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■「中央調査報(No.575)」より

 「入浴に関する世論調査」結果から


 江戸末期、日本に駐在していたイギリス人外交官が書き残したことには、「日本人は毎日風呂に入る。・・・一人のヨーロッパ人が1回入浴するよりも、100人の日本人がひとつの浴槽に浸かるほうが湯の汚れは少ないだろう。道端にも馬の糞も、ごみひとつも落ちていない。日本人は世界で最も清潔な民族といえる」
 現代の日本人も清潔好きは変わっていない。時事通信社では、2005年8月5日~8日にかけて「入浴に関する世論調査」を実施した。調査は全国20歳以上の男女2,000人を対象に、面接聴取法で実施され、回収率は69.2%だった。毎年実施しており、前回は昨年9月に実施した。


風呂好き?風呂嫌い?

 まず、「あなたは、お風呂に入るのが好きですか、嫌いですか」と質問した。ただし、ここで「お風呂に入る」とは、行水やシャワーだけですませたりすることを除く、と限定してたずねた。これに対し「好き」と答えた人が74.9%と4人に3人であった。「どちらかといえば好き」(19.9%)と答えた人を合わせると、“風呂好き派”は94.8%と大多数だ(図1)。 “風呂好き派”は、男性(92.0%)より女性(97.7%)に多い。ブロック別にみると北陸地方で“嫌い”という人が10%を超えているのを除き、どこも6%台以下だった。職業別では自由業・管理職で89.2%と90%を割っている他は93~97%と多い。これらの傾向は前回調査とほぼ同じであった。 一方、お風呂に入るのが「嫌い」と答えた人はわずかに0.8%で、「どちらかといえば嫌い」(4.0%)を合わせた“風呂嫌い派”は4.8%と、昨年調査の“風呂嫌い派”6.0%から減少している。

図1

 “風呂好き派”の人にその理由を複数回答できいたところ、「さっぱりする」(68.1%)が最も多く、次いで「清潔になれる」(63.1%)、「疲れがとれる」(59.0%)が続いている。以下「気分が落ち着き、リラックスできる」(50.7%)、「よく眠れる」(22.7%)、「体が温まる」(14.9%)の順となった(図2)。

図2

 “風呂嫌い派”の人にもその理由を聞いたところ、最も多かったのが「面倒くさい」(69.7%)で、次いで「時間がかかる」(18.2%)、「体がほてる」(16.7%)、「疲れる」(15.2%)の順となっている。20歳代の“風呂嫌い派”では「面倒くさい」を挙げた人が多い。


1週間の入浴回数

 「あなたは平均して、週に何回くらいお風呂に入りますか」と聞いたところ、前回調査と同じく「毎日」入る人が75.5%(前回77.2%)と最も多かった。以下、割合が大きい順に「週に3~4回」(8.1%)、「週に5~6回」(7.3%)、「ほとんど入らない」(4.4%)、「週に2回」(2.7%)、「週に1回」(2.0%)となっている(図3)。 男女別にみると、「毎日」は女性で79.9%(前回80.3%)、男性で71.2%(前回73.8%)と女性に多く、年齢別では、「毎日」は30歳代で81.5%と多く、20代(67.7%)で少ない。ブロック別では「毎日」入る人が北海道(38.7%)、京浜(57.6%)、北陸(60.5%)で他ブロックで軒並み70%を超えているのに比べ少ない。

図3


入浴時間の平均は21.1分

 お風呂に入る人に「あなたは平均して、1回の入浴にどれくらいの時間をかけますか」と平均入浴時間を聞いたところ、「10分以上20分未満」が44.2%(前回40.6%)で最も多く、次いで多いのが「20分以上30分未満」で26.2%(前回30.2%)となっている。その次に多いのは、「30分以上40分未満」で12.2%(前回14.5%)であった。 平均すると、21.1分(前回22.2分)となった(図4)。平均入浴時間が「10分未満」と答えた割合が多かったのが、男女別では男性(14.9%)、職業別では自由業・管理職(22.9%)、年齢別では60歳以上(17.6%)であった。反対に、女性、無職の主婦、30代以上で長めの20分以上を答えた人が多い結果となった。

図4


お風呂ですること

 最後に「あなたはお風呂に入るとき、体を洗う以外にどのようなことをしますか」を複数回答で聞いてみた。前回同様、「特に何もしない」と答えた人が52.6%(前回52.8%)と最も多かったが、何かしらする人については「考え事をする」(20.5%)が最も多く、 次いで「体操をしたり、マッサージをしたりする」(12.5%)、以下「浴室内の掃除をする」(11.3%)、「一緒に入る人とおしゃべりをする」(8.6%)、「歌をうたう」(4.8%)などの順になっていて(図5)、前回調査での順位と全く変わらなかった。「特に何もしない」という人は男性(59.7%)が女性(45.5%)よりも多い。 女性で挙げる人の割合が男性を大きく上回ったのが、「体操をしたり、マッサージをしたりする」(男性9.2%、女性15.8%)、「浴室内の掃除をする」(5.3%、17.3%)、「一緒に入る人とおしゃべりをする」(4.5%、12.7%)、「洗濯をする」(1.5%、6.7%)の4つであった。 清潔好きの日本人だが、入浴の時間はただ体を洗うだけでなく、健康効果を得たり、片手間に家事まで済ませることができる時間、また一人で考え事をしたり、他の人と一緒に入って楽しむ時間というふうに、生活に欠かせない一部となっていることがわかる。

図5

(管理部 山地彩香)