向が男女共通にみられた。一方、家事については女性では時間が長いほどタイムプレッシャーが強いという関連がみられるが、男性では明確な関連がみられない。

図7 生活時間とタイムプレッシャーの関連(男性)



図8 生活時間とタイムプレッシャーの関連(女性)

b. 多変量解析による検証
 1日が24時間であることをふまえると、ここまでみた3種類の生活時間は相互に多かれ少なかれトレードオフの関係にある。そのため、それぞれの生活時間とタイムプレッシャーの関連が、他の生活時間、また対象者個人の属性や特性の影響を除いたうえでも観察できるのかについては、多変量解析による検証を加えるのがより適切である。
 そこで本節では、タイムプレッシャーをアウトカム変数とする順序ロジスティック回帰分析により、労働時間、家事時間、睡眠時間との関連をより詳細に検討する。回帰分析ではこれらの生活時間変数に加え、対象者の属する年齢層、学歴、配偶状態、子どもの有無、世帯年収、メンタルヘルス、SOC(Wave16時点)2、居住都市規模、サンプル種別(継続、追加、リフレッシュサンプルの別)を統制変数として用いる。生活時間変数以外の独立変数に関する分析結果については以下の本文で説明し、図表は割愛する。分析は、クロス集計と同様に男女でサンプルを分割しておこなう(男性、女性のサンプルサイズはそれぞれ1598、2196)。
 図9は、労働時間、家事時間、睡眠時間の各変数についての、タイムプレッシャーへの回帰係数(対数オッズ比)をグラフで示したものである。グラフ中の点は回帰係数の推定値(塗りつぶしたものが男性、白抜きが女性)、エラーバー(垂直線)は推定値の95%信頼区間である。それぞれの回帰係数は、各生活時間変数の基準カテゴリと比べたときに、それぞれのカテゴリがどれだけ高い/低い値をとりやすいかを意味しており、プラスであればより急いでいる方向、マイナスであれば急いでいない方向であることを示している3。労働時間、家事時間、睡眠時間変数の基準カテゴリはそれぞれ「月200時間以下」、「30分未満」「6時間以下」である。エラーバーがゼロにかかっていなければ、その推定値が5%水準で統計的に有意であることを意味している。

図9 順序ロジスティック回帰分析の推定結果(男女別)

 それでは、順序ロジスティック回帰分析の推定結果をみてゆこう。男性については、5%水準で統計的に有意な結果が得られたのは労働時間変数のみについてであった。労働時間が長くなるほどタイムプレッシャーを強く感じやすく、月200時間以下の場合と比べ、200時間超の場合にはより高い値のとりやすさ(「まったくない」→「ときどき」または「ときどき」→「いつも」)が約1.7倍高い(exp(0.512) = 1.67)。家事時間については30分未満の場合と比べて1時間未満、2時間未満、4時間未満のケースでは10%水準でマージナルに有意な結果が得られているが、より高い値のとりやすさは1.3倍程度であり、労働時間の場合と比べるとそれほど明確な関連とはいえない。睡眠時間についてはいずれのダミー変数も有意な係数を示してはいない。
 女性については、いずれの生活時間変数についても5%水準で統計的に有意な係数が得られている。労働時間については男性同様にその時間が長いほどプレッシャーを強く感じやすい。月200時間以下と比べて200時間超の場合、プレッシャーの感じやすさは約2倍である(exp(0.698)= 2.01)。また、男性とは異なり家事時間についても明確な正の関連が得られている。たとえば、平日の家事時間が4時間以上である場合、30分未満の場合と比べて4倍強くプレッシャーを感じやすいことを意味している(exp(1.39) = 4.01)。睡眠時間については、労働時間や家事時間ほど明確な関連とはいえないが、起床または就寝時刻が特に決まっていない場合には、睡眠時間が6時間以下の場合と比べてタイムプレッシャーを感じにくいという結果となっている(5%水準で統計的に有意)。また、10%水準ではあるが、7時間半超の場合もプレッシャーを感じにくい。
 詳細な結果表は割愛するが、その他の独立変数についても結果を簡単に確認しておく。対象者の年齢については男女ともに有意な係数が得られなかった。学歴については、男性のみ大学・大学院学歴のダミー変数が統計的に有意であり、中学・高校学歴と比べてタイムプレッシャーを約1.5倍感じやすいという結果であった。配偶状態は男女ともに有意な結果ではなかったが、子どもがいることによるタイムプレッシャーへの影響は女性でみられ、子どもがいない場合にくらべて2.4倍プレッシャーを感じやすいという結果であった(男性は統計的に有意ではない)。世帯年収も統計的に有意な結果は得られなかった。メンタルヘルスについては男女ともに良好なほどタイムプレッシャーを感じにくい。SOCについては、男女ともに高い水準であるほどプレッシャーを感じやすい。居住都市規模、サンプル種別については統計的に有意な係数は得られなかった。



(4)小括
 ここまで、JLPSのWave17で新たに質問したタイムプレッシャーについて、労働時間、家事時間、睡眠時間との関連をみた。男女ともに長時間労働がタイムプレッシャーと関連し、さらに女性の場合には家事労働時間が長いほど急いでいると感じやすいことが明らかになった。睡眠時間については、女性でのみ起床または就寝時刻が特に決まっていない場合、プレッシャーが弱いという関連がみられた。以上の結果は、他の個人特性の影響を考慮しても残るものであり、生活時間のあり方が時間意識に影響を与えている可能性を示唆する。
 労働時間、家事時間、睡眠時間は、生活時間のなかでもペイドワーク、アンペイドワーク、パーソナルケアの時間の主要なものである。いずれも現代社会の生活において必要な活動であるが、とりわけ前の2つの活動時間が過大であると人々はその他の社会的活動や余暇に十分な時間を割けなくなる(時間の貧困)。そして、そのリスクは女性でより大きそうである。というのは、性別役割分業の規範や実態が依然として強いなかで女性の労働市場参加が進行しており、職場と家庭の両方での役割が期待されることになるためである(Hochschild and Machung1989)。そのような背景があるため、女性については起床、就寝時刻がフレキシブルであることで、時間への拘束が多少は緩和されるのかもしれない。男性についても、今後アンペイドワークへの参加が進むことで時間の貧困のリスクが拡大するかもしれない。
 所得に余裕がなければ生活環境をより豊かにはできないのと同じように、時間に余裕がなければ心身をリフレッシュしたり、新しいことに取り組んでみようという意欲を持ったりすることはできない。使い方は人それぞれかもしれないが、自由な時間を増やせるような環境を整備してゆく必要があるのではないだろうか。



1 本稿は、東京大学社会科学研究所パネル調査プロジェクト・ディスカッションペーパーシリーズ No.174『「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査 2023」分析結果報告:パネル調査からみる幸福、タイムプレッシャー、希望の結婚・出産年齢、希望の介護』(2024年3月)に加筆・修正したものである。本稿は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金基盤研究(S() 18103003, 22223005)、特別推進研究(25000001, 18H05204)の助成を受けて行った研究成果の一部である。東京大学社会科学研究所パネル調査の実施にあたっては社会科学研究所研究資金、(株)アウトソーシングからの奨学寄付金を受けた。調査は一般社団法人中央調査社に委託して実施した。パネル調査データの使用にあたっては社会科学研究所パネル調査運営委員会の許可を受けた。
2 JLPSでは対象者個人の心理的特性にかんする質問はそれほど多く設けていないが、メンタルヘルス(MHI-5)やSOC(Sense of Coherence 首尾一貫性感覚)は毎年、あるいは定期的に測定している。詳細については池田(2024)などを参照されたい。
3 やや技術的であるが、通常の順序ロジスティック回帰分析では「まったくない」と比べて「ときどき」、「ときどき」と比べて「いつも」となるときの独立変数の影響が同じであると仮定している(平行性の仮定)。本節では男女別に分析をおこなっているが、いずれも平行性の検定(Brant検定)の結果は有意ではなく、平行性の仮定は棄却できない(男性については、女性については)。


参考文献
○ Cornwell, Benjamin, Jonathan Gershuny,and Oriel Sullivan,2019,“The Social Structure of Time:Emerging Trends and New Directions,”Annual Review of Sociology 45: 301-20.
○ Denovan,Andrew,and Neil Dagnall,2019,“Development and Evaluation of the Chronic Time Pressure Inventory,”frontiers in Psychology 10:2717.
○ Hewitt,Belinda,Mara A.Yerkes,Amanda Cooklin,and Lyndall Stranzdins,2022,“Reciprocal relationships between time pressure and mental or physical health in Australian mothers of preschool aged children,” Social Science & Medicine , 301:114937.
○ Hochschild, Arlie, and Anne Machung,1989,The Second Shift:Working Parents and the Revolution at Home,New York:Viking Penguin.
○ 池田めぐみ, 2024,「失業とメンタルヘルスに関わるSense of Coherence(SOC)と他者からのサポートの働き―男性を対象にして」石田浩・石田賢示編著『格差社会のセカンド・チャンスを探して―東大社研パネルにみる人生挽回の可能性』勁草書房, 176-94.
○ Ruppanner,Leah,Francisco Perales,Janeen Baxter,2019,“Harried and Unhealthy? Parenthood,Time Pressure,and Mental Health,”Journal of Marriage and Family,81:308-26.
○ Rosa,Hartmut,2005,Beschleunigung:Die Veränderung der Zeitstrukturen in der Moderne,Suhrkamp Verlag.(=出口剛司監訳,2022,『加速する社会―近代における時間構造の変容』福村出版)
○ Schöneck,Nadine M.,2018,“Europeans'work and life-out of balance? An empirical test of assumptions from the“acceleration debate”,” Time & Society 27(1): 3-39.
○ Sullivan,Oriel,and Jonathan Gershuny,2017,“Speed-Up Society? Evidence from the UK 2000 and 2015 Time Use Diary Surveys,”Sociology52(1):20-38.
○ Szollos,Alex,2009,“Toward a psychology of chronic time pressure:Conceptual and methodological review,”Time&Society18(2/3): 332-50

(石田賢示)