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■「中央調査報(No.545)」より

 ■ 「市町村合併等に関する意識調査」調査結果の概要


 社団法人 中央調査社は、2002年11月8日から11日にかけて、「市町村合併等に関する全国意識調査」を実施しました。調査は、層化2段無作為抽出法で選んだ全国の20歳以上の2,000人を対象に面接聴取法で行ない、1,369人から回答を得られました(回収率68.5%)。


1.行政ニーズに今の市町村は対応できるか
-『対応できる(計)』『対応できない(計)』と思う人がともに4割できっ抗-

「今お住まいの市町村が現状のままで、今後福祉や環境問題をはじめ、高度化、多様化する行政ニーズに対応できると思いますか」と質問したところ、「十分対応できると思う」が7.3%、「どちらかといえば対応できると思う」が32.8%で、これらを合わせた『対応できると思う(計)』は40.1%、一方「対応できなくなると思う」が9.2%、「どちらかといえば対応できなくなると思う」が31.6%で、合計すると『対応できなくなると思う(計)』も40.8%と、両者はきっ抗している。「わからない」が約5人に1人(19.1%)の割合でみられる。

-13大都市で『対応できる(計)』、町村では『対応できない(計)』と思う人がそれぞれ多い-
 都市規模別でみると、『対応できる(計)』と思う人は13大都市に多く、逆に、町村では『対応できない(計)』と思う人が多く、13大都市を除く県都やその他の市の市部ではいずれもきっ抗している。性別では、男女とも大きな差はみられず、意見はきっ抗している。年代別では、30~40代では『対応できない(計)』と思う人が『対応できる(計)』と思う人を上回っているが、50歳以上の高年層で、逆に『対応できる(計)』と思う人が上回っている。なお、20代の若者の意見はきっ抗している。職業別では、農林漁業、主婦では『対応できる(計)』と思う人が上回っているが、逆に、自由業・管理職、商工サービス業では『対応できない(計)』と思う人が多くなっている。事務職、労務職の勤め人や無職では両者の差が3ポイント以内にとどまる(図1)


(図1)行政ニーズに今の市町村で対応できるか


2.近隣市町村と合併することの是非
-『合併推進層(計)』が39%、『合併慎重層(計)』も41%と意見は二分-

「近年、市町村が自立して主体的に地域づくりを進めるには、足腰を強くする必要があり、そのためには市町村の合併が必要ではないかとの議論が行なわれています。あなたがお住まいの市町村は近隣市町村と合併すべきだと思いますか」の設問で聞いた結果、「すぐに合併すべきである」が7.3%、「どちらかといえば合併した方がよい」が31.3%で、これらを合わせた『合併推進層(計)』は38.6%、一方「合併すべきではない」が18.8%、「どちらかといえば合併しない方がよい」が22.5%で、合計すると『合併慎重層(計)』も41.3%と、差はわずか3ポイントで意見は二分されている。なお「わからない」が5人に1人(20.2%)の割合となっている。

-『合併推進層(計)』は13大都市を除く県都、町村で5割前後と多い-
 都市規模別では、13大都市で『合併慎重層(計)』が6割弱と多く、逆に13大都市を除く県都、町村では『合併推進層(計)』が5割前後と多くなっている。性別では、男性で『合併推進層(計)』が『合併慎重層(計)』を上回っているが、女性では『合併慎重層(計)』が多い。年代別では30代と50代で『合併推進層(計)』が4割台と多く、逆に20代と40代では『合併慎重層(計)』が多く、特に20代では過半数を占めている。60歳以上の高年層では両者の意見がきっ抗している。職業別では、自由業・管理職は『合併推進層(計)』が半数を超えて多く、商工サービス業も多い。一方、事務職と主婦は『合併慎重層(計)』の方が多く、事務職では5割近い比率となっている。農林漁業、労務職および無職では両者の意見がきっ抗している(図2)

図2


3.合併に慎重な市町村における対策の必要有無
-「対策が必要になると思う」人が3人中2人-

「いま、市町村は歳入の低下など財政の悪化、少子高齢化など多くの問題をかかえ、一部の市町村では合併に向け、動き出したところがある半面、なお慎重な市町村も見られます。合併に慎重な市町村は今後何らかの対策が必要になると思いますか」の設問で聞いた結果、「対策が必要になると思う」が66.7%と、3人中2人の割合となっている。一方「必要はないと思う」は12.9%である。

-「対策が必要になると思う」人が町村、男性、30~50代、自由業・管理職、事務職、労務職で7割台-
 属性別にみると、いずれの属性でも「対策が必要になると思う」と考える人が多く、特に、町村(71.2%)、男性(72.2%)、30~50代(70.5~77.8%)、自由業・管理職、事務職、労務職(70.0~76.2%)では7割以上となっている。とりわけ、40代では「対策が必要になる」と思う人が8割近くに達している(図3)

図3


4.合併に慎重な市町村で必要になる対策
-「議員や職員の人員削減や組織の見直し」「経費の削減や職員等の給与カット」が過半数-
 前問で「対策が必要になると思う」と答えた人に「必要と思う主な対策を2つまで」あげてもらったところ、「議員や職員の人員削減や組織の見直し」が57.4%と、6割近くで最も多く、次いで、「経費の削減や職員等の給与カット」が53.0%と、ともに5割台で集中しており、以下、「近隣市町村との広域行政の推進」が31.0%、かなり離れて、「行政サービスの水準の引き下げ」7.6%、「税金や公共料金等の値上げ」が7.3%、「いま以上の行政サービスの廃止」が6.2%の順となっている。

-「経費の削減や職員等の給与カット」は都市規模が大きいほど高い-
 都市規模別でみると、「議員や職員の人員削減や組織の見直し」はその他の市、町村にやや多く、「経費の削減や職員等の給与カット」は都市規模が大きくなるほど比率は高まり、13大都市では6割の比率で最も高く、「議員や職員の人員削減や組織の見直し」を上回ってあげられている。そのほか、「近隣市町村との広域行政の推進」は町村で3割台半ばの比率であげられているのが目につく。性別では、「議員や職員の人員削減や組織の見直し」は女性が男性をやや上回り、「近隣市町村との広域行政の推進」は男性に多い。年代別では「議員や職員の人員削減や組織の見直し」は30~40代で6割台と多く、「経費の削減や職員等の給与カット」は40~60代でほぼ6割の比率と高くなっているが、20代ではかなり低い。その20代では「近隣市町村との広域行政の推進」が4割強と高く、他の年代は3割前後にとどまっている(表1)

(表1)必要になる対策(都市規模別、性別、年代別)
表1


5.住民への市町村合併に関する情報の提供
-『提供している(計)』と思う人は4割弱-
「お住まいの市町村は住民に対して市町村合併についての情報を十分に提供していると思いますか、提供していないと思いますか」では、「十分に提供していると思う」が6.7%、「十分ではないが提供していると思う」が32.6%で、これらを合わせた『提供している(計)』は39.3%、一方、「ほとんど提供していない」が47.5%と、半数近くで『提供している(計)』を上回っている。「わからない」が13.2%となっている。

-13大都市を除く県都、町村で『提供している(計)』と思う人が過半数-
 都市規模別でみると、13大都市を除く県都、町村で『提供している(計)』と思う人が過半数を占めるのに対し、13大都市、その他の市では2割~3割台にとどまる。性別では、男女とも『提供している(計)』と思う人がともに4割弱の比率で差はみられない。年代別では、『提供している(計)』と思う人が30~60代で4割前後と多く、20代と70歳以上では3割台にとどまっている。職業別では、『提供している(計)』と思う人が農林漁業で過半数を占めて多く、無職では3割台半ばと少なく、その他の職業では4割前後となっている(図4)。(調査部 阿高一男)

(図4)住民への市町村合併に関する情報提供
図4