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■「中央調査報(No.669)」より

自治体広報に関する世論調査

 時事通信社では、2013年4月5日から8日にかけて、無作為に選んだ全国20歳以上の男女2,000人を対象に「自治体広報に関する世論調査」を実施した。この調査は、調査員による個別面接聴取法で行い、1,310人から回答を得た。

1.住まいの市区町村の広報や公開情報を見聞きすること
 住まいの市区町村の広報や公開される情報をどの程度見聞きしているか尋ねたところ、「よく見聞きしている」と答えた人が20.5%、「まあ見聞きしている」と答えた人が45.0%で、これらを合わせた見聞きしていると答えた人の割合は65.6%であった。一方、「まったく見聞きしていない」は8.9%、「あまり見聞きしていない」は25.4%である。

図1 住まいの市区町村の広報や公開情報を見聞きすること

 都市規模別にみると、見聞きしていると答えた人の割合は、21大都市(61.0%)に比べ、その他の市(67.5%)、郡・町村(66.2%)の方が高くなっている。
 性別にみると、見聞きしていると答えた人の割合は、男性(58.6%)より女性(73.2%)の方が15ポイント高くなっている。
 年代別にみると、見聞きしていると答えた人の割合は、年代が上がるにつれて高くなっている。20歳代では33.9%にとどまるが、60歳代以上では8割台となっている。
 続いて、少しでも自治体の広報や公開情報を見聞きしていると答えた人に、どのような方法で接しているか尋ねた。最も多いのは「広報紙」で79.8%となっている。次いで、「回覧板」が50.6%と半数を超える。以下、「新聞」(33.0%)、「テレビ」(25.3%)、「ポスター掲示板」(14.3%)と、従来からある広報に接する手段を挙げた人が多い結果となった。「自治体のウェブサイト」は9.4%、「フェイスブックやツイッターなどSNS」は2.3%と1割に満たない。

図2 住まいの市区町村の広報や公開情報を見聞きすること(地域別、性・年代別)

 性別にみると、ほとんどの項目について女性の方が高くなっている。特に、「広報紙」と「回覧板」は10ポイント以上の差がひらいている。
 年代別にみると、「広報紙」「回覧板」は40歳代以下に比べ50歳代以上で割合が高くなっている。一方、「自治体のウェブサイト」は50歳代以上に比べ40歳代以下で割合が高くなっている。また、「新聞」は30歳代以下に比べ40歳代以上で割合が高く、「ポスター掲示板」は40歳代以上に比べ30歳代以下で割合が高くなっている。

2.自治体の広報や公開情報に対する満足度
 少しでも自治体の広報や公開情報を見聞きしていると答えた人に、どの程度満足しているか尋ねた。「とても満足している」と答えた人が3.5%、「まあ満足している」と答えた人が68.7%で、これらを合わせた満足していると答えた人の割合は72.2%であった。一方、「まったく満足していない」は1.8%、「あまり満足していない」は22.8%である。

図3 自治体の広報や公開情報への接触方法(性・年代別)

 都市規模別にみると、「満足している」と答えた人の割合は、21大都市(66.4%)に比べ、その他の市(73.9%)、郡・町村(77.3%)の方が高くなっている。
 性別にみると、「満足している」と答えた人の割合は、男性(68.5%)より女性(76.0%)の方が8ポイント高くなっている。
 年代別にみると、「満足している」と答えた人の割合は、最も低い20歳代でも64.3%と過半数を占めている。以降、年代が上がるにつれて満足層の割合は高くなり、60歳代以上では4人に3人の割合となっている。

図4 自治体の広報や公開情報への接触方法(地域別、性・年代別)


3.自治体から得たい情報
 自治体からどのような情報を得たいかを尋ねた。
 「防災対策情報」(38.1%)、「健康診断などの保健に関する情報」(37.9%)、「予算の使われ方や地方公務員給与の仕組み」(37.3%)、「高齢者や障害者対象の福祉に関する情報」(36.3%)、「子育てや保育、学校・教育に関する情報」(33.7%)、「地域医療や医療機関に関する情報」(33.1%)を3割以上の人が挙げている。以下、「放射線量や大気汚染など生活環境に関する情報」(25.9%)、「防犯対策情報」(25.0%)、「届け出や証明、各種手続きの案内」「役所、出張所、公共施設などの利用案内」(各23.1%)、「住民から寄せられる意見」(20.5%)が2割台で続いている。

図5 自治体から得たい情報

 性別にみると、男性の方が高いのは「議会の活動」「首長の所信や施政方針」となっている。女性は「地域医療や医療機関に関する情報」「放射線量や大気汚染など生活環境に関する情報」が男性より10ポイント以上高くなっているほか、多くの項目で男性より高くなっている。
 年代別にみると、「高齢者や障害者対象の福祉に関する情報」は年代が上がるほど割合が高くなっている。「子育てや保育、学校・教育に関する情報」は30~40歳代で高く、「求人情報」は年代が低いほど高くなる傾向がある。また、「防災対策情報」「予算の使われ方や地方公務員給与の仕組み」「地域医療や医療機関に関する情報」「防犯対策情報」「住民から寄せられる意見」「消費者相談や生活相談に関する情報」は50歳代で他の年代より高くなっている。
 今回の調査では、主に性別や年代別でどのような情報をどのような手段で得ているか、また必要としているかについて見てきた。今後、自治体が広報や公開情報を住民に知らせる際に、情報を必要とする住民のニーズを把握し、効果的な手段で届けることが期待される。

(調査部 君島ゆかり)