中央調査報

トップページ  >  中央調査報   >  以前の調査  >  「夫婦別姓制度に関する世論調査」から
■「中央調査報(No.557)」より

 「夫婦別姓制度に関する世論調査」から


 「夫婦別姓制度」の導入について、「夫婦は別々の姓を名乗るべきだ」「夫婦は別々の姓を名乗っても構わない」という“積極・容認派”は39.4%で、1996年3月に実施された前回調査に比べて14.5ポイントも大きく増えたことが、時事通信社が実施した「夫婦別姓制度に関する世論調査」で分かった。調査は03年12月11日から14日まで、全国の成人男女2,000人を対象に個別面接方式で実施、有効回答率は69.4%(1,388人)。


 夫婦別姓制度の導入については、夫婦同姓を原則にした上で家庭裁判所が許可すれば、例外的に別姓を認める「民法改正案」の国会提出が02年に自民党内で検討されたが、いまだに実現していない。調査ではまず、「夫婦は同じ姓を名乗るのが当然だと思うかどうか」、自分の考えに一番近いものを選んでもらった。その結果は、「同じ姓を名乗るべきだ」が37.3%(前回55.1%)、「同じ姓を名乗った方が良い」が21.2%(同16.1%)、「別々の姓を名乗るべきだ」0.7%(同0.6%)、「別々の姓を名乗っても構わない」38.7%(同24.3%)だった。これにより、反対派は58.5%(同71.2%)、積極・容認派は39.4%(同24.9%)となった。「分からない」は2.1%(同4.0%)。
 地域別に見ると、東京、大阪などの14大都市で反対派が48.3%で、積極・容認派の49.2%を下回った。その他の市では反対派60.2%、積極・容認派38.1%、また郡・町村ではそれぞれ65.3%、32.1%で、都会ほど反対派の割合が低い。職業別では、農林漁業で反対派が81.8%、積極・容認派が15.2%と、その差が際立っていた。男女別では、反対派が男性65.7%、女性52.3%、積極・容認派が男性32.6%、女性45.3%となっており、女性の方が別姓に肯定的だった。また、年齢別でも顕著な特色があり、反対派は20歳代で42.9%、30歳代で44.0%、40歳代で51.8%、50歳代で60.4%,60歳以上で76.0%と、年齢層が高いほど割合が高くなっている。逆に積極・容認派は若い層ほど割合が高く、20歳代で54.7%、30歳代54.5%とこの2つの年代で反対派を上回った。
 次に「夫婦で別の姓が名乗れるように法律が改正されたとしたら、どうするか」と尋ねた。現在結婚していない人は結婚した場合のことを考えて、1つだけ選んでもらった。
 その結果、最も多かったのは「夫婦で同じ姓にしたい」の57.9%で他を引き離しているが、前回の68.8%からは激減した。
 以下は、「できれば同じ姓にしたいが、相手が希望すれば別々の姓にしても構わない」14.3%(前回10.8%)、「どちらでもよい」13.0%(同11.0%)、「同じ姓にするが、仕事などでは旧姓を通称として使う」4.5%(同2.5%)、「できれば別々の姓にしたいが、相手が希望すれば同じ姓にしても構わない」4.3%(同1.9%)、「別々の姓にしたい」2.3%(同1.1%)、「相手の姓によって考える」2.2%(同1.1%)の順。「分からない」は1.5%(同2.7%)だった。職業別で「夫婦で同じ姓にしたい」が農林漁業で84.8%に上ったのが目立つ。男女別では、男性が女性より割合が高かったのは「同じ姓にしたいが、相手が希望すれば別々の姓でも構わない」(男性18.3%、女性10.8%)の1項目だけだった。
 また、夫婦が別々の姓を名乗った時、子供の姓はどうしたらよいと思うか、自分の考えに最も近いものを1つだけ選んでもらった。その結果、「夫・妻どちらの姓にするかは結婚する時に決めておき、どちらかに統一する」が40.3%(前回40.4%)、「夫・妻どちらの姓にするか法律で決めておく」が22.8%(同26.1%)、「子供が生まれたらその都度考える。兄弟姉妹で姓が統一しなくてもよい」が19.2%(同12.4%)、「分からない」が17.6%(同21.1%)だった。
 さらに、「結婚前から仕事をしていた人が、結婚によって姓を変えると、仕事の上で何らかの不便を生じることがあると思うか」との質問を今回新たに設けた。結果は。「不便は生じないと思う」が47.5%、「何らかの不便を生じることがあると思う」が47.1%で、ほぼ拮抗していた。
 「実家の姓を子孫に継いでもらいたいと感じることがあるか」については、「強く感じる」が23.6%(前回30.1%)、「やや感じる」が31.2%(同31.3%)、「全く感じない」が13.3%(同8.2%)、「あまり感じない」が29.7%(同28.4%)。前二者を合わせた“感じる派”は54.8%(同61.4%)、後二者の“感じない派”は43.0%(同36.6%)となった。
 このほか、「夫婦・親子の姓が違うと、夫婦を中心とする家族の一体感(きずな)に何か影響が出てくると思うか」と聞いた。「家族の姓が違っても、家族の一体感には影響がない」が47.9%で、「家族の姓が違うと、家族の一体感が弱まる」の45.2%を上回った。(了)
表1