中央調査報

トップページ  >  中央調査報  >  以前の調査  >  地域社会に関する世論調査
■「中央調査報(No.614)」より

地域社会に関する世論調査


 時事通信社では、2008年10月10日から13日にかけて、無作為に選んだ全国20歳以上の男女2,000人を対象に「地域社会に関する世論調査」を実施した。この調査は、調査員による個別面接聴取法で行い、1,335人から回答を得た。なお、前回調査は、2007年10月に行っている。

1.住んでいる地域の愛着度
 現在住んでいる地域(おおむね町内会や自治会の区域内)に愛着を感じているかどうかを尋ねたところ、「感じている」と答えた人の割合は49.8%(前回48.9%)、「どちらかといえば感じている」は34.5%(前回34.5%)、「感じていない」4.0%(前回3.7%)、「どちらかといえば感じていない」5.1%(前回7.3%)だった。その結果、「感じている」と「どちらかといえば感じている」を合わせた“愛着派”は84.3%(前回83.4%)と前回から微増し、引き続き高い水準を維持している。(図1)

図1


 “愛着派” の割合は、都市規模別では18大都市で85.7%、その他の市で83.4%、郡・町村で86.0%となり、その他の市でやや低くなっている。
 性別では、男性が84.5%、女性が84.0%であり、大きな差はみられない。
 年代別では、年代が高くなりにつれ“愛着派”の割合が増加する傾向にある。20~30歳代では7割台、40~50歳台で8割台、60歳以上では9割を占めている。(図2)

図2


2.愛着を感じている理由・感じていない理由
 次に、“愛着派” にその理由を複数回答で尋ねたところ、「住み慣れている」が58.7%(前回54.1%)で前回と同様に最も多く、次いで「自分の家や土地がある」29.5%(前回31.3%)、「生まれ育ったふるさとだ」20.9%(前回22.0%)、「商店街などが近くにあり、生活する上で便利だ」20.6%(前回15.2%)となっている。
(図3)

図3


 一方、愛着を「感じていない」「どちらかといえば感じていない」と答えた人にもその理由を複数回答で尋ねたところ、「生まれ育ったふるさとではない」が41.3%(前回34.9%)で最も多く、以下「地域住民とのつながりが弱い」29.8%(前回34.9%)、「住み慣れていない」22.3%(前回20.5%)の順となっている。(図4)

図4


3.地域の人との付き合い程度・人間関係の満足度
 さらに、地域の人とどのような付き合いをしているのかを複数回答で尋ねたところ、「顔が合ったときにあいさつをする」(83.1%)が最も多い。次いで、「立ち話や世間話をする」61.8%、「旅行先のお土産をあげたり、もらったりする」35.1%、「災害や災難に遭ったときに、助け合う」23.4%となっている。(図5)

図5


 都市規模別にみると、「立ち話や世間話をする」は東京、大阪などの18大都市で60.6%、その他の市で60.8%、郡・町村で70.6%となっており、大都市と郡・町村では10ポイントの差がみられる。
 性別にみると、「災害や災難に遭ったときに、助けあう」は女性(21.3%)より男性(25.3%)がやや高いが、その他の4項目では男性より女性が高くなっている。特に「立ち話や世間話をする」は、男性54.6%に対し、女性は69.2%と15ポイント近い差がある。

表1


 また、現在住んでいる地域の人々との人間関係についての満足度を尋ねたところ、「大変満足」は17.8%、「まあまあ満足」は67.5%で、両者をあわせた“満足派” の割合は85.3%と8割台にのぼっている。一方、「大変不満」1.3%と「やや不満」4.6%を合わせた“不満派”は6.0%となっている。(図6)

図6


4.今後していきたい地域の人とのお付き合い
 最後に、今後、地域の人々とどのような付き合いをしていきたいと思っているかを複数回答で尋ねたところ、トップは「顔があったときにあいさつをする」が72.5%で、次いで「立ち話や世間話をする」(58.7%)、「災害や災難に遭ったときに、助け合う」(53.3%)が過半数を超え、以下、「旅行先のお土産をあげたり、もらったりする」(28.2%)、「家を留守にする場合に、配達物を預かってもらったり、預かったりする」(18.8%)の順となっている。
 都市規模別にみると、「顔が合ったときにあいさつをする」は18大都市で76.7%と4人に3人が挙げており、その他の市(70.8%)、郡・町村(72.7%)と比べ、高くなっている。
 性別にみると、おおむね女性が男性よりも高い項目が多く、「立ち話や世間話をする」は男性53.2%に対し、女性64.5%と11ポイントの差がみられる。
 年代別では、総じて年代が高くなるほど割合も高くなっており、20歳代と60歳以上の間では10ポイント以上の差がみられる項目が多い。

表2


 地域社会におけるつながりの薄れが指摘される昨今であるが、 今回の調査結果からあいさつ程度の付き合いは幅広くなされていることがわかった。 今後は、それが更に発展し、地域社会とのより深い関係が広まっていくことを期待したい。

(調査部 浜田江里子)