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■「中央調査報(No.797)」より

 ■第16回「メディアに関する全国世論調査」(2023年)結果の概要


 公益財団法人新聞通信調査会(理事長 西沢豊)は、2023年7月21日から8月20日「第16回メディアに関する全国世論調査(2023年)」を実施しました。調査方法は、住民基本台帳から無作為に選んだ全国の18歳以上の5,000人を対象とした訪問留置法で、2,871人から回答を得ました。この調査は客観的で信頼性の高い統計手法を用いて調査し、クロス・メディア時代における新聞の在り方を考えるデータを提供することを目的としたものです。2008年12月に着手して以降毎年実施し、今回で第16回目を迎えました。記録的な猛暑の中での調査でしたが、例年並みの回収率を得られました。今年度のトピックは、人口減少・少子化対策及び日本の安全保障について質問しました。調査結果の概要は以下の通りです。


1.メディアの信頼度と印象
―新聞の信頼度得点は66.5点、トップは僅差でNHK

 第1回調査から継続して質問している各種メディアに対する信頼感や印象について、今年度の結果を過去調査と比較し考察する。
 各メディアが発信する情報をどの程度信頼しているのか、全面的に信頼している場合は100点、全く信頼をしていない場合は0点、普通の場合は50点として、それぞれ点数で回答してもらった。その平均点の推移をグラフにしたものが図表1である。「新聞」は66.5点で昨年度調査の67.1点から0.6点低下し、僅差で「NHKテレビ」に続いている。本調査を始めた2008年から「NHKテレビ」が毎回首位を維持し、「新聞」は二番手であった。2019年と2020年は逆転しトップとなったものの、2021年からは再び「NHKテレビ」にトップを譲っている。「NHKテレビ」は67.0点(昨年度67.4点から0.4点低下)、「民放テレビ」が61.8点(昨年度62.1点から0.3点低下)、「ラジオ」が55.2点(昨年度55.1点から0.1点上昇)、「インターネット」が49.5点(昨年度48.9点から0.6点上昇)となっている。
 当調査ではメディア信頼度の変化要因を探るため、この1年間で各メディアの信頼感が変化したか、さらに「新聞」に関しては変化した理由についても質問している。全てのメディアで「変わらない」と回答した人が70%以上と多数を占める結果となっている。「高くなった」は「インターネット」が5. 8%と最も多く、次いで「新聞」が4.3%、「NHKテレビ」が2.6%、「民放テレビ」が2.5%となっている。一方、「低くなった」は「雑誌」(11.8%)、「民放テレビ」(11.5%)、「インターネット」(11.3%)、「NHKテレビ」(10.0%)が10%以上となっている。この1年間で新聞への信頼感が高くなったと答えた人(全体の4.3%、124人)に尋ねた理由では「情報が正確だから」38.7% (昨年度比2.9ポイント増)が、信頼感が低くなったと答えた人(全体の8.9%、255人)に尋ねた理由では「特定の勢力に偏った報道をしているから」49.4% (昨年度比4.6ポイント増)がそれぞれトップになっている。

図表1 各メディアの情報信頼度

2.ニュースとの接触状況
―ニュースとの接触率は民放がトップ

 ニュースとの接触状況については、各メディアのニュースを週に何日かでも読む・見聞きすると答えた接触率が高い順に、民放テレビのニュースが87.6%(昨年度88.8%)、インターネットのニュースが74.6%(昨年度75.0%)、NHKテレビのニュースが72.1%(昨年度74.4%)、新聞が57.5%(昨年度58.0%)、ラジオのニュースが29.9%(昨年度30.7%)となっている。そのうち、毎日の接触率は、民放テレビのニュースが50.7%(昨年度50.5%)、インターネットのニュースが46.0%(昨年度46.9%)、新聞が39.2%(昨年度40.3%)、NHKテレビのニュースが37.1%(昨年度37.2%)、ラジオのニュースが8.9%(昨年度9.6%)となっている。ニュース接触率は、NHKテレビのニュースが昨年度から2.3ポイント低下しているが、他のメディアの変化は1ポイント前後にとどまっている。毎日の接触率の変化も小さい。
 時系列変化を見ると、2018年度は、「インターネットのニュース」より、「新聞」や「NHKテレビのニュース」を見聞きする人が多かったが、その後、「インターネットのニュース」を見聞きする人は増加傾向にある。ニュース接触率については、「インターネットのニュース」が昨年調査に続き今回調査でも、「NHKテレビのニュース」や「新聞のニュース」を抑え、「民放テレビのニュース」に次いで2位となっている。また、毎日の接触率についても、2020年度以降4年連続で「民放テレビのニュース」に次いで2位となっている。(図表2)「インターネットのニュース」は先述のように、情報の信頼度については、NHKテレビや新聞ほど評価されていないが、その一方で、それを情報源とする人は着実に増えている。メディアの印象について尋ねた質問でも「情報源として欠かせない」メディアとして「インターネット」を挙げた人は54.5%で最も多く、以下「民放テレビ」(45.2%)、「NHKテレビ」(38.7%)、「新聞」(35.1%)となっている。
 インターネットニュースの存在感が増していることに関連して、本調査ではネットニュースを見る時に、ニュースの出所を気にするか尋ねている。『気にする(計)』と答えた人が47.1%(「いつも気にする」13.3%と「まあ気にする」33.8%の計)、『気にしない(計)』と答えた人が52.9%(「全く気にしない」16.4%と「あまり気にしない」36.5%の計)と『気にしない(計)』と答えた人が過半数に上っている。この質問を始めた2017年度から2021年度調査までは全ての年代で『気にしない(計)』と答えた人が過半数を占めていたが、昨年初めて40代で『気にする(計)』(53.6%)が『気にしない(計)』(46.4%)を上回り、今回調査では50代で『気にする(計)』(50.9%)が『気にしない(計)』(49.1%)を上回っている。

図表2 ニュースとの接触状況

 ニュースとの接触時間については、平均接触時間が長い順に、民放テレビのニュースが35.5分(昨年度36.1分)、NHKテレビのニュースが29.0分(昨年度29.0分)、新聞が25.6分(昨年度24.5分)、インターネットのニュースが25.5分(昨年度25.3分)、ラジオのニュースが21.8分(昨年度21.2分)となっている。前回調査と同様に、民放テレビのニュース接触時間が他のメディアより長くなっているが、これはニュースに特化していない番組、例えば昼間や夕方の総合情報番組も含め回答されているためと推察される。
 どんな場所、時間帯にニュースと接触しているのかを見ると、新聞は「自宅(午前中)」が39.7%で最も多く、民放テレビのニュースとNHKテレビのニュースは「自宅(夕方以降)」(民放51.9%、NHK40.9% )が最も多くなっている。インターネットのニュースは「自宅(夕方以降)」が34.6%で最も多いが、「職場・学校」(19.7%)、「移動中(電車・バスなど)」(18.5%)も多くなっている(複数回答)。
 政治、経済、社会、国際情勢など8つの分野のメディア別接触状況を聞いたところ、全ての分野で「民放テレビ」が最も高くなっている。2位には、政治、国際情勢、経済に関することで「NHKテレビ」、スポーツ・芸能、社会、生活・健康、文化、地域に関することで「インターネット」が挙げられている。「新聞」は地域に関することで3位に、他の項目は4位に挙げられている(複数回答)。 次に各メディアの印象を尋ねたところ、「情報が信頼できる」ではNHKテレビが1位に、「情報が面白い・楽しい」「情報が分かりやすい」では民放テレビが1位に、「社会的影響力がある」では民放テレビとNHKテレビが1位に、「手軽に見聞きできる」「情報源として欠かせない」「情報の量が多い」「情報が役に立つ」ではインターネットが1位になっている。新聞は、「情報が信頼できる」で2位、「情報の量が多い」で3位となっている(複数回答)。
 
 
3.新聞の購読状況と評価
―新聞の購読率は昨年から横ばい

 ここからは新聞の購読率及び購読料や個別配達など新聞に対する評価を紹介したい。まず新聞の購読率を見ると、本調査を始めた2008年度から低下傾向が続き、2008年度88.6%から今回調査58.1%へ30.5ポイントの低下となっている。前回調査58.3%からは0.2ポイントの低下となっている。種別では全国紙は2008年度の55.1%から今回調査の26.4%へ28.7ポイントの低下、前回調査27.0%からは0.6ポイントの低下となっている。県紙・地方紙は2008年度27.6%から今回調査23.8%へ3.8ポイントの低下、前回調査23.8%からは変化がない。ブロック3紙は2008年度13.0%から今回調査7.8%へ5.2ポイントの低下、前回調査8.4%からは0.6ポイントの低下となっている。(図表3)

図表3 月ぎめでとっている新聞

 月ぎめで新聞を取る理由は「新聞を読むのが習慣になっているから」が47.1%(昨年度48.6%)で最も多く、「新聞でなければ得られない情報があるから」が39.3%(昨年度42.6%)で次いでいる。一方、新聞を取らない理由は「テレビやインターネットなど他の情報で十分だから」が77.6%(昨年度77.7%)で最も多く、次いで「新聞の購読料は高いから」が38.3%(昨年度37.4%)となっている(共に複数回答)。
 今後の新聞との接し方については、「紙の新聞を購読する」と答えた人が最も多く46.3%となっているが、2018年度(58.5%)から低下が続いている。一方、「図書館やインターネットなど無料で読める分で十分なので、新聞は購読しない」は2018年度20.4%から2020年度26.1%へ上昇したが、以後、今回調査25.2%にかけて横ばいとなっている。「無料でも新聞は読まない」は14.9%で2018年度(8.8%)から上昇傾向にある。
 新聞の1ヶ月の購読料(3,000円から5,000円)について、「かなり高い」は16. 8%、「少し高い」は36.2%で、両者を合わせた『高い(計)』は52.9%となっている。「妥当である」は43.5%、「少し安い」と「かなり安い」を合わせた『安い(計)』は1.7%とごく少数にとどまっている。時系列変化を見ると、『高い(計)』の割合は、調査開始の2008年度以来、5割台で推移していたが、2015年度に初めて5割を下回り、「妥当である」が上回った。2019年度は再び『高い(計)』が「妥当である」を上回り、以降5割台で推移している。
 戸別配達については、「ぜひ続けてほしい」は31.5%、「できれば続けてほしい」は23.3%で、両者を合わせた『続けてほしい(計)』は54.9%となっている。時系列変化を見ると、『続けてほしい(計)』の割合は減少傾向が続き、調査開始の2008年度(84.1%)からは29.2ポイント、昨年度(55.4%)からは0.5ポイントの減少となっている。

4.人口減少・少子化対策
―少子化対策「本腰を」半数に届かず

 本調査では、トピック質問として、日本の人口減少・少子化について尋ねている。厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が4月26日に発表した「日本の将来推計人口」によると、2020年に1億2,615万人だった日本の総人口は2056年に1億人を割り込むと予想されている。このような状況の中、人口減少に危機感を持っているか尋ねたところ、「危機感を持っている」と答えた人が79.4%(「非常に危機感を持っている」29.2%と「どちらかと言えば危機感を持っている」50.2%の計)、「危機感を持っていない」と答えた人が19.2%(「まったく危機感を持っていない」6.0%と「どちらかと言えば危機感を持っていない」13.2%の計)となっている。
 次に少子化対策について、どのように考えているか尋ねたところ、「国の未来に関わる重要政策であり、本腰を入れるべきだ」が最も多く、41.6%となっている。他方、「一定程度必要だが、過度な財政投入は控えるべきだ」19.2%、「少子化・人口減少は政策では解決できない」14.7%、「子どもを産む、産まないは個人の判断にゆだねるべきだ」14.5%と国への政策期待に慎重な意見も多く、これらの意見を合わせると48.4%にのぼる。(図表4)岸田政権は少子化を最重要課題と位置づけて、様々な政策を検討している。本調査を見ると「本腰を入れるべきだ」という意見がある一方で、政策へ慎重な意見も5割近くある。人口減少に対する危機感は人々の間に共有されているが、少子化対策の方向性や有効性に関しては意見が分かれていることがわかる。
 少子化対策についての考え方は、性別、年代別で差が見られるだろうか。少子化対策について、「国の未来に関わる重要政策であり、本腰を入れるべきだ」が、性別・年代別に関わらず最も多いが、男性が47.2%、女性が36.5%と11ポイントの差が見られる。「一定程度必要だが、過度な財政投入は控えるべきだ」は20 ~ 30代で低く、この年代では「子どもを産む、産まないは個人の判断にゆだねるべきだ」が高くなっている。(図表4)

図表4 少子化対策について

 子供の数を増やすのに効果的な対策については、男性は「児童手当の高校卒業までの延長など子育て世代への財政投入」が最も多く、女性は「保育園や学童保育の拡充など子育て環境の整備」が最も多くなっている。また、女性では「不妊や高齢出産への支援拡充」が男性より10ポイント多い。年代別では、40代までは「児童手当の高校卒業までの延長など子育て世代への財政投入」が最も多く、50代以上は「保育園や学童保育の拡充など子育て環境の整備」が最も多くなっている。「若年層の老後不安を解消するための年金制度改革」は20 ~ 30代、「フレックスタイム拡充など企業の労務政策改革」「男性の育休取得促進策など、育児における性別役割格差解消策」は20代で多いことが注目される。
 少子化対策を実現するためには、財源の確保が必要であり、これが最も難しい問題である。少子化対策の財源として、どれが好ましいか尋ねたところ、「株式や不動産など資産への課税を強化し、富裕層を中心に負担する」が最も多く34.0%、次いで「所得税の税率や最高税率を引き上げ、高所得者層を中心に負担する」が28.7%となっている。以下、「防衛に関する予算を削減する」19.6%、「消費税を増税し、低所得者層も含め広く負担する」9.9%となっている。なお、「わからない」と回答した人が21.2%となっている(2つまで、複数回答)。
 防衛費と少子化対策費のどちらに予算を重点的に配分すべきだと思うか尋ねたところ、「防衛費」と答えた人の割合は23.4%(「防衛費」4.1%と「どちらかと言えば防衛費」19.3%の計)で、「少子化対策費」と答えた人が74.1%(「少子化対策費」22.4%と「どちらかと言えば少子化対策費」51.7%の計)と大きく上回っている。
 少子化に関する報道について4つの項目を挙げてどう思うか尋ねた。「そう思う」(「そう思う」と「どちらかと言えばそう思う」の計)が最も多かったのは、「岸田政権の少子化対策に対する検証や批判が不十分だ」が67.6%となっている。次いで、「若い世代に出産、育児のプレッシャーを与えているように感じる」が50.1%と半数を超えている。「少子化問題に関する報道が最近の少子化対策につながった」は32.2%、「子育て世代や若者世代の意見を反映している」は31.8%にとどまり、「そう思わない」(「そう思わない」と「どちらかと言えばそう思わない」の計)と回答した人の割合が上回っている。
 少子化に関する報道について、年代別に見ると、「岸田政権の少子化対策に対する検証や批判が不十分だ」「若い世代に出産、育児のプレッシャーを与えているように感じる」は20代で高くなっている。一方、「少子化問題に関する報道が最近の少子化対策につながった」「子育て世代や若者世代の意見を反映している」は、20 ~ 30代で低くなっている。
 
5.日本の安全保障
―台湾有事で自衛隊は戦闘に参加せず8割

 混迷するウクライナ情勢が長期化するなか、今度は、イスラエルのガザへの攻撃が拡大している。安全保障への関心の高まりを受けて、本調査では、昨年に引き続き、この問題について取り上げている。日本が他国から軍事攻撃を受ける不安をどれくらい感じるかを尋ねたところ、「不安を感じる」と答えた人が78.5%(「とても不安を感じる」24.6%と「どちらかと言えば不安を感じる」53.9%の計)で、「不安を感じない」と答えた人の20.3%(「まったく不安を感じない」3.6%と「どちらかと言えば不安を感じない」16.7%の計)を大きく上回っている。昨年度と比較すると、「とても不安を感じる」が5.8ポイント上昇し、不安の度合いが強くなっていることがわかった。
 さらに、台湾をめぐって中国が武力を使うようなことが起きるのではないかという危機感を持っているか尋ねたところ、「危機感を持っている」と答えた人が79.1%(「非常に危機感を持っている」25.7%と「どちらかと言えば危機感を持っている」53.3%の計)で、「危機感を持っていない」と答えた人の19.7%(「まったく危機感を持っていない」3.1%と「どちらかと言えば危機感を持っていない」16.6%の計)を大きく上回っている。昨年度と比較すると、「非常に危機感を持っている」が3.8ポイント上昇し、ここでも危機感の度合いが強くなっていることがわかった。
 次に、中国が台湾を軍事的に攻撃するような事態になった場合の日本の関与について尋ねた。「自衛隊は戦闘に参加しないが、米軍に武器弾薬を後方支援する」が31.2%と単独の選択肢としては最も多くなっている。これに「在日米軍基地の使用を含め、軍事面では一切関与しない」(26.9%)、「日本にある米軍基地からの米軍の戦闘行動のみ容認し、自衛隊は一切関与しない」(23.3%)を合わせると8割が自衛隊の参加に否定的で、「自衛隊が米軍とともに中国軍と戦う」は13.3%にとどまっている。
 性別に見ると、「自衛隊は戦闘に参加しないが、米軍に武器弾薬を後方支援する」と「自衛隊が米軍とともに中国軍と戦う」は女性より男性で高く、「在日米軍基地の使用を含め、軍事面では一切関与しない」と「日本にある米軍基地からの米軍の戦闘行動のみ容認し、自衛隊は一切関与しない」は男性より女性で高くなっている。年代別に見ると、30代までは「在日米軍基地の使用を含め、軍事面では一切関与しない」が最も高く、40代以上は「自衛隊は戦闘に参加しないが、米軍に武器弾薬を後方支援する」が最も高くなっている。(図表5)

図表5 中国が台湾を軍事的に攻撃した場合の日本の関与

 以上、今年度の「メディアに関する全国世論調査」の結果を概観してきた。各メディアに対する信頼度は、昨年度と比較して大きな変化は見られなかった。昨夏「ジャニーズ性加害問題」が大きく報道された際、それまでのマスメディアの報道姿勢について関心が集まった。本調査は、昨年7月中旬から8月中旬にかけて実施したが、各メディアに対する信頼度に顕著な変化は見られなかった。ただ、調査票の最後に設けた自由記述欄では、この問題を取り上げ、メディアの報道姿勢を批判する意見がいくつか見られた。
 本調査ではトピック質問として、人口減少・少子化と安全保障の問題を取り上げている。急速に進む人口減少について、人々は危機感を感じつつも、岸田政権の具体的な対応については、評価が分かれていることが明らかになった。安全保障の問題に関しては、日本が軍事攻撃を受ける不安を感じる人は、昨年と同様に8割を占めていたが、内訳を見ると、「とても不安を感じる」とした人の割合は昨年よりも増え、危機感が強まっていることがわかる。その一方で、台湾有事の場合、「自衛隊が米軍とともに中国軍と戦う」とした人は、1割強にとどまり、大部分の人は、戦闘に慎重な姿勢を持っていることがわかった。人口減少・少子化の問題にしても、安全保障の問題にしても、人々の間で危機感は共有されているものの、その対応については、様々な考え方があることがあらためて浮き彫りにされた。
 
おわりに
 より詳細な分析については、新聞通信調査会ホームページの《事業紹介》→《世論調査》(https://www.chosakai.gr.jp/project/notification/)に掲載しているので、参考にしていただければ幸いである。

調査の概要