中央調査報

トップページ  >  中央調査報   >  以前の調査  >  ストレスに関する世論調査
■「中央調査報(No.571)」より

 ストレスに関する世論調査


 時事通信社では2002年より毎年、「ストレスに関する世論調査」を実施している。今回の調査は1月7日から10日までの4日間、全国で20歳以上の男女2000人を対象に行われた。有効回答率は69.1%であった。調査結果の中から、日常生活における人々とストレスのかかわりについていくつか紹介していきたい。


1.精神的疲労やストレスの有無
 日常生活の中で精神的疲労やストレスを感じるか聞いたところ、「よく感じる」は17.4%、「時々感じる」は46.2%となっている。両方を合わせると6割を超える者が日常的にストレスとのつきあいを余儀なくされているといえる。一方、「全く感じない」は8.4%、「あまり感じない」は27.5%となっている(図1)。
 男女別で見ると、「感じる」(「よく感じる」と「時々感じる」の合計)とする者は、男性が58.6%であるのに対し、女性は68.5%であった。無職の主婦で65.0%であることを考えると、女性、特に主婦の多くが日常生活においてストレスを感じていることが分かる。
 年齢別に見ると、30歳代で71.8%、40歳代で79.8%と7割を超えている。
 職業別に見ると、自由業・管理職で80.6%、事務職で72.2%と高く、他の職業についても6割を超えている。

図1



2.精神的疲労やストレスの原因
 次に、日常生活の中で精神的疲労やストレスを「よく感じる」、「時々感じる」と回答した者にその原因は何か複数回答で尋ねたところ、最も多かった回答が「仕事のことや会社の人間関係」が60.6%で、次いで「家庭内のこと(家事や育児を除く)や家族のこと」(31.9%)や「自分自身のプライベートなこと」(18.9%)、「家事や育児」(13.0%)となっている(図2)。
 男女別に見ると、「仕事のことや会社の人間関係」が男女ともに最も高く、男性で78.3%、女性で45.9%となっている。「家庭内のことや家族との人間関係」では男性で18.0%、女性で43.4%、「家事や育児」では男性で4.3%、女性で20.3%となっている。
 年齢別に見ると、「家事や育児」は30歳代で、「家庭内のことや家族との人間関係」は40歳以上で、「自分自身のプライベートなこと」は60歳以上で、それぞれ高くなっている。
 職業別にみると、「仕事のことや会社の人間関係」が事務職で92.0%と最も高かった。「家庭内のことや家族との人間関係」は無職の主婦で52.4%と高くなっている。

図2


3.精神的疲労やストレスの解消法
 ストレス解消法として実践していることについて聞いてみたところ、「友人と会って、話をする」が最も高く44.0%となっている。前回調査では40.9%であった。次いで、「テレビやビデオを見たり音楽を聞いたりする」(今回調査36.3%、前回調査35.1%)、「自分の趣味に没頭する」(同36.1%、同35.9%)、「睡眠を十分に取る」(同32.7%、同32.8%)となっている。
 男女別に見ると、「友人と会って、話をする」(男性26.0%、女性59.1%)、「自分の好きな食べ物を食べる」(同9.0%、同20.7%)、「ひとりになる」(同8.8%、同14.4%)では女性が男性より高いのに対し、「お酒を飲む」(同33.0%、同13.4%)では男性の割合が高かった。
 年齢別に見ると、「友人と会って、話をする」は20歳代で62.9%、「一家団らんの時をつくる」は30歳代で26.1%と、それぞれ高くなっている。
 職業別に見ると、「友人と会って、話をする」は農林漁業、無職の主婦で5割を超えている。また、「睡眠を十分に取る」は事務職で4割を超えている。


4.日常生活でリラックスできる時
 最後に、日常生活でリラックスできる時について回答を求めたところ、前回と同様に「友人と会って、話をしている時」の38.4%が最も高く、以下、「自分の趣味に没頭している時」と「テレビやビデオを見たり、音楽を聴いたりしている時」が同率の33.4%となっている。
 男女別に見ると、「友人と会って、話をする時」(男性27.2%、女性49.2%)、「ふとん(ベッド)に入った時」(同16.3%、同29.3%)、「ひとりでいる時」(同7.2%、同14.2%)の3項目で女性の割合が男性を上回った。逆に「自分の趣味に没頭している時」(同39.4%、同27.5%)、「散歩や運動をしている時」(同13.0%、同8.7%)、「お酒を飲んでいる時」(同23.4%、同5.6%)では男性の割合が女性を上回った。
 年齢別に見ると、「友人と会って、話をする時」は20歳代で5割を超え、「自分の趣味に没頭している時」は40歳代を除いたすべての年代で3割を超えている。
 職業別に見ると、「友人と会って、話をしている時」は農林漁業、事務職、無職の主婦で4割を超えていた。


5.最後に
 複雑な現代社会で生きる我々は、日常生活の様々な場面でストレスに晒されていると言える。過度な精神的疲労や長期にわたるストレスは、生活習慣病、心身症、摂食障害、睡眠障害など身体の健康にさまざまな悪影響を及ぼしかねないという報告もある。もし生きている限りストレスに悩み続けなければならないのであれば、それをどう軽減しうまく付き合っていくかが今後の社会的課題として、いっそう重要となっていくだろう。議論のための基礎的な資料を提供するという意味でも、今後とも様々な角度からストレスに関する調査を実施し続ける必要があるだろう。

(調査部 穴澤 大敬)