中央調査報

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■「中央調査報(No.607)」より

  台所・厨房機器の保有率の推移


 社団法人中央調査社では、定期調査として一般世帯を対象に、家電製品を中心にした家庭用耐久普及財・住宅設備の保有・購入率の調査を実施してきた。 その調査データから、台所・厨房機器の保有機器の推移を見ていく。

 中央調査社では、1956年から、B.B.R.(ブランドバロメーターリポート)調査を行ってきた。 これは全国の消費財・耐久財の購入率・保有率及び購入銘柄・保有銘柄について調査を行い、地域別・消費者特性別に集計するもので、 得られた調査結果は、これまで、各種メーカーをはじめとした産業界などで利用されている。 (図1:1960年台所・厨房機器世帯保有率、図2:2005年台所・厨房機器世帯保有率)



図1・2



*1956年からB.B.R.調査開始、当初10000世帯と個人10000人を調査、
 1959年~1988年は2人以上世帯を年2回30000世帯を調査、
 1989年~1997年は2人以上世帯を年2回25000世帯を調査、
 1998年~2003年は年1回、2人以上世帯25000世帯、単身世帯2000世帯を調査、
 2004年以降は、年1回、2人以上世帯18000世帯、単身世帯1500世帯を調査、
 (1998年以降は世帯インデックスとして名称変更した。)


 これまでの調査のうち、1968年以降の調査データが現存しているが、 今回、2005年の調査時点で世帯保有率が3割を超えている8品目(冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ、トースター、ジューサー・ミキサー、ホットプレート、電気コーヒーメーカー、浄水器) について、1971年、1975年、1980年、1985年、1990年、1994年、2000年、2005年の2人以上世帯の調査データを再集計し、その保有率などの推移を見た。

*1990年以降のデータについては、県別に補正ウエイト値をかけて集計



1.保有率の推移

●冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ(図3)
 冷蔵庫については、1971年の時点で2人以上の世帯では93%の保有率があり、1975年以降では、ほぼ全世帯が保有している。
 炊飯器も、1971年の時点で、90%の保有率があり、1980年以降は、95%以上の世帯が保有している。
 電子レンジも冷蔵庫、炊飯器と同じく、2005年では保有率が97%と、ほとんどの2人以上世帯で保有されているが、保有率の推移は、冷蔵庫、炊飯器と異なり、 1971年の保有率は、2%しかなかったが、1970年~1980年台に順調に普及が進み、1980年に28%だったものが、1985年に41%、1990年に70%と大幅な伸びを示し、 2000年以降は90%以上の保有率となっている。




図3



●トースター、ホットプレート、ジューサー・ ミキサー(図4)
 トースターは、1971年の時点では、65%と2人以上世帯の3分の2の世帯が保有していた。 1990年までは普及が進み90%に達したが、以降はやや減少に転じ、2005年では81%の保有となっている。
 ホットプレートは、1979年から調査を開始し、1980年では30%の保有率となっている。 1990年に72%、1994年に79%となり、1994年~2005年は80%前後の保有となっている。
 ジューサー・ミキサーは、1971年の保有率は31%で、1970年代~1980年代は保有率が伸張して、1990年に65%に達したが、その後は、60%台の保有率で、横ばい状態が続き、 2005年では、68%の保有率となっている。




図4



●電気コーヒーメーカー、浄水器(図5)
 電気コーヒーメーカーは1976年から調査を始めて、1980年に調査した時点では14%の保有率があった。保有世帯が増えて、1994年までに44%、2005年の調査時は51%の保有率となっている。
 浄水器の保有については、1990年での調査までは、4%の保有率だった。90年代に保有が増えて、1994年の調査では25%との保有となり、2005年の調査では、30%の保有となった。




図5



2.冷蔵庫 容量の推移
 冷蔵庫の容量の推移を全体およびセグメントとして、①中学生の子供がいる世帯といない世帯、②戸建住宅と共同住宅の世帯別に台数単位で集計した。 冷蔵庫の容量は、1971年の段階では、70~120リットル未満の冷蔵庫の割合は世帯の83%を占めているが、1975年には、70~120リットル未満と120~170リットル未満の容量の冷蔵庫の割合が 43%、44%と、ともに4割台で拮抗している。 1980年には、70~120リットル未満の容量の冷蔵庫の割合は2割台(23%)にとどまり、120~170リットル未満と170~300リットル未満の容量の冷蔵庫が 3割台(35%、36%)で拮抗するようになった。 1985年、1990年には、170~300リットル未満の容量の冷蔵庫の割合が5割(52%、57%)を超えているが、 1994年以降、さらに大容量の300~400リットル未満と400リットル以上の容量の冷蔵庫の割合が増えていき、2005年では、300~400リットル未満が41%、400リットル以上が30%を占めている。
 中学生までの子供がいる世帯といない世帯では、1970年代では、差はみられないが、1980年以降は、中学生までの子供がいる世帯の方が容量のより大きい冷蔵庫を保有している割合が高い。
 住居形態別にみると、94年までは、大きな差はないが、2000年以降は、共同住宅の世帯の方が、300リットル以上の冷蔵庫を保有している割合がやや大きい。(図6~8:冷蔵庫容量)



図6・7・8


*90年以降は、70リットル未満は70~120リットルと統合して、120リットル未満とした。 また選択肢の上限は、71年は170リットル以上、75年は300リットル以上で調査している。
*調査年によって住居の質問形態が異なり、80年以前の質問で、戸建住宅か共同住宅か判別がつかない選択肢は、戸建・共同住宅の区分から除外した。
*冷蔵庫を複数台数保有している世帯があるため、容量別の集計は、台数単位の集計をした。


3.炊飯器 熱源別割合
 炊飯器について、電気炊飯器とガス炊飯器の割合を見ると、 全体では1971年から1975年にかけてはガス炊飯器の保有が増えて、1975年には、電気炊飯器とガス炊飯器の保有の割合がほぼ拮抗したが、 その後、電気炊飯器の保有割合が高くなり1985年以降は、その差が大きく拡大した。 2005年では電気炊飯器のみ保有している世帯は83%、ガス炊飯器のみ保有している世帯は11%、両方保有している世帯が3%となっている。
  電気炊飯器とガス炊飯器の保有割合の変化をセグメント別に見ていくと、 中学生以下の子供の有無別では、1980年代以降は、各調査年とも中学生以下の子供がいる世帯は電気炊飯器を保有していく割合が世帯全体の平均よりやや高く、 中学生以下の子供がいない世帯ではガス炊飯器を保有している割合がやや高い。
  住居形態別にみると、戸建住宅に居住している世帯では、1980年までは、電気炊飯器とガス炊飯器の保有は拮抗しているのに対し、 共同住宅に居住している世帯では、1971年の時点で半数強(57%)の世帯が電気炊飯器のみ保有していて、1990年で81%に達している。 2005年では、電気炊飯器のみの保有は、戸建住宅の世帯が81%に対して、共同住宅に居住している世帯は89%となっている。(図9~11:炊飯器熱源別)



図9・10・11


4.新築世帯、新婚世帯
 B.B.R.調査(世帯インデックスリポート)では、先に集計した同居家族、住居構造の質問以外で も世帯特性の質問を設けているが、 今回は、住居の建築年数と世帯主の結婚年数から、建築2年以内の世帯と結婚年数2年以内の世帯別の集計をした。

*建築2年以内の住宅は、戸建、共同住宅も含めて集計した。また、結婚年数は1975年から集計。


冷蔵庫の容量については、築2年以内の世帯、結婚2年以内の世帯ともに、容量の大きい冷蔵庫を保有している割合は、ほとんどの調査年で世帯全体より高いが、 築2年以内の世帯は、400リットル以上の冷蔵庫の割合が高くなるのに対し、結婚2年以内の世帯では、300~400リットル未満の冷蔵庫の保有が中心となり、 300リットル以上の冷蔵庫が普及している2005年の調査では、世帯全体と差がなくなっている。(図12:冷蔵庫 新築・新婚世帯)



図12



炊飯器の熱源については、築2年以内の世帯では、電気炊飯器のみ保有している割合が、 1980年以降、世帯全体より5~9ポイント高い。新婚2年以内の世帯では、電気炊飯器のみを保有している割合が非常に高く、 1975年の時点で電気炊飯器のみの保有は3世帯に2世帯(64%)の割合で、1985年には85%、1994年には、90%の世帯が電気炊飯器のみの保有となっている。 (図13:炊飯器 新築・新婚世帯)



図13



 冷蔵庫、炊飯器以外の厨房機器の保有率の推移をみると、電子レンジは、新婚2年以内、築 2年以内の世帯とも1980年までは、世帯全体と保有率は変わらなかったが 1985年から1994年にかけて保有率が大きく伸びて、1990年の調査時点では、世帯全体の普及率をともに10ポイント以上上回っている。
 電子レンジ以外の厨房機器は、築2年以内の世帯と新婚2年以内の世帯では、保有率の推移が異なる。 築2年以内の世帯は2005年までの調査で、世帯全体と同じような保有率の推移を見せて、厨房機器によっては世帯全体を上回っている。 電気コーヒーメーカーは、1980年の調査開始以降、世帯全体を上回る保有率を示している。また、浄水器では、2005年の調査では、築2年以内の世帯の保有率は、 世帯全体を9ポイント上回っている。一方、新婚2年以内の世 帯では、トースター、ホットプレート、電気コーヒーメーカー、浄水器については、 1985年まで世帯全体の保有率を上回っているが、1985年~1994年をピークにして保有率が低下していて、2005年の調査では世帯全体の保有率をいずれも下回っている。 電気コーヒーメーカーでは、1990年の時点で、新婚2年以内の世帯の保有率は57%と世帯全体を19ポイント上回っているが、2005年の調査では、 世帯全体を12ポイント下回っている。ジューサー・ミキサーの新婚2年以内の世帯の保有率は全体的に低く、75年から05年まで、保有率が3割台~4割台にとどまっていて、 1990年以降は世帯全体の保有率を20ポイント以上下回っている。(図14~19:その他の機器 新築・新婚世帯)



図14


図15


図16


図17


図18


図19



 以上、簡単ではあるが、B.B.R.調査(世帯イ ンデックスリポート)の結果から、台所・厨房機器の保有率の推移を見てきた。 保有率の関係上、掲載しなかったが、2000年以降、IHクッキングヒーター、食器洗い機などの普及も進みだした。 また、安全、快適さや家事の省力 化を長所としており、生ゴミ処理機を含めて、キッチンの三種の神器とも呼ばれているが、 既存の台所・厨房機器とともにこれらの新しい機器がどの程度、普及するのか、その普及によって、生活がどのように変化していくのか。 今後も台所・厨房機器の保有率の推移に注目していきたい。

(調査部 次長 幸村孝之)