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■「中央調査報(No.539)」より

 ■ 「防災に関する世論調査」結果から

 危機管理という言葉は、今の時点では防災に対することを考えるのが現実的であろう。時事通信社では、6月7日~10日にかけて「防災に関する世論調査」を実施し、国民の防災に対する姿勢を探ってみた。調査対象は全国20歳以上の男女2,000人、回収率は71.7%であった。

1.災害や事故に対する不安・心配
 日ごろ、災害や事故に対して不安を感じたり、心配しているかを、(1)火災、(2)台風などによる水害、(3)地震、(4)火山の噴火、(5)原子力事故の5項目について聞いてみたところ、「大いに不安に感じたり心配している」と「ある程度不安に感じたり心配している」を合わせた『不安や心配をしている(計)』は、1位「地震」(73.2%)、2位「火災」(66.1%)、3位「台風などによる水害」(43.2%)、4位「原子力事故」(39.9%)、5位「火山の噴火」(15.7%)の順となった(図1)。
 『不安や心配をしている(計)』を地域別にみると、「地震」は関東から近畿、四国において不安の程度が高く、九州では37.7%と低くなっている。「火災」は京浜、阪神といった大都市や東海地方で7割以上と高くなっている。「台風などによる水害」は東海や四国で6割弱と高くなっている。「原子力事故」は京浜と北陸で5割以上と高くなっている。最後に「火山の噴火」については、京浜、甲信越、東海の地域が火山が多い九州地域よりも高くなっている。
図1


2.防災対策
 自分自身や自分の家庭での防災対策について10項目に分けて実施しているかどうかを聞いてみたところ、「当てはまる」が最も高かった項目は、「懐中電灯はすぐに取り出せるようになっている」(81.4%)で8割以上の人が実施している。次いで「救急箱には必要な薬が入っている」(72.2%)が7割以上の実施率となっている。以下3位「避難場所を知っている」(66.9%)、4位「携帯ラジオはすぐに取り出せるようになっている」(60.5%)、5位「家に消火器がある」(60.2%)、6位「就寝時や外出時にはガスの元栓を閉める」(58.0%)、7位「貴重品はすぐ持ち出せるようになっている」(50.1%)と続き、ここまでが5割以上となっている。これら以外では8位「避難袋がある」(23.6%)、9位「貴重品は耐火金庫に入れている」(20.4%)、10位「地域などの避難訓練などには積極的に参加している」(19.9%)の順となっている(図2)。
 「避難場所を知っている」を地域別にみると、東海地域(81.0%)で最も高く、九州(45.5%)で最も低くなっている。
 「地域などの避難訓練には積極的に参加している」は甲信越や東海で4割と高い参加率がある一方、関東の2割を除けば、いずれも1割台か1割未満の参加率となっている。
図2-1
図2-2

3.家庭の防災対策に対する評価点
 自分の家庭の防災対策について、100点満点の何点かを自己採点してもらったところ、「50点台」(27.1%)が最も多かった。次いで「70点台」「60点台」(各12.1%)、「40点台」(10.9%)、「30点以下」(9.8%)、「80点台」(8.9%)、「30点台」(8.6%)、「90点台」(2.2%)と続き、「100点満点」は1.0%にすぎなかった。また「何ともいえない、わからない」は7.3%であった。
 50点台を平均値とし、60点台以上と答えた人を平均より上と考えてみた場合、その割合を地域別にみると、関東、甲信越、北陸の各地域で4割以上となっている。防災対策が割とできていると思われる東海地域では38%と全国平均並みとなっている。
 どこまで防災対策をやれば十分だといえるのかは、災害の規模をどの程度に想定するかによって違ってくるだろう。そしてまたその人の災害体験や想像力によっても違ってくるだろう。災害はいつ、いかなる形でくるかもわからない以上、日常での防災意識を検証していくことがこれからも大事になっていくことであろう。