中央調査報

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■「中央調査報(No.578)」より

 図書館に関する世論調査


 時事通信社では、2005年10月7日から10日にかけて、無作為に選んだ全国20歳以上の男女2,000人を対象に、「図書館に関する世論調査」を実施した。この調査は、調査員による面接聴取法により実施し、1,328人(回収率66.4%)から回答を得た。2002年12月にも同様の調査が実施されている。


1.公共図書館の利用について
 過去1年くらいの間に、都道府県立や市区町村立などの図書館を利用したかを尋ねた。「利用した」は32%と3人に1人の割合となっている。「利用した」の割合は前回調査(31%)からほとんど変わらない。

図1



 「利用した」の割合は、東京、大阪などの15大都市で35%(前回35%)と、その他の市31%(同31%)や郡・町村32%(同28%)よりやや高い。性別では男性が30%(同29%)、女性が34%(同32%)と前回に続き、女性の方が高い。また、年代別では20歳代37%(同39%)、30歳代39%(同47%)、40歳代41%(同41%)、50歳代32%(同25%)、60歳以上22%(同19%)となっており、30歳代で「利用した」割合の減少が大きい。職業別で最も「利用した」割合が高かったのは、自由業・管理職の49%で前回の33%から大幅増となっている。一方、最も低かったのは前回同様、農林漁業の18%(同14%)であった。
 次に、公共図書館を利用した人に、その頻度を尋ねた。前回と同じく、「1年に数回程度」が最も多く35%(前回32%)。以下、「1カ月に2、3回程度」24%(同23%)、「1カ月に1回程度」22%(同21%)、「1週間に1回程度」8%(同12%)の順になっている。
 さらに、利用目的については、前回と同じく「本や雑誌を借りるため(家族のために借りた場合も含む)」が最も多く70%(同73%)。次いで、「図書館にある辞書や本などを利用して、調べ物をするため」40%(同37%)、「館内で本や雑誌、新聞を読むため」27%(同33%)があげられた。


2.公共図書館利用の満足度
 公共図書館を使ってみて満足度はどうか、聞いたところ、「満足した」33%(前回33%)と「どちらかといえば満足した」48%(同51%)を合わせた満足派の割合は81%(同83%)と8割を超える。一方、「不満だった」3%(同4%)と「どちらかといえば不満だった」15%(同12%)を合わせた不満派の割合は18%(同16%)にとどまり、前回調査とあまり変化はみられない。

図2



 満足派の割合を都市規模別にみると、15大都市78%(前回78%)、その他の市80%(同85%)、郡・町村91%(同86%)と前回同様、地方ほど満足度が高い。性別では男性78%(同81%)より女性84%(同85%)に高く、年代別では20歳代81%(同73%)、30歳代81%(同88%)、40歳代86%(同81%)、50歳代76%(同85%)、60歳以上82%(同87%)となっており、50歳代を除き8割を超えている。
 また、不満派にその理由を聞いたところ、前回と同じく「利用したい本がなかったか、他の人に借りられていた」59%が最も多かったが、前回の70%より大幅に減少した。以下、「閲覧室の座席がいっぱいになるなど、混雑していて、利用しにくかった」22%(同27%)、「開館時間が短い」18%(同21%)があげられた。


3.公共図書館を利用しなかった理由
 図書館を利用しなかった人に、その理由を尋ねた。前回同様「本をほとんど読まない」が最も多く30%(前回30%)。以下、「本を借りたり返したりするために、図書館に出掛けるのが面倒だ」22%(同26%)、「本は買ったり、人から借りたりして読む」21%(同21%)、「公共図書館が近くにない」18%(同24%)、「開館時間中に図書館に行くことができない」17%(同18%)の順になっている。
 都市規模別では、「公共図書館が近くにない」が15大都市24%、その他の市19%、郡・町村8%と都市部ほど割合が高くなっている。性別では、「開館時間中に図書館に行くことができない」が女性14%より男性21%に高くなっている。また、年代によってトップにあげられた理由が異なり、20歳代では「開館時間中に図書館に行くことができない」30%、30歳代では「本を借りたり返したりするために、図書館に出掛けるのが面倒だ」32%、40歳以上の年代では「本をほとんど読まない」26~36%となっている。


4.公共図書館を利用しやすくするための要望
 公共図書館をもっと利用しやすくするために望むこととしては、「昼間や平日に図書館を利用しにくい人のために、開館日や開館時間を工夫する」をあげた人が前回に続き最も多く26%(前回23%)であった。以下、「新刊本を充実させる」20%(同21%)、「図書館をもっと便利な場所に設ける」18%(同22%)、「気軽に読める本を充実させる」14%(同16%)、「インターネットを使い、自宅や職場で公共図書館の検索ができるようにする」12%(同10%)などがあげられている。

図3



 都市規模別では、「図書館をもっと便利な場所に設ける」が15大都市23%、その他の市18%、郡・町村10%と都市部ほど要望が高くなっている。性別では、「新刊本を充実させる」(男性16%:女性24%)、「図書館をもっと便利な場所に設ける」(男性15%:女性20%)が女性に高く、「専門書や学術書を充実させる」(男性12%:女性7%)は男性に高くなっている。年代別にみると、50歳代以下の年代ではいずれも「昼間や平日に図書館を利用しにくい人のために、開館日や開館時間を工夫する」がトップにあげられているが、特に40歳代で40%と高くなっている。 また、職業別では「昼間や平日に図書館を利用しにくい人のために、開館日や開館時間を工夫する」が自由業・管理職で51%と半数を超える。このほか、自由業・管理職では「利用者自身が館内コンピューターで図書の検索ができるようにする」が23%と、他の職種ではいずれも1割未満にとどまっているのに対し、目立って高い。

(調査部 君島ゆかり)