中央調査報

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■「中央調査報(No.516)」より

 家庭におけるインターネット利用の進展状況


 中央調査社では、今年いくつかの自主調査でインターネットの利用・普及状況について調べているので、その結果を一部ご紹介します。

1.世帯当たりの普及率
 毎年3月に実施している世帯調査「世帯インデックスリポート」(*1)によると、世帯員2人以上の世帯では、パソコンの保有世帯は36.5%と前年(30.2%)の約1.2倍になった。また、パソコンでインターネットを利用している世帯は11.6%から19.3%と前年比1.7倍近くまで増えた。パソコン保有世帯に占めるインターネット利用世帯の割合をみると、前年が約38%(11.6/30.2)だったのに対し、今年は約53%(19.3/36.5)と半数を超えた(図1)。

 単身世帯(ひとりぐらしの世帯)では、パソコン保有率が30.0%、インターネット利用率が21.0%で、それぞれ前年比1.3倍、1.5倍に増えた。パソコン保有世帯に占めるインターネット利用世帯の割合は70%で、2人以上世帯に比べかなり高い(図2)(*2)。

(*1)「世帯インデックスリポート」
調査時期:毎年3月
調査地域:全国(単身世帯は全国の県庁所在都市と人口30万以上の市)
調査対象:2人以上普通世帯25000サンプル
15~69歳の単身普通世帯2000(完了)
調査方法:調査員による留置記入依頼
(*2)単身世帯の結果は上記のとおり地域が都市部で、70歳以上の単身者を除外している点を割り引く必要がある。


 2人以上世帯のインターネット利用率を世帯属性別にみると、地域別(*3)では京浜地域(29.3%)、次いで近畿(23.8%)、関東(23.3%)などで高く、東北(10.8%)、九州(11.5%)で低い。京浜と東北では利用率に3倍近い差がある(図3)。パソコン保有世帯に占めるインターネット利用世帯の割合でも、京浜(62.2%)、近畿(57.2%)で高く、東北(40.8%)、九州(44.4%)で低くなっており、大都市圏中心の普及傾向がみられる。都市規模別にみると、13大都市(東京23区と政令指定都市)では24.7%、このほかの世帯数2万以上~10万以上の市部では20%前後であるが、世帯数2万未満の市と町村ではそれぞれ12.7%、13.3%に下がる。

 世帯年収別にみると、最も利用率が高いのは1200~1499万円の層(42.4%)、次いで年収1500万円以上(36.2%)、1000~1199万円(34.2%)の層で、年収1000万円未満の層では世帯年収が少なくなるほど利用率は低くなる(図4)(*4)。

(*3)ここで「京浜」に区分しているのは東京23区、武蔵野市、三鷹市と横浜市、川崎市。「阪神」は大阪市、堺市、神戸市ほか17市。
(*4)世帯年収1200~1400万円は事務系、1500万円以上は自営業主、比較的高年代の割合が高い。



 世帯主職業別にみると、管理職(34.3%)、事務職(32.2%)でおよそ3世帯に1世帯が利用しているのに対し、農林漁業(6.8%)、無職(9.9%)、労務職(10.7%)では1割前後に下がる(図5)。

 なお、単身世帯を職業別にみると、最も高いのは学生(39.6%)でほぼ4割にのぼる。次いで2人以上世帯同様管理職(33.3%)、事務職(32.4%)で高い(図6)。
 2人以上世帯でも大学生のいる世帯では38.5%とやはり4割近い高率となっている。




 (図7)にはVTR、衛星放送、携帯電話がそれぞれ世帯普及率約20%のときの世帯属性別格差を参考に示した(ただし携帯電話は普及のスピードが早く、ちょうど20%近いところのデータがないので、26.9%のときのデータである)。それぞれの商品には普及のしかたに各々特徴があるが、インターネットの普及は他の商品に比べても、首都圏中心、事務職中心に普及が進んでいるという傾向がある。

 

2.個人利用率
 個人のインターネット利用状況については、今年7月、全国18歳以上の個人を対象に「インターネット利用に関する調査」(*5)を実施した。
調査結果によると、調査日前1ヶ月間にインターネットを自宅のパソコンや携帯電話などで利用した者は18.0%であった。このうち、パソコンでの利用者が16.3%、携帯電話での利用者が6.2%となっている(図8)。

 機器の併用状況をみると、利用者18.0%のうち、パソコンのみで利用が11.4%、携帯電話のみで利用が1.3%、パソコンと携帯電話両方で利用が4.7%となっている。また、このほかの機器では、ゲーム機での利用が1.0%、携帯情報端末での利用が1.0%、ワープロでの利用が0.3%みられたが、いずれもパソコンあるいは携帯電話との併用で、単独であったのはゲーム機のみが0.2%みられるだけだった。


 性別にみると、自宅・携帯電話などでの利用者は男性で20.8%、女性で15.3%となっており、年齢別では18~29歳で37.2%に及ぶ一方、60代では2.9%、70歳以上では0.5%に下がる(図9)。


 

 職業別にみると、学生の48.1%が最も高く、次いで事務職(42.8%)、自由業・管理職(27.9%)と続く。一方、農林漁業、労務職、無職層は1割に満たない。
 都市規模別では、13大都市24.7%、その他の市19.0%、町村9.0%となっている(図10)。

 利用機器を年齢別にみると、18~29歳では携帯電話による利用者が18.4%と目立って多くなっている。パソコンとの併用で利用している者が多く、携帯電話のみでの利用者は5.4%、パソコンと携帯電話両方での利用者が12.5%にのぼった(図11)。



 

 1ヶ月間に利用した内容をあげてもらった結果では、「情報やサービスの検索」(73.5%)のほか、「パソコンやソフトウェアのダウンロード」(26.7%)、「音楽・映像のダウンロード」(20.4%)、「インターネットショッピング」(16.1%)、「アンケート・懸賞への参加」(14.7%)などが多かった。
サンプル数はやや少なくなるが、30代以下の利用者と40代以上の利用者で利用した内容を比較してみると、30代以下では「音楽・映像のダウンロード」「メールマガジンの購読」「チャット」「グリーティングカード」「BBSへの書き込み」などが40代以上に比べかなり高く、一方、「インターネットショッピング」「自分や家族のホームページの作成・更新」「インターネットバンキングや株の売買」では40代以上が30代以下の割合を上回った(図12)。30代以下のユーザーは通信・コミュニケーション機能そのものを楽しむ、40代以上は機能を利用して何かをするというニュアンスが出ている。


 最後に、自宅・携帯以外、つまり勤務先や学校、公共機関、インターネットを利用できる店などでの1ヶ月間の利用をきくと、自宅外利用者は18.9%で、自宅利用者も含めた総利用者は24.7%、ほぼ4人に1人の割合である(図13)。総利用率は学生で71.0%に達するほか、事務職(55.7%)、18~29歳(50.8%)で半数以上にのぼった。

(調査部 宮下 公一)