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■「中央調査報(No.530)」より

 ■ 「女性天皇」についての世論調査

 12月1日皇太子御夫妻に女のお子さまが誕生され、7日には「愛子」さまと命名された。結婚8年目にして待望のご出産となったわけであるが、同時に「女性天皇」も現実的な問題となってきた。時事通信社は時事世論調査にて96年以来この問題に関する国民の声を集約してきた。最近、11月9日~12日に行った時事世論調査の結果を中心に紹介したい。
1.「女性が天皇になること」への賛否
 現在、皇位継承は皇室典範第1条の「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」の規定があるのみで、女性天皇については、規定されていない。女性が天皇になることに「賛成」「反対」「どちらとも言えない」「関心がない」の中から答えてもらう質問については、2001年11月の調査では、「賛成」(賛成派)が55.2%と1996年以降初めて過半数を占めた。また「反対」(反対派)も7.9%と初めて1割を切った。「どちらとも言えない」(中間派)は26.6%、「関心がない」7.6%と「わからない」2.7%と合わせた無関心派は10.3%で、どちらも減少している(図1)。
 今回の調査結果をみると賛成派がこれまで3割前後で推移していたのが、前回(99年11月)から22.9ポイントも急上昇したことがわかる。
 性別でみると、男性は賛成が52.5%、反対が9.5%。女性は賛成が57.5%、反対が6.6%と女性の方に賛成が多く、男性の方に反対が多いが、実は前回、賛成は男性の方が多く、反対は女性の方が多かった。つまり賛成派が男性では19.1ポイントの増加だったのが、女性では26.2ポイントの増加をみたことになる。この間の雅子さまの流産という悲しい出来事が同性に対して影響を与えたのかもしれない。
 年齢別にみると、賛成派は20歳代、30歳代で60%前後と多く、特に雅子さまと同じ30歳代では、前回(32.2%)より、29.9ポイントも増加した。
 地域別にみると、賛成派は市部に多く、郡部で少なかった。
 ブロック別にみると、賛成派は中国(48.3%)、九州(47.9%)で5割に達しなかった。中でも男性尊重の気風が強いといわれる九州は、反対派も16.6%ともっとも多かった。

(図1)女性が天皇になることへの賛否

図1

2.皇室典範の改正の是非
 将来の皇位継承をめぐって、政界を中心に皇室典範の改正に向けた論議が起きていることに関連してこの皇室典範の改正について、どのように考えているか聞いてみたところ、「誕生するお子さまが男子であれ、女子であれ、皇室典範を改正して、女性天皇の道を開くべきだ」とする改正賛成の意見がもっとも多く、49.2%と約半数を占めた。「誕生するお子さまが女子ならば皇室典範を改正するべきだが、男子ならば改正しなくてもよい」とする条件付き賛成の意見が11.3%あり、この2つを合わせた改正賛成派は60.5%に上った。「誕生するお子さまが男子であれ、女子であれ、皇室典範は改正すべきではない」とする改正反対派は8.6%と1割に満たなかった。また、「どちらともいえない」16.7%、「皇位継承問題に関心がない」10.8%、「わからない」3.3%とこれら3つを合わせた中間的態度の人は30.8%と3割を占めた。
 性別にみると、「女性天皇の道を開くべき」は男性(45.7%)より女性(52.3%)に多かった。年齢別にみると、「女性天皇の道を開くべき」は30歳代(57.3%)、40歳代(50.6%)、50歳代(52.2%)で5割以上となっている。特に30歳代では、「女子なら改正すべき」(9.0%)を含めると3人に2人が改正賛成派となる。改正反対派は60歳以上(11.5%)で1割、また20歳代では「皇位継承問題に関心がない」(18.2%)が2割近くあった(図2)。
3.国民の関心
 前回(99年調査)では、皇室をめぐる最近の話題の中で、もっとも関心があることは何かについてきいたところ、「皇太子さまのお子さまが、いつ誕生するか」が50.6%と半数以上あった。この回答については男性(44.9%)より女性(55.2%)に多く、年齢別では、30歳代(52.7%)がもっとも多かった。
 「お子さま出産」のニュースは暗い話題が多かった今年、数少ない明るいニュースとなり、経済効果も期待されているところであるが、どの程度元気づけてくれるかは、テレビの「御出産特別番組」の視聴率が上がらなかったことにもあるように、厳しい社会・経済情勢が続く中、現在の国民の関心がどうなっているかにかかっているのではないだろうか。

(図2)皇室典範の改正の是非
図2