1998年(平成10年)7月の参議院選挙で自民党敗北の責任を取って辞任した橋本内閣を受けて、小渕内閣が発足してから半年あまりが過ぎた。国民は小渕内閣をどのように評価しているのか。 「時事世論調査」(全国の20歳以上の男女2000人を対象に面接方式で時事通信社が行う月例世論調査。毎月10日前後に実施。回収率は70%前後)の内閣支持率、政党支持率、内閣支持・不支持理由結果から検証してみる。 1.内閣支持率の推移 小渕内閣の支持率は、橋本内閣最終月(98年7月)の23.4%から1.4ポイント増加して24.8%でスタートした。発足時の支持率としては宇野内閣の19.5%(89年6月)に次ぐ低さとなった。また、不支持率は45.6%で、橋本内閣最終月の56.7%から11.1ポイント減少しているが、歴代内閣では最悪となった。 9月の支持率は22.9%と前月比1.9ポイントの減少となり、橋本内閣最終月を下回った。10月には20.7%と2.2ポイント減少し、11月には19.4%と2割を切った。内閣支持率が1割台を示したのは宮沢内閣最終月(93年10月)の10.3%以来である。一方、不支持率は9月には50.7%に達し、以降、12月まで過半数を超えて推移している。 内閣支持率は、12月には24.6%と5.2ポイント増加し、ほぼ内閣発足時に回復した。さらに年が明けた1月には25.7%、2月には小渕内閣最高の27.3%まで増加している。不支持率も1月には44.1%と、前月比8.6ポイント減少している(図1)。 2.内閣支持・不支持理由の比較 小渕内閣の支持理由の平均を、村山、橋本内閣と比較すると、「他に適当な人がいないから」という消極的な理由が最も多く、「だれでも同じ」「首相を信頼する」が上位にあげられている点は共通している。その中で、橋本内閣で多くみられた「リーダーシップがある」が小渕内閣の支持理由では最も低く、村山内閣と似た傾向を示している。また、村山内閣では「印象が良い」が上位にあげられていたが、小渕内閣では中位にとどまり、比率も低い(表2)。 (表2)内閣支持理由の平均(%)
一方、不支持理由ではいずれの内閣も「期待がもてない」が第1位にあげられているが、小渕内閣では、3割近くとかなり割合が高い。また、「リーダーシップがない」も2割弱と村山内閣を上回っている(表3)。 (表3)内閣不支持理由の平均(%)
3.さいごに 支持理由にみる小渕内閣に対する評価は、橋本内閣より村山内閣に比較的近い。「リーダーシップ」はほとんどないが、99年度予算案を衆議院でスピード通過させたり、景気対策が動き出すなど、徐々にではあるが小渕色も出てきている。自由党と連立したものの依然として参議院では過半数割れが続くなかで、今後様々な政策課題にどのように舵を取っていくかが注目される。 (調査部 馬場英之) |