中央調査報

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■「中央調査報(No.608)」より

  「世論調査の現況」

 内閣府大臣官房政府広報室では、昭和27年度より毎年度、「世論(意識)調査」の実施 状況について、国の行政機関、地方公共団体、大学、報道機関、一般企業、各種団体等に 照会し、その回答に基づいて「全国世論調査の現況」を編集している。
 「全国世論調査の現況 平成19年版(平成18年4月~平成19年3月調査実施分)」に よると、平成18年度に地方自治体(都道府県および市・区)が企画・実施した対象者数500人以上の世論調査は975件となっており、前年度(954件)と比較すると21件増加し ている。都道府県が実施した世論調査は134件と、前年度(167件)より33件減少して いるが、市・区が実施した世論調査は841件と、前年度(787件)より54件増加している。


1.都道府県の世論調査
 平成18年度は36の都道府県で世論調査を実 施した。調査実施数も前述の通り、134件と前年 度よりも減少している。〈表1〉は最近5年間の 調査実施都道府県数および調査実施数をまとめ たものである。
 これによると、平成15年度にはすべての都道 府県において世論調査が実施されたが、その後、 都道府県数、実施数ともに年々減少していること が分かる。調査実施回数をみてみると、平成18年度に世論調査を1回実施したのは13都道府県、 以下同様に2回は3、3~5回は13、6~10回は4、11回以上は3都道府県となっている。


表1



 次に、世論調査実施の内容についてみてみる。 まず、調査主題であるが、〈表2〉は最近5年間 の調査主題の推移をまとめたものである。これに よると、平成18年度において、最も多かったも のは「教育・青少年・子育て」29件で、次いで、「地 方自治行政問題」27件、「保健・医療・健康」12件、 「地域社会(コミュニティ)」11件となっている。
 前年度と比較してどのような調査主題が増加し ているのかをみてみると、特に大きく増加したも のはないが、「教育・青少年・子育て」「保健・医療・ 健康」「地域社会(コミュニティ)」などが増加し ている。一方、減少している調査主題は、「地方 自治行政問題」が46件から27件にと、大きく減 少している。この他、「社会保障・福祉・ボランティ ア活動」「災害・事故・環境(公害)」「労働・勤 労者の意識」「都市問題(含住宅・宅地)」なども 減少している。


表2



 次に、調査方法であるが、〈表3〉は最近5年 間の調査方法の推移をまとめたものである。
 これによると、「郵送法」が前年度より割合を 減らしているものの、平成18年度においても過 半数を占めており、調査方法に大きな変化はみら れない。しかし、「個別面接聴取法」はわずか8件となり、その割合も10%を下回り、6%となっ てしまった。件数で比較してみると、平成17年 度の1/2に、さらに平成16年度の1/3になっ てしまった。


表3

2.市・区の世論調査
 平成18年度は354の市・区で世論調査を実施 した。調査実施数も前述の通り、841件と前年度 よりも増加している。〈表4〉は最近5年間の調 査実施市・区数および調査実施数をまとめたもの である。
 これによると、市・区数および実施数は平成16年度において減少したが、その後、また増加 傾向にある。平成18年度は、最近5年間で市・ 区数、実施数とも最も多くなっている。調査実施 回数をみてみると、平成18年度に世論調査を1回実施したのは169市・区、以下同様に2回は79、3~5回は84、 6~10 回は18、11回以上 は4市・区となっている。


表4



 次に、世論調査実施の内容についてみてみる。 まず、調査主題であるが、〈表5〉は最近5年間 の調査主題の推移をまとめたものである。これに よると、平成18年度において、最も多かったも のは「地方自治行政問題」207件、次いで、「地 域社会(コミュニティ)」139件、「社会保障・福 祉・ボランティア活動」127件、「教育・青少年・ 子育て」76件、「保健・医療・健康」68件、「女性・ 共同参画」59件、「交通・通信・情報」52件となっ ている。
 前年度と比較して、どのような調査主題が増加 しているのかをみてみると、「地域社会(コミュ ニティ)」が12件から139件に、「社会保障・福祉・ ボランティア活動」が102件から127件に、「教育・ 青少年・子育て」が38件から76件にと、この3 つが大きく増加している。この他、「保健・医療・ 健康」「防犯・治安・人権」「生活意識(含社会意識)」 なども増加している。一方、減少している調査主 題は、「地方自治行政問題」が252件から207件 に、「都市問題(含住宅・宅地)」が69件から23件に、「余暇・スポーツ・文化など」が43件から14件に減少している。この他、「女性・共同参画」 「農林漁業問題(含山村)」なども減少している。


表5



 次に、調査方法であるが、〈表6〉は最近5年 間の調査方法の推移をまとめたものである。これ によると、「郵送法」が平成15年度以降、80%ほ どを占めている。その一方で、「個別面接聴取法」 は減少の傾向で、平成18年度も前年度同様、わ ずか8件で、その割合はついに1%にも満たなく なってしまった。


表6



3.平均回収率
 都道府県および市・区で実施した世論調査の 平均回収率の推移をまとめたものが〈表7〉である。 これによると、都道府県の調査では、平成14年度以降、低下傾向にあったが、平成18年度は59.0%となり、前年度より上昇している。 また、市・区の調査は、前年度と同じく、50.8%となっている。


表7



 政府広報室が照会した対象機関(国の行政機関、地方公共団体、大学、報道機関、一般企業、各種団体等)全体の平均回収率および調査方法別の 平均回収率の推移をまとめたものが〈表8〉である。 対象機関全体の平均回収率は前年度より僅かではあるが低下し、平成18年度は53.1%となっている。 また、調査方法別にみても、一般的な調査方法における平均回収率はいずれも低下しており、 なかでも「個別面接聴取法」「個別記入法」の平均回収率は、この5年間で6%ほど低下している。


表8



 次に、対象者の抽出方法別に平均回収率の推 移をまとめたものが〈表9〉である。 抽出方法の中で約70%を占める「無作為抽出法」については、さらに調査方法別にもまとめた。 「無作為抽出法」によって対象者を抽出した調査は、年々平均回収率が低下しており、平成18年度は50%を下回り、49.8%となっている。 また、調査方法別にみると、〈表8〉と同様、一般的な調査方法における平均 回収率はいずれも低下しているが、 この5年間で「個別面接聴取法」は6%、「個別記入法」は10%ほど低下している。


表9



 「全国世論調査の現況」では、有効回収数が500人以上で、回収率がある一定以上の調査については、母集団、標本数、回収率、調査方法、調査項目といった調査の概要を 「主要世論調査一覧」として収録している。 平成16年版までは回収率が60%以上の調査を収録していたが、平 成17年版では55%以上、平成18年版では50%以上の調査を収録している。
  平成19年版では、回収率50%以上という条件 は変わらないのだが、有効回収数が400人以上の調査を収録している。

(調査部 萩原 伸雄)