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■「中央調査報(No.503)」より

 水道水とミネラルウォーターの飲用実態調査


P> 中央調査社は、9月9日から13日にかけて全国の成人男女2,000人を対象に、飲料水についての調査を実施した。このテーマでは、3年前の1996年6月にも同様の調査を実施しており、今回が2回目の調査となる。調査方法は調査員による面接聴取法、有効回収数(率)は1,427(71.4%)であった。

(1)水道水について気になること
 まず、水道水を飲み水として考えたときに、気にかかることがあるかをたずねた。なんらかの「気にかかること」をあげた者は45.0%で、3年前の調査結果より4ポイント増えた(図1)。当然地域差は大きく、地域ブロックでみると、京浜(62.7%)、阪神(58.3%)、近畿(55.6%)では過半数の者が「気にかかること」をあげているのに対し、東北、北陸、中国、四国などでは3割弱にとどまる。市郡規模でみると、13大都市では57.0%、その他の市では45.6%、町村では32.4%となる。また、男女差もみられ、男性の38.0%に対し、女性では51.0%と半数を超え、女性30代では65.2%に及ぶ。
 具体的に「気にかかること」としては、「塩素臭が強い」が27.8%で最も多く、これは京浜(41.5%)と阪神(41.7%)で4割を超す。以下は、「水源地のことなどを考えると安心して飲めない」13.6%、「変な味がする」9.0%、「塩素臭以外の変な臭いがする」7.2%、「にごっている、色がついている」5.7%の順となっているが、このうち、2位の「水源地のことなどを考えると安心して飲めない」が3年前より4ポイント増加したのが注目される。選択肢のうちこの項目だけは「水(質)そのもの」の感じではなく、水源等の環境に対する意識にかかわる項目といえ、水道水についての懸念の増加は、環境に対する意識の変化によるところが大きいとみることができる。



(2)家で水を飲む時の工夫
 家で水を飲む時(お茶やコーヒーを入れる場合のことなども含む)にしている工夫としては、「水道の水を浄水器・整水器に通してから飲んでいる」27.4%と「水道の水を一度沸騰させてから飲んでいる」26.4%が双璧であり(図2)、以下「市販のミネラルウォーターを飲んでいる」18.0%、「朝一番の水は飲まないようにしている」5.7%と続く。「水道の水をそのまま飲んでいる・何も工夫していない」という者は36.7%で3年前とほとんど変わらず、工夫をしている人の割合は変わらないのだが、工夫の内容はかなり変化がみられ、「浄水器・整水器」が2ポイント、「市販のミネラルウォーター」が7ポイント伸びたのに対し、「一度沸騰させてから飲んでいる」は7ポイント減少した。工夫をしている人は、京浜、阪神、13大都市、女性などで多く、水道水に対する懸念と同様の傾向となっている。京浜地域では「浄水器・整水器」が41.5%、「市販のミネラルウォーター」が34.5%に及ぶ。「一度沸騰させてから飲んでいる」については、阪神(36.5%)、中国(40.0%)、九州(32.7%)で高く、水質そのものとは別の地域的要因があるかもしれない。




(3)1週間のミネラルウォーター購入量
 この1ヶ月について、週あたりのミネラルウォーター購入量をきいた。「購入しない」「わからない」を除いた購入世帯は29.9%で、京浜(47.9%)の半数弱を筆頭に、阪神(40.6%)、近畿(39.3%)、関東(36.7%)で4割前後にのぼる。購入量をみると、「大型のペットボトル1本(1.5~2リットル)ぐらい」が7.4%、「大型のペットボトル2本(4リットル)ぐらい」が5.0%、「大型のペットボトル3本(6リットル)ぐらい」が4.3%などとなっており(図3)、平均は3.669リットルとなる。3年前に比較すると、購入世帯は7ポイントの増加(22.5%→29.9%)、平均購入量は0.275リットル増加(3.394リットル→3.669リットル)した。サンプル数は小さくなるが、平均購入量を地域別にみると、関東、京浜、近畿といった購入世帯の多い地域では1世帯あたりの購入量も多い傾向がみられる。




(4)ミネラルウォーターの用途
 購入したミネラルウォーターの用途としては、「家の中で飲み水として使っている」が69.5%で、以下は、「お茶、コーヒー、紅茶を入れる時に使っている」28.5%、「出かけた時、アウトドア、旅行などでの飲み水」26.3%、「ウイスキーや焼酎の水割り、お湯割りに使っている」21.0%、「氷を作るために使っている」12.8%、「災害に備えての備蓄品として購入している」7.7%、「お米を炊く時に使っている」7.5%、「料理を作る時に使っている」7.1%の順である(図4)
 3年前と比較すると、「家の中で飲み水として」が9ポイント、「出かけた時、アウトドア、旅行などでの飲み水」が7ポイント増加し、「ウイスキーや焼酎の水割り、お湯割りに使っている」は6ポイント、「災害に備えての備蓄品として」は4ポイントそれぞれ減少している。晩酌や災害用備蓄といった特定の用途から、日常的な飲み水としての用途への移行がさらに進んだとみることができよう。


(5)ミネラルウォーターを飲む頻度
 市販のミネラルウォーターをふだん飲む頻度について、「よく飲む」という者が9.5%、「時々(たまに)飲む」という者が18.2%で、合わせると「飲む(計)」という者が27.7%である。また、「あまり飲まない」は28.7%、「飲まない」は43.7%となっている。3年前と比較すると、「よく飲む」が4ポイント、「時々(たまに)飲む」が6ポイント増加し、「あまり飲まない」は5ポイント増、「飲まない」は14ポイントの減少となっている(図5)
 飲用者の中心はやはり大都市と若年層である。「飲む(計)」は阪神(49.0%)、京浜(40.1%)、関東(35.5%)で高く、男女差はほとんどみられないが、年代別では20代で46.5%、30代で36.0%と若年層ほど高くなっている。



(6)よく飲むミネラルウォーターとおいしいと思うミネラルウォーター
 ミネラルウォーターを飲む者に、よく飲んでいるミネラルウォーターと、おいしいと思うミネラルウォーターの銘柄をあげてもらった。よく飲んでいる銘柄をあげられた人318人のうち、117人が「六甲のおいしい水」をあげ最も多い(図6)。以下は「南アルプスの天然水」(55人)、「ボルヴィック」(32人)、「エビアン」(24人)の順で、3年前に比べると「エビアン」が2位から4位に下がり、「南アルプスの天然水」「ボルヴィック」がそれぞれ順位をあげた。「六甲のおいしい水」は各地域を通じて多くあげられており、一方「ボルヴィック」は東日本にかたよっている。また、年代別にみると、「六甲のおいしい水」は40代以上に多く、「ボルヴィック」「エビアン」は若年層に多い傾向がみられる。
 おいしいと思うミネラルウォーターは、「六甲のおいしい水」(73人)、「南アルプスの天然水」(29人)、「ボルヴィック」(24人)、「エビアン」(21人)と、よく飲むものの順位と同様であった。



 以上、水道水とミネラルウォーターについての調査結果を簡単にまとめた。この10年で8倍になったともいわれるミネラルウォーター市場であるが、環境意識、都市的なライフスタイルと結びついて今後どこまで広がっていくか注目される。
 また、この調査結果について1点補足しておくと、前回が6月、今回が9月調査であり、季節的な要因が調査結果に影響している可能性もあるので、今後調査するときには季節変動についての把握が課題といえる。

(調査部 宮下 公一)