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■「中央調査報(No.571)」より

 ■ インターネットを利用した海外統計データの入手法

国士舘大学政経学部  山田 茂

はじめに
 筆者は、「インターネットを利用した統計データ入手法」『中央調査報』2004年2月号において日本国内で作成されている主な統計データの入手方法を紹介した。本稿では、利用の必要性が最近増大している国際比較データを含む海外の統計データをインターネット経由で入手する方法を解説する。
 以前は海外の統計作成状況自体の把握が難しく、早期に入手できるのは報道による断片的なデータだけであった。インターネットを利用したデータ提供の導入と伴に、かなりの範囲のオリジナルデータが早期に入手できるようになった。
 他方、各国における統計の作成方法や基本的な概念などの間には同一分野を対象としたものでも異なっている場合が少なくないが、原語によるページに掲載された情報を正確に理解することは容易ではない。そのため当該データに関連する日本語による情報をチェックしておくことが必要である。
 そこで、本稿では1.海外の統計データ関連の日本語によるページ、2.海外のサイト内の要約統計書の収録ページ、3.個別統計を収録したページの検索方法、4.関連情報の紹介の順に説明を行う。


1.海外の統計データ関連の日本語によるページ
 ここでは統計データ自体を収録したページおよびリンク集を紹介する。
 
1)統計データ自体を収録したページ
 表Aは、統計データ自体を収録したページの開設機関・収録内容・アクセスの経路などを示したものである。大半のページには、総務省統計局のサイトのトップページ(以下では統計局TPとよぶ。http://www.stat.go.jp/)に設けられた「リンク集」から「各府省および独立行政法人等」というページ(各府省のトップページおよびその作成統計の収録ページへのリンク集)経由でアクセスできる。印刷物の掲載内容をそのまま収録したものが多い。このうち総務省統計局『世界の統計』の各章の解説ページ・「主要資料名一覧」には、多数の統計作成機関のサイトへリンクが設けられている。

表A


 個別の国際比較調査の結果も、文部科学省のサイトにOECD「生徒の学習到達度調査」・IEA「国際数学・理科教育調査」が、内閣府のサイトに「世界青年意識調査」などが収録されている。なお、内閣府『海外経済データ』(月刊誌)・社会経済生産性本部『活用労働統計』(年刊)は、それぞれ経済関係・労働関係の多数の海外データを掲載しているが、両者のサイトには現在収録されていない。


2)リンク集
 表Bに海外の統計作成機関のサイトへのリンク集を設けている日本語によるページを示した。表Bの各ページへは、統計局TPの「リンク集」から「各府省及び独立行政法人等」というページ経由でアクセスできる。なお、英語で表記されたページ内のリンク集は、各国際機関やOECD東京センターのサイト内などに多数設けられている。これらのほとんどには民間機関は含まれていない。

表B


 海外の民間機関のサイトには、日本国内の同業界の団体(例 日本鉄鋼連盟⇒国際鉄鋼協会)や企業(例東京証券取引所⇒ニューヨーク証券取引所)などのサイトのリンクからアクセスできるものもある。なお、国内の業界団体の大部分のサイトへは、所管官庁のサイト内のリンク集からアクセスできる。


2.海外のサイト内の要約統計書の収録ページ
 表Cに国際機関および外国政府の統計部局がサイト内で提供している統計年鑑などの要約統計書の例を示した。個別統計の作成方法などの関連情報も掲載されているが、収録されている統計は政府機関が作成したものが中心で、民間作成統計は少ない。これらの要約統計書に掲載されている個別統計および作成機関の名称は、個別統計の収録ページを検索する際にキーワードとして利用できる。一部の要約統計書は、翻訳書も刊行されているが、時期はかなり遅い。

表C



3.個別統計を収録したページの検索方法
1)個別統計へのアクセスの例
 要約統計書に収録されていないデータや最近公表されたデータなどについては、個別統計の収録ページを閲覧する必要がある。表Dにリンク集を利用した個別統計へのアクセスの例を示した。日本語によるリンク集は表Bに掲げたもののほか、日本貿易振興機構(JETRO)の海外事務所や在外日本人商工会議所(日本商工会議所のサイトからリンクあり)のサイトの中に設けられている。

表D


2)検索エンジンの利用
 探している統計の作成機関のサイトがリンク集に含まれていない場合は、検索エンジンを利用して検索する。キーワード検索を利用する場合は、同一内容の統計が国によって異なった名称(例surveyinquirydatastatisticsindexrateratio)でよばれていることがあるので、要約統計書などで確認する必要がある。ポータルサイトのディレクトリを利用する場合も同様の点に注意すると良い。また、専門用語の原語(例購買力平価[PurchasingPowerParity]・温室効果ガス[GreenHouseGases])の知識も必要である。


4.関連情報の紹介
 ここではデータの検索と利用に必要な関連情報を紹介する。

1)インターネット上の解説ページ
 日本国内の研究機関・図書館などのサイトの中に設けられている海外統計の入手と利用の方法を解説するページを、表Eに示した。

表E


2)海外統計の解説書
 ここでは最近出版された解説書を列挙した。①~③はアメリカを中心に、④はカナダ・アメリカを中心に、⑤はイギリスを中心に、それぞれ景気関連統計を取り上げている。③⑤はヨーロッパ各国や国際機関による統計も解説している。⑥はイギリスの政府以外の機関が作成している統計のリストである。



①日本貿易振興機構ニューヨーク・センター(2004)『米国経済統計ハンドブック』国立印刷局

②YamaroneR.(2004)TheTrader'sGuidetoKeyEconomicIndicatorsBloombergPress

③BaumohlB.(2004)TheSecretsofEconomicIndicatorsWhartonSchoolPublishing

④GrantJ.(1999)AHandbookofEconomicIndicatorsUniversityofTorontoPress

⑤TheEconomist(2003)GuidetoEconomicIndicatorsTheEconomist

⑥MortD.(2002)SourcesofNon-OfficialUKStatisticsGowerPublishingCompany


3)検索に利用できるキーワードを掲載した文献・参考書


山田 茂(1999)「海外のホームページに収録された民間作成統計の特徴点」国士舘大学政経学会『政経論叢』108号

川鍋 道子(2003)『国際機関資料検索ガイド』 東信堂

増田 聡編(2003)『国連情報検索用語辞典』日本バーコードテクノロジー

エコビジネスネットワーク編(2004)『環境データ情報源』日本実業出版社

矢野恒太記念会編(2004)『世界国勢図会2004/05』矢野恒太記念会

山田 茂(2005)『統計資料集2005』産業統計研究社


4)翻訳関連の問題
 一部の検索サイトは、無料の自動翻訳サービスを提供している(GoogleのBETA版[英語⇒日本語]、AltaVista[英語以外の言語⇒英語]など)。また、探している統計の原語での名称が不明の場合には、検索サイトにキーワードとして「統計/作成機関の日本語名」および「用語」/「指標」/「統計」などを入力すると、日本語によるサイトの内容から原語が判明することがある。


5)公表日程の提供
 米国Yahoo!は、「EconomicCalendar」ページに米国の景気関連指標の公表日程を収録している。(http://biz.yahoo.com/c/e.html

 (付記)
 本稿において紹介したインターネット上のサイトのアドレス(URL)と収録内容は、2005年5月に確認したものである。紙幅の制約のために割愛した内容は更新情報とともに下記の筆者の個人ページに掲載する予定。
 (http://homepage.kokushikan.ac.jp/ecyamada/user/