■「中央調査報(No.818)」より
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■ 「議員、官僚、大企業、警察等の信頼感」調査 調査結果の概要
世論調査、市場調査の専門機関である一般社団法人 中央調査社(会長 境 克彦)は、「国会議員」「官僚」「裁判官」「マスコミ」「銀行」「大企業」「医療機関」「警察」「自衛隊」「教師」の信頼感に関する意識調査を実施しました。調査は、2025年10月3日から13日にかけて、無作為に選んだ全国の20歳以上の男女個人を対象に個別面接聴取法で行い、1,138人から回答を得ました。主な調査結果は以下のとおりです。
平均評点が高かったのは、医療機関(3.6)と自衛隊(3.6)である。どちらも、2021年にピークの評点を付けて以来下降気味であるが、依然として高い評価を維持している。続いて警察、銀行、裁判官(ともに3. 3)、大企業(3. 1)、教師(3.0)、となっている。大企業は前回調査から変わらない一方、銀行、裁判官は0.1ポイント、警察、教師は0.2ポイント、いずれも前回調査から下落した。 続くマスコミ・報道機関(2.6)は前回より0.2ポイント上昇、官僚(2.5)は横ばい、国会議員(2.4)は0.1ポイントの上昇だった。いずれも、変わらず3ポイントを下回っておりスコアが特に低い。(図表1,2)
年代別で平均評点を比較したところ、マスコミ・報道機関のばらつきが特に大きかった。30代の信頼感が2.3ポイントで特に低かった。70代以上の信頼感は2.8ポイントで、30代とは0.5ポイントの差があった。また、医療機関もばらつきがあった。20代の信頼感が3.9ポイントであるのに対し、50代・60代のポイントは3.5ポイントで、0.4ポイント差だった。 全体で特にポイントが低かった国会議員、官僚、マスコミ・報道機関の3項目すべてにおいて、30代の信頼感がそれぞれ2.3、2.4、2.3と低かった。また50代も、国会議員(2.3)、裁判官(3.2)、銀行(3.2)、医療機関(3.5)、警察(3.2)、自衛隊(3.5)、教師(2.9)などの項目でポイントが低く、全体的に信頼感が低かった。(図表3,4)
次に、信頼できないとする「1」や「2」の評点を「信頼できない(計)」とし、その割合を見ると、全体では、国会議員が48.8%、官僚が42.8%、マスコミ・報道機関が40.6%となっている。さ らに、これらを年代別で見ると、特に30代は国会議員(55.9%)、官僚(51.0%)、マスコミ・報道機関(53.9%)の数値が高く、3つの項目すべてで50%を超えている。また、60代も、国会議員(53.9%)とマスコミ・報道機関(46.1%)で割合が高い。(図表5,6)
さらに、前述の3項目において支持政党別で比較を行った。各党の支持者は少ないため、自民党支持者・既存政党支持者(立憲民主党・維新の会・公明党・共産党・社民党)・新興政党支持者(国民民主党・れいわ新選組・参政党・日本保守党・チームみらい)・支持政党なしに分けて比較をした。その結果、3つすべての項目において、新興政党支持者のほうが、自民党支持者・既存政党支持者・支持政党なしの人たちと比べてより不信感が強いことが分かった。特に、「ほとんど信頼できない」と感じている人が多い。具体的には、国会議員の場合、自民党支持者で「ほとんど信頼できない」は12.7%、同じく既存政党支持者は26.7%、支持政党なしで24.9%であるが、新興政党支持者の場合は39.1%にのぼる。同じように、官僚では自民党支持者9.1%、既存政党支持者17.1%、支持政党なし19.5%、たいして新興政党支持者は31.0%である。また、マスコミ・報道機関の場合は自民党支持者10.3%、既存政党支持者13.3%、支持政党なし14.0%、新興政党支持者は31.0%であった。(図表7)
2.信頼されるよう努力してほしい機関・団体 「国民に信頼されるよう努力してほしい」機関・団体については、国会議員を1番目に挙げた人が半数を超えて68.9%で最も高くなった。次いで、マスコミ・報道機関(7.5%)、官僚(5.6%)、教師(4.5%)、警察(4.0%)、医療機関(2.3%)、裁判官(0.6%)、大企業(0.5%)、自衛隊(0.4%)、銀行(0.4%)となっている。国会議員が突出して高くなっており、多くの人から信頼獲得を望まれていることが、端的に表れている。 信頼されるよう努力してほしい機関・団体を3番目まで挙げてもらった合計で見た場合も国会議員(84.6%)が最も高く、次いで、マスコミ・報道機関(46.1%)、官僚(45.3%)、警察(34.4%)、教師(21.6%)、医療機関(14.9%)、大企業(9.0%)、裁判官(8.3%)、自衛隊(4.3%)、銀行(3.9%)の順となっている。(図表8)
回答結果を時系列でみると、国会議員を1番目に挙げた人は、2009年から現在まで6割以上を維持しており、今回は前回(70.4%)から1.5ポイント減少したものの、1~3番目の合計でも2009年以降は8割以上を維持するなど、すべての項目の中で群を抜いている。そのほかの項目を1 ~ 3番目の合計でみると、マスコミ・報道機関(46.1%)が前回(42.2%)から3.9ポイント上昇しており、調査開始以来おおむね上昇し続けている。一方、官僚(45.3%)は前回(51.0%)から5.7ポイント低下した。(図表9,10)
次に、年代別で各項目を比較してみると、1番目に挙げた項目では、国会議員は全年代で60%以上となっており、特に30代(77.5%)と60代(72.5%)では70%以上となっている。1~3番目の合計では、国会議員は70代以上で79.8%、それ以外では85%以上に達しており、やはり各年代で信頼獲得を強く望まれている。次に、マスコミ・報道機関は20代(56.2%)と30代(57.8%)の数値が高く、反対に70歳以上(38.8%)で最も低くなっており、特に若者世代が努力を求めている。医療機関は70歳以上(21.0%)で最も高く、次いで60代(15.0%)が努力を求めている。(図表11~13)
政治ニュース取得先別に見てみると、いくつかの項目で差が目立った。例えば官僚のポイントは、全体(45.3%)と比べて、テレビ(44.5%)、新聞(39.4%)、ラジオ(41.7%)で情報取得している層のポイントが低かったが、インターネット媒体から情報取得している人は全体よりポイントが高めだった。具体的には、SNS(52.5%)、報道機関のWebサイト・アプリ等(51.9%)特に動画共有サービス閲覧者は62.0%で、全体と16.7ポイントもの差がある。また、マスコミ・報道機関も、全体は46.1%だが、やはりSNS(59.8%)、動画共有サービス(59.5%)を見ている人たちが、より信頼のため努力すべきと考えている。一方で警察は異なった傾向が見られ、全体が34.4%のところ、SNSが29.7%、報道機関のWebサイト・アプリ等が29.6%、動画共有サービスが25.6%と、挙げる人が少なかったことがわかる。(図表14)
3.閉鎖的な機関・団体(国民に対する情報公開) 「国民に対して閉鎖的で、情報公開が進んでいないと思う」機関・団体を2つまであげてもらったところ、国会議員(55.1%)と答えた人が最も多く、官僚(40.2%)が2位となった。国会議員は前回(58.0%)から2.9ポイント、官僚(45.6%)は5.4ポイント、それぞれ低下したものの、依然として他を大きく上回っており、調査開始以来その傾向に変化はない。今回は警察(21.8%)が3位となり、前回(18.1%)より3.7ポイント上昇した。前回3位だったマスコミ・報道機関(16.1%)は、前回(18.4%)より2.3ポイント低下し、今回順位は4位となった。(図表15)
年代別で各項目を比較してみると、国会議員は70歳以上が48.5%、それ以外のすべての年代では50%を超えている。また、官僚も30代から60代で40%を超えており、多くの年代が国会議員と官僚については閉鎖的だと感じている。また、ここでも30代の数値が特に高く、国会議員は67.6%、官僚は48.0%であり、最も低い数値の年代(国会議員は70歳以上で48.5%、官僚は20代で36.0%)と比べると、10ポイント以上の差がある。(図表16,17)
4.世論調査への信頼感 世論調査に対する信頼感について、今回新たに聞いた。「ほとんど信頼できない」、「あまり信頼できない」、「どちらともいえない」、「まあ信頼できる」、「たいへん信頼できる」の5段階で評価してもらった。 「ほとんど信頼できない」が8.6%、「あまり信頼できない」が25.4%で、『信頼できない(計)』は34.0%となった。一方、「まあ信頼できる」が29.4%、「大変信頼できる」が0.7%で、『信頼できる(計)』は30.1%となり、信頼できないと感じている人のほうが多いという結果になった。また、『信頼できない(計)』と、「どちらともいえない」を合わせると65.6%となり、50%を超える。過半数の対象者が、世論調査を「信頼できる」とは回答しなかった、という結果になった。(図表18)
年代別にみると、20代から60代は『信頼できない(計)』が30%以上おり、特に20代は44.9%にのぼる。若いほど信頼感が低いというわけではなく、60代も『信頼できない(計)』が39.4%計)』と「どちらともいえない」の合計は、20代から60代でおよそ7割だった。70歳以上の世代は比較的世論調査を信頼しているとはいえ、『信頼できない(計)』と「どちらともいえない」の合計が56.3%という結果だった。(図表19) 政治ニュース取得先別にみると、やはりSNSを見ている層と、動画共有サービスを見ている層が特徴的だった。例えば、「ほとんど信用できない」がSNSだと16.7%、動画共有サービスだと21.5%とほかの層に比べて高く、一方で、「まあ信頼できる」はSNSが17.4%、動画共有サービスが19.0%と、2割に届いておらず、ほかの層と比べて低かった。(図表20)
5.世論調査が信頼できない理由 世論調査を信頼できない理由も今回新たにたずねた。 最も多かったのは、「どのように調査が行われているかよくわからないから」で、47.5%だった。それに続いて、僅差で2位だったのが「結果がメディアや政治家によって操作されていると思うから」(46.1%)、3位が「世論の誘導に使われていると思うから」(33.4%)で、世論調査の恣意的な利用を疑う意見が上位に入った。4位以下は「数千人の回答で民意がわかるとは思えないから」(27.5%)、「結果に納得がいかないことが多いから」(24.0%)、「回答者の属性が偏っていると思うから」(22.1%)、「結果を目にする機会がないから」(19.7%)、「興味がない、世論調査について考えたことはない」(7.2%)となった。(図表21)
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