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■「中央調査報(No.561)」より

 ■ 「議員、官僚、大企業、警察等の信頼感調査」結果から

 当社では、5月7日から10日にかけて、「国会議員」「官僚」「裁判官」「マスコミ・報道機関」「銀行」「大企業」「医療機関」「警察」「自衛隊」「教師」に対する信頼感に関する意識調査を実施した。本稿では、2000年3月、2001年12月に実施した過去2回の調査との比較を行いながら、今回の調査結果を紹介する。


調査対象: 全国の20歳以上の男女2,000人
調査法: 個別面接聴取法
有効回答数: 1,438人(71.9%)
※なお、前回、前々回の調査結果は、今回の調査対象にあわせて再集計したもの(前回は18歳以上、前々回は15歳以上が対象)を用いた。


1.「国会議員」「官僚」に対する信頼感は五段階評価の「1」が4割近く
 「国会議員」「官僚」「裁判官」「マスコミ・報道機関」「銀行」「大企業」「医療機関」「警察」「自衛隊」「教師」に対する信頼感がどれぐらいあるのか、最低(ほとんど信頼できない)の「1」から最高(たいへん信頼できる)の「5」までの五段階で評価してもらったところ(「3」は「どちらともいえない」)、「国会議員」「官僚」に対しては評点「1」がそれぞれ36.9%、36.7%と4割近くを占め、信頼度の低さが際立っている(図表1)。

図表1


 一方、信頼度が高いのは「自衛隊」「裁判官」で、評点「4」「5」の計(自衛隊37.1%、裁判官34.9%)が「1」「2」の計(10.1%、13.1%)を大きく上回っている。
 なお、「医療機関」「銀行」「教師」「警察」「大企業」「マスコミ・報道機関」に対する評点「1」の割合はそれぞれ10%前後となっている。
 平均評点でみると、「自衛隊」「裁判官」が3.2~3.3、「医療機関」「銀行」「教師」「警察」「大企業」「マスコミ・報道機関」が2.8~2.9、「国会議員」「官僚」が2.0となっている(図表2)。前回調査と比較して、「医療機関」は0.3ポイント、「国会議員」は0.4ポイント低下、前々回調査も含めて過去最低ポイントとなっており、医療事故の相次ぐ表面化や、調査時期に問題化していた国会議員の国民年金未納問題の影響が想起される。

図表2


2.信頼されるよう努力してほしい機関・団体は「国会議員」が圧倒的
 いま、国民にもっと信頼されるよう努力して欲しいと思う機関・団体を1~3番まで順位をつけてあげてもらったところ、1番目として最も多くあげられたのは「国会議員」の57.9%で6割近くを占め、次ぐ「官僚」(10.1%)とは約48%の差がある(図表3)。
 「国会議員」を1番目にあげた割合は、調査を重ねるごとに増加しているが(前々回44.3%、前回49.4%、今回57.9%)、「警察官」をあげた割合は調査を重ねるごとに減少している。(前々回32.4%、前回12.3%、今回9.1%;図表4-1)。
 3番目まであげてもらった合計でみても、「国会議員」は80.9%と圧倒的に多く、以下「警察」45.8%、「官僚」44.6%、「医療機関」37.4%、「教師」27.3%と続いている(図表3)。
 過去の調査結果との比較では、「医療機関」が前回調査より10ポイント以上増加(前回26.7%、今回37.4%)し、「銀行」が前々回調査より10ポイント以上減少(前々回23.8%、今回11.2%)していることが目をひく(図表4-2)。
 市郡別にみると、「警察」「教師」をあげた割合は町村で高く、「官僚」「マスコミ・報道機関」については、市町村の規模が大きくなるほどその割合が高くなっている(図表5)。

図表3

図表4-1/図表4-2/図表5


3.閉鎖的で情報公開が進んでいない機関・団体は「官僚」がトップ
 今回の調査から、国民に対して閉鎖的で情報の公開が進んでいないと思われる機関・団体を2つまであげてもらう質問を設けた。
 その結果、「官僚」が36.2%でトップとなり、続いて「国会議員」28.7%、「警察」26.1%、「医療機関」22.5%となった(図表6)。
 年代別にみると、「官僚」は20代(42.4%)、50代(40.3%)、「国会議員」は20代(33.5%)、30代(36.9%)、40代(34.2%)、「警察」は30代(31.8%)、40代(32.0%)、「医療機関」は50代(27.2%)で割合が高くなっている(図表7)。

図表6

図表7


4.おわりに
 「国会議員」「官僚」の信頼度は過去の調査から一貫して低く、今回の調査からは国民に対して閉鎖的で情報公開が進んでいない印象も持たれているという結果が出た。
 一方、「警察」「医療機関」の信頼度はさほど低くないものの、2割を超える人たちが閉鎖的な機関であるという印象を持っていることも明らかになった。“あらゆる局面で情報公開は行われるべきである”という認識が昨今の趨勢であり、これらの二機関も、今後の国民への誠意の示し方によっては信頼度が下がっていく可能性も否定できない。
 また、「自衛隊」「裁判官」については信頼度は高いが、他の機関や団体よりも具体的な活動内容がイメージしづらく、国民の日常生活への密着度も低いから不信感を感じにくいとも言えるだろう。
 司法の場では、2009年までに裁判員制度(無作為に選ばれた20歳以上の国民が重大な刑事事件の裁判に裁判員として参加する制度)が導入される予定であり、その動向が「裁判官」の信頼度にも影響を及ぼすのか、注目されるところである。
  (大阪支社調査部 片山千亜紀)