中央調査報

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■「中央調査報(No.522)」より

 ■ 中央調査社の「推定母集団」
                 -2001年度から年齢スライド方式で計算-


 統計的推論をおこなうための標本調査の標本サイズ計算には母集団サイズが不可欠ですが、中央調査社では自社で定義した各種母集団サイズを、総体として「推定母集団」あるいは「母集団」と社内的に称しています。

2001年4月以降の調査に使用している「母集団」では、年齢別人口に関わる計算方法が従来と変わりました。
1.『住民基本台帳人口要覧』に記載の各区市町村年齢階級別人口(男女別)をそのまま「母集団」の男
(『住民基本台帳人口要覧』:市町村自治研究会編集、(財)国土地理協会発行。毎年の3月31日現在の住民基本台帳人口・世帯数等を収録し同じ年の秋に発行。年齢階級は0~79歳の範囲が5歳きざみ階級で、80歳以上は一括。)
2.『住民基本台帳人口要覧』に記載の各区市町村年齢階級別人口(男女別)に、1995年国勢調査時の各区市町村男女各歳(原則5歳スライド)人口比率を乗じて、「母集団」の男女各歳人口を推計しました。
従来法では
(1)『全国市町村要覧』に記載の各区市町村の住民基本台帳人口に、利用可能な最新国勢調査-現在1995年-時男女各歳人口比率を乗じて、「母集団」の男女各歳人口を推計していました。
(『全国市町村要覧』:市町村自治研究会編集、第一法規出版(株)発行。毎年の3月31日現在の住民基本台帳人口・世帯数・役所情報等を収録し同じ年の秋に発行。人口・世帯数は『住民基本台帳人口要覧』と同じだが総数のみの情報。)
(2)5年に1回の国勢調査時の男女各歳人口比率を、年齢スライドさせることなく5年間適用していました。
 世帯種類別数の推計法は従来どおりで、『全国市町村要覧』に記載の各区市町村世帯数に、1995年国勢調査時の各区市町村世帯種類別(二人以上普通世帯、一人世帯、準世帯)比率を乗じています。
 2001年度の「母集団」は、以下のとおりです。
総人口
126,071,305=2000年3月31日現在住民基本台帳人口
20歳以上人口
100,069,613=2000年3月31日現在住民基本台帳20歳以上人口
20歳以上人口は総人口の79%=2000年3月31日現在住民基本台帳での比率
総世帯数
47,419,905=2000年3月31日現在住民基本台帳世帯数
二人以上普通世帯数
35,264,513=[2000年3月31日現在住民基本台帳世帯数×1995年国勢調査時二人以上普通世帯比率]各区市町村値を累積
二人以上普通世帯数は総世帯数の74%=1995年国勢調査時の比率

昨2000年度の「母集団」では、以下のとおりでした。
総人口125,860,006=1999年3月31日現在住民基本台帳人口
20歳以上人口
97,149,031=[1999年3月31日現在住民基本台帳人口×1995年国勢調査時20歳以上人口比率]各区市町村値の累積
20歳以上人口は総人口の77%=1995年国勢調査時の比率
総世帯数
46,811,712=1999年3月31日現在住民基本台帳世帯数
二人以上普通世帯数
34,812,179=[1999年3月31日現在住民基本台帳世帯数×1995年国勢調査時二人以上普通世帯比率]各区市町村値の累積
二人以上普通世帯数は総世帯数の74%=1995年国勢調査時の比率

 


「各区市町村住民基本台帳-以下住基と表記-年齢階級別人口(男女別)に1995年国勢調査-以下国調と表記-時の各区市町村男女各歳(原則5歳スライド)人口比率を乗じて男女各歳人口を推計」する方法
は以下のとおりです。
まず直感しやすいところから、
5~9歳男女各歳人口は
住基人口男女別・5~9歳階級人口に、国調時0~4歳男女各歳人口比率をかけて推計。
10~14歳男女各歳推定人口は
住基人口男女別・10~14歳階級人口に、国調時5~9歳男女各歳人口比率をかけて推計。

 すべての5歳階級別人口について同様におこなうかというと、そうではなく例外部分があります。
 社会的移動-高校卒業後の移動など-が多い年代については、各歳人口比率は変わらないとみなして年齢スライドをせず、
15~19歳男女各歳人口は
住基人口男女別・15~19歳階級人口に、国調時15~19歳男女各歳人口比率をかけて推計。
20~24歳男女各歳人口は
住基人口男女別・20~24歳階級人口に、国調時20~24歳男女各歳人口比率をかけて推計。

 例外部分は上の2階級だけですので、他は年齢スライドをして、
25~29歳男女各歳人口は
住基人口男女別・25~29歳階級人口に、国調時20~24歳男女各歳人口比率をかけて推計。
30~34歳男女各歳推定人口は
住基人口男女別・30~34歳階級人口に、国調時25~29歳男女各歳人口比率をかけて推計。
 以下同様におこない、
75~79歳男女各歳推定人口は
住基人口男女別・75~79歳階級人口に、国調時70~74歳男女各歳人口比率をかけて推計。

『住民基本台帳人口要覧』の記載が一括になっている80~98歳・99歳以上男女各歳人口は
住基人口男女別・80歳以上階級人口に、国調80歳以上(~98歳、99歳以上)男女各歳人口比率をかけて推計。

 この階級の推計については試行錯誤しましたが、統計局の人口推計(平成11年10月1日現在全国,年齢各歳人口)との開きがより少ないこの方法を採用しました。
 「80歳以上」について各歳の母集団サイズが必要になることは多くないですが、中央調査社のサンプリングプログラムが1歳きざみの母集団サイズ計算を前提にしているので推計しました。
 説明が最後になった「0~4歳」の推計も同じ事情によるものです。

 年齢スライド方式では対応する国調データが無い0~4歳男女各歳推定人口は、
 住基人口男女別・0~4歳階級人口に然るべき比率を乗じて推計する必要があります。
 今回は1995年国調時以降の「毎年の0歳」すなわち1996年~2000年それぞれの出生数(2000年の4~0歳相当、全国で各年度1,182,216、1,208,578、1,198,595、1,206,956、1,187,357 各年度の『住民基本台帳人口要覧』に記載)を利用しました。
 まず各区市町村のこれら年次の出生数と、1995年国調時0歳人口男女比率とを乗じて推定男女別出生数とし、これらの比率を住基人口男女別・0~4歳階級人口に乗じて、0~4歳男女各歳推定人口としました。
 レアケースですが、比率計算の分母となる1995年国調時の5歳階級別人口(あるいは0歳人口)がゼロの町村については、前後の階級別人口などを参考にして男女各歳推定人口を適宜配分しました。

表:中央調査社の「推定母集団」計算に使用する住基人口と国調人口の関係

 


 中央調査社の「母集団」の変遷
を最後にまとめておきます。
1991(平成3)年度分まで
国勢調査結果報告をもとに毎年10月1日現在の国調値ベース「推定母集団」を推計

 その計算方法は中央調査報No.318(昭和59年4月発行)、No.319(昭和59年5月発行)に詳しく紹介されています。
 国勢調査と国勢調査の間の毎年の国調値ベース人口・世帯数推定値を得るために、発表済み3月31日現在の住民基本台帳人口・世帯数から二次回帰予測により来たるべき10月1日時点の住基値ベースの推定値を求め、住基値と国調値の乖離の傾向を反映して国調値ベースの人口・世帯数を推計していました。
 昭和58年以前は、同様の推計を手作業的におこなっていたのではないかと思われます。
1992年度分から2000年度分まで
住民基本台帳値に国勢調査時比率を乗じて「推定母集団」を推計

 中央調査報No.427(平成5年10月発行)でも紹介しています。
 各区市町村の住民基本台帳人口・世帯数を推定総人口・総世帯数とみなし、国勢調査時男女各歳人口比率・世帯種類別比率を乗じて、男女各歳人口・世帯種類別数を推計していました。
2001年度分から
人口については年齢階級別人口(男女別レベル)まで住民基本台帳値そのものを母集団サイズとする
世帯については従来どおり住民基本台帳値に国勢調査時比率を乗じて母集団サイズを推計

 詳細は今回紹介したとおりです。
 このように、当初は毎年10月1日現在の(国調値ベースの)母集団サイズを推計しこれを「推定母集団」と呼んでいたわけですが、現在ではおよそ1年前の3月31日現在の住民基本台帳値をほとんどそのまま使用しているので、単に「母集団」と呼ぶのがふさわしいように思います。
 中央調査社母集団0~34歳各歳推定人口の2001年度と2000年度の比較グラフ、そして2001年度母集団と2000年度母集団および1996年3月31日時点住基人口(1995年国勢調査との乖離が最小と思われるもの)の5歳階級人口構成比の比較グラフを参考までに図示します。前者の22歳から25歳の不連続は推計方法に起因するものです。27歳以降の減少傾向は統計局の人口推計と同じです。

(管理部 久保田晶子)